【富士S】 3歳マイル王ダノンスコーピオンかセリフォスか、大混戦の一戦！　穴候補は5歳勢2頭

2022/10/16 17:00

勝木淳

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この記事のレース

富士ステークス

GⅡ

10月22日(土)　東京11R

3、4歳主力も穴は5歳

富士Sは20年からGⅡに格上げされ、マイルチャンピオンシップ前哨戦としての性格がより強まった。ところがこの2年は5、3、6番人気、1、9、10番人気で決着。実績馬の出走が目立っても、結果はGⅢ時代と同じくすんなり決まらない。実績馬は休み明けが多いこともあり、ここに全力投球という馬は多くない。格を素直に信用できない点は気に留めておきたい。データはGⅢ時代を含め、過去10年間のものを使用する。

過去10年富士S人気別成績,ⒸSPAIA

1番人気は【3-1-0-6】勝率30.0%、複勝率40.0%。昨年こそソングラインが勝利したが、半数以上は馬券圏外。とはいえ、2番人気も【3-0-1-6】勝率30.0%、複勝率40.0%で、勝ち馬はすべて5番人気以内なので、上位人気拮抗の一戦。一方で2、3着は10番人気以下【0-1-4-61】複勝率7.6%など人気薄が入る可能性は十分ある。馬券の組み立てには注意を払いたい。

過去10年富士S年齢別成績,ⒸSPAIA

年齢別の傾向は若い馬が有利で、3歳【4-2-2-31】勝率10.3%、複勝率20.5%、4歳【4-3-2-17】勝率15.4%、複勝率34.6%、5歳【2-4-6-30】勝率4.8%、複勝率28.6%。5歳の複勝回収値は114なので、3、4歳を軸に穴に5歳を配するというのがひとつの形。6歳以上は成績が落ちる。

春のGⅠ実績より夏のGⅢ好走歴が大事

上位人気拮抗も2、3着には人気薄も絡む、かつ3、4歳中心に5歳穴馬に注意。ひと通り傾向をつかんだので、ここからは前走成績をもとに好走候補を具体的に探っていきたい。

過去10年富士S前走クラス別成績,ⒸSPAIA

GⅠの前哨戦ということで、まずは前走GⅠ【3-3-2-18】勝率11.5%、複勝率30.8%から。内訳は安田記念【1-2-0-4】勝率14.3%、複勝率42.9%、NHKマイルC【0-1-0-5】複勝率16.7%。前者は4着セリフォス、7着エアロロノアなどが該当。後者は勝ったダノンスコーピオンが当てはまる。

安田記念組は4着以内の参戦はデータ期間外の11年ストロングリターン、トライアンフマーチまでさかのぼる。この2頭は富士S4、8着だった。エアロロノアが該当する安田記念6～9着は【0-1-0-3】複勝率25.0%。13着ソウルラッシュの10着以下は【1-0-0-0】。20年ヴァンドギャルドが安田記念10着から一変した。5番人気だった。

ダノンスコーピオンの前走NHKマイルCは20年3歳マイル王ラウダシオンが休み明けで出走し、2着。一方、同じNHKマイルCを勝った15年クラリティスカイは15着、19年アドマイヤマーズは9着。3歳マイル王だからと飛びつくのは危ない場合もある。

次に前走GⅡ【2-0-3-12】勝率11.8%、複勝率29.4%について。ここはセントライト記念や札幌記念といった中距離が主で、ここでマイルに転向してくる場合には注意したい。同じマイルのマイラーズCは【0-0-1-1】。17年クルーガーがマイラーズC10着から富士S3着、18年エアスピネルは3着→4着だった。東京専門のダイワキャグニーはマイラーズC13着。年齢的には苦しいが、東京で一変するのはこの馬の得意パターンでもある。

最後に前走GⅢ【4-6-2-57】勝率5.8%、複勝率17.4%について。内訳は直近のマイル戦である京成杯AH【2-2-1-24】勝率6.9%、複勝率17.2%、関屋記念【2-0-0-7】勝率、複勝率22.2%または同じ東京のエプソムC【0-1-0-6】複勝率14.3%。これらは着順でわりと整理できる。京成杯AHは3着以内【2-1-1-9】、4着以下【0-1-0-15】。関屋記念は3着以内【2-0-0-3】、4着以下【0-0-0-4】、エプソムCの好走は15年サトノアラジン2着。同馬はエプソムCも2着だった。今年の登録馬はいずれも推せるデータにあたらない。

3歳ダノンスコーピオン、セリフォスに4歳ソウルラッシュ、5歳エアロロノアと前走ダート戦ノーカウントのラウダシオンなどが候補か。いずれもデータにピタリとはまるわけではないので、今年も難解なレースになる雰囲気が漂う。

ライタープロフィール
勝木淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』（中央競馬ピーアール・センター）にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬伝説の名勝負』シリーズ全4作（星海社新書）。