【競馬】2022年新種牡馬ここまでの成績をチェック! GⅠ未勝利の意外な父が早くも重賞馬輩出

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2022年新種牡馬の主な全体成績,ⒸSPAIA

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2022年の新種牡馬たち

夏競馬が終わり、間もなく熱い秋GⅠシリーズの幕が開く。クラシック戦線から古馬の頂点を決める戦いまで無数の見どころが存在するが、未来有望な若馬たちが躍動する2歳戦も見逃せない。

その重要な鍵となるのが新種牡馬たちだ。昨年は新種牡馬の産駒から皐月賞馬ジオグリフ(父ドレフォン)、春クラシック2着2回のイクイノックス(父キタサンブラック)などが登場。今年はそれに比べるとまだ大物登場の感はないものの、これからの産駒の活躍に期待したいところだ。

一定のデータが集まってきた現時点で全体の成績を確認しつつ、馬券のヒントとなる傾向を確認していきたい(使用するデータは2022年9月19日時点)。

最多勝はマインドユアビスケッツ

2022年主な新種牡馬 全体成績,ⒸSPAIA


<2022年主な新種牡馬 全体成績>
マインドユアビスケッツ【8-8-4-42】勝率12.9%/連対率25.8%/複勝率32.3%
サトノクラウン【6-3-2-36】勝率12.8%/連対率19.1%/複勝率23.4%
デクラレーションオブウォー【5-5-3-31】勝率11.4%/連対率22.7%/複勝率29.5%
リアルスティール【4-6-5-42】勝率7.0%/連対率17.5%/複勝率26.3%
サトノダイヤモンド【2-5-3-16】勝率7.7%/連対率26.9%/複勝率38.5%
グレーターロンドン【3-0-0-7】勝率30.0%/連対率30.0%/複勝率30.0%

まずは今年の新種牡馬たちの全体成績を概観する。

最多勝を挙げているのはマインドユアビスケッツ。世界のダート短距離路線を席巻したスピード能力はダテではなく、複勝率3割の大台に乗せている。全体の単勝回収率は323%と素晴らしい数字だ。

2016年香港ヴァーズ、2017年宝塚記念を制したサトノクラウンもまずまずの数字。父Marju、サンデーサイレンスを持たない異端の血統構成で多数の繁殖を集めた同馬は短距離路線から中距離まで多彩なフィールドで活躍馬を送り出している。

イギリスの芝GⅠを2勝したデクラレーションオブウォーは今年が本邦導入後の初年度産駒デビューイヤーとなった。すでに世界各国の芝GⅠ馬を出した実績があり、複勝率3割近くは貫禄の数字だ。

2016年ドバイターフ覇者にしてラヴズオンリーユーの全兄という名血・リアルスティール。新潟芝1800mの新馬戦を勝ったフェイトは大物の相がある勝ちっぷりで、世代のトップクラスで戦うポテンシャルを秘めていそうだ。

今年の新種牡馬で最大のビッグネームといえるサトノダイヤモンドは、出走頭数こそ少ないものの複勝率は4割近い値に達している。馬券圏内に入った産駒は全てマイル以上で、やはり中長距離戦線が主なフィールドになりそう。

こういったビッグネームを尻目に初めての重賞ウィナーを送ったのはグレーターロンドン。小倉2歳Sをロンドンプランが圧巻の末脚で制し、デビュー3か月余りでの快挙となった。主な競走実績は2018年の中京記念制覇のみではあるものの、重度の蹄葉炎を抱えながら重賞を制した能力、名牝ロンドンブリッジを母に持つ良血と成功の素地はある。一介のマイナーサイアーと侮ってはいけない。

2022年新種牡馬の主な全体成績,ⒸSPAIA】

輸入種牡馬の傾向をつかめ

2022年主な新種牡馬 条件別成績,ⒸSPAIA


<2022年主な新種牡馬 条件別成績>
マインドユアビスケッツ×ダート【4-4-3-17】勝率14.3%/連対率28.6%/複勝率39.3%
デクラレーションオブウォー×芝【5-5-3-26】勝率12.8%/連対率25.6%/複勝率33.3%
リアルスティール×牡馬【3-5-3-18】勝率10.3%/連対率27.6%/複勝率37.9%
サトノダイヤモンド×マイル以上【2-5-3-11】勝率9.5%/連対率33.3%/複勝率47.6%

その他、各種牡馬について好条件となるデータも確認していく。

初年度産駒で狙いとなるのが輸入種牡馬の傾向。現役時代の知名度に乏しいことが多く、したがって潜在的な適性がオッズに反映されないことが多い。ダート短距離馬だったマインドユアビスケッツはやはり砂の舞台で走っており、全体で複勝率が4割近い。前走先行勢に限ると【2-3-0-2】連対率71.4%に達している。同様に芝GⅠ馬のデクラレーションオブウォーは芝が買い時で、4番人気以内なら【4-3-1-1】複勝率88.9%。単複回収率はともに140%を超えている。

リアルスティールはフェイトをはじめ牡馬に活躍馬が偏っており、新馬戦では【2-2-3-9】複勝率43.8%。前述した通りマイル以上で走っているサトノダイヤモンド産駒は該当条件で半数近い馬が3着以内に入っており、勝利こそ1番人気のみだが2、3着は中穴からも出ている。距離の長い番組が増える今後はより期待が高まるところだ。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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