【菊花賞】キャリア6戦、前走0.6秒差勝ちに好データ トライアルの勢いそのままジャスティンパレス

門田光生

菊花賞のキャリア別成績(過去15年),ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

皐月賞馬・ダービー馬不在

2022年10月23日に阪神競馬場で行われる第83回菊花賞。長距離レースの価値が下がっているのは世界的な傾向であるとはいえ、今年も登録の時点で皐月賞馬、ダービー馬不在が確定しているのはさみしい限り。

それでも2018年フィエールマン(天皇賞(春)連覇)、2019年ワールドプレミア(天皇賞(春))、2020年コントレイル(ジャパンカップ)、そして2021年タイトルホルダー(天皇賞(春))と、近年も「強い馬が勝つ」という看板は色あせていない。

そんな菊花賞には果たしてどんな傾向が出ているのか。過去15年の成績を基にして分析していきたい。

菊花賞出走馬の所属/2018年以降,ⒸSPAIA


☆所属
栗東27連対(13勝)に対して美浦3連対(2勝)。秋華賞に輪をかけて、ホーム側有利な傾向となっている。ただ、美浦勢の3連対はいずれもここ4年のもので、昨年はワンツーを決めている。近年だけで見れば美浦所属馬が盛り返しており、どちらが優勢かは一概にいえない。

菊花賞出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA
菊花賞出走馬の主な前走,ⒸSPAIA


☆前走クラスと主な前走
前走GⅡ組から13頭の勝ち馬、14頭の2着馬。2つのトライアルがGⅡ格付けだから、それも納得のいくところだろう。オークスからの直行組が結果を出していた秋華賞と違い、ダービーから直接挑んできた馬がほとんどおらず、また結果も出ていない。さすがに長距離戦となると、ひと叩きが必要なようだ。

GⅡ以外の路線で結果を出したのは、2009年スリーロールス(野分特別・1000万下)と、2018年フィエールマン(ラジオNIKKEI賞)の2頭だけ。フィエールマンはこのほかにも不利なデータを多く抱えながら菊花賞を勝ったという、例外中の例外的な存在だった。

トライアルである神戸新聞杯組は101頭、セントライト記念組は71頭が出走して、18連対(11勝)の前者が、7連対(2勝)の後者をリード。ただ、これも東西別のデータと同じで、近5年では連対馬を4頭ずつ出しており、互角となっている。

菊花賞出走馬の前走着順,ⒸSPAIA
菊花賞出走馬の前走1着時着差,ⒸSPAIA
菊花賞出走馬の前走人気,ⒸSPAIA


☆前走着順・人気など
勝ち馬14頭、連対馬27頭が前走3着以内。前走4着以下で勝ったのは2021年のタイトルホルダー(前走13着)だけ。

前走1着馬は【7-2-8-69】と、最も多く勝ち馬を出している。中でも、コンマ3秒以上の差をつけて勝ってきた馬は【5-0-2-19】。コンマ2秒以内の接戦だった馬と比べて好走確率がぐんと上がる。

前走人気で比較すると、1番人気に支持されていた馬が7勝を挙げており、勝率、連対率でもほかの人気より抜けていい数字が出ている。上記のタイトルホルダーも、セントライト記念では1番人気に支持されていた。

菊花賞出走馬のキャリア,ⒸSPAIA
菊花賞出走馬のローテーション,ⒸSPAIA


☆キャリアとローテーション
最も結果を出しているのはキャリア6戦の馬。キャリアが10戦を超えると、該当する65頭で1勝2着1回と好走確率が下がってしまう。

ローテーションは中3週がベストだが、これは神戸新聞杯から数えて中3週だから、当然といえば当然。中2週以内だと【0-1-2-34】で、連対馬が1頭しか出ていない。その1頭は2007年のアルナスラインで、京都大賞典(3着)からという、ほとんど例のないパターンだった。こういった例外もあるが、基本的には中3週以上空けた方が結果は出ている。ただ、中9週以上で連対したのは1頭だけ(2018年1着フィエールマン)となる。

トライアル組は外せない

菊花賞のデータをまとめてみよう。まず好走確率が上がるのはA「前走1着馬。特にコンマ3秒以上差で勝利」B「前走1番人気」C「キャリア6戦」。

好走確率が下がってしまうのはD「前走が神戸新聞杯とセントライト記念以外」E「前走4着以下」F「キャリア10戦以上」G「中2週以内、もしくは中9週以上」。

今回、重視したいデータだが、まず勝ち馬15頭中、13頭が神戸新聞杯かセントライト記念を使っていた。よって、マイナスデータのD「前走が神戸新聞杯とセントライト記念以外」に該当する馬はいったん軽視。また、前走3着以内は【14-13-12-113】。つまり、両トライアルレースで3着以内に入った馬が菊花賞の最有力候補となる。

今回でいえば、アスクビクターモア、ガイアフォース、ジャスティンパレス、ヤマニンゼスト、ボルドグフーシュの5頭。このうち、唯一プラスデータを2つ持っているのが、神戸新聞杯をコンマ6秒差で快勝したジャスティンパレス。神戸新聞杯、菊花賞と連勝した馬はここ15年で5頭いるが、そのうち4頭が「前走コンマ3秒以上差で勝利」に該当。また、C「キャリア6戦」に当てはまるのも心強い。

あとはセントライト記念「1着」のガイアフォース、同「1番人気」アスクビクターモアも有力候補だろう。ほかではプラダリアに注目。GⅡ勝ち、ダービーで善戦、そしてトライアルを人気で大敗というのは、昨年のタイトルホルダーによく似た戦績だ。ジャスティンパレスと同じでキャリア6戦というのも魅力。

あと1頭挙げるならマイネルトルファン(現時点では抽選対象)。近年の傾向から前走条件戦組は狙いづらいのだが、キャリア3戦で菊花賞に出走したのは、過去20年に広げても1頭だけで、それが2018年の勝ち馬フィエールマン。上記で書いたようにこの馬は例外中の例外なのだが、出走してくること自体が珍しいだけに、抽選を潜り抜けることができれば要注目だ。

◎ジャスティンパレス
◯ガイアフォース
▲アスクビクターモア
△プラダリア
×マイネルトルファン

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
2002年の菊花賞馬ヒシミラクル。この馬の馬券を買った「ヒシミラクルおじさん」なる人が話題になりました。目撃情報があって「おじさん」と名前がついたのでしょうか。実は若者、もしくは女性という可能性はなかったのかな、とか思ったりします。

《関連記事》
【菊花賞】トライアル好走のジャスティンパレスとボルドグフーシュ、アスクビクターモア中心  上がり馬ならセレシオン
【富士S】 3歳マイル王ダノンスコーピオンかセリフォスか、大混戦の一戦! 穴候補は5歳勢2頭
「勝負強い」騎手ランキング! タイム差なしでの勝ち越し数60以上の2名は?

おすすめ記事