【宝塚記念】国内GⅠ組より海外帰り 5歳馬オーソリティ、パンサラッサが有力

門田光生

宝塚記念の前走着順別成績(過去15年),ⒸSPAIA

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海外帰りの馬は軽視禁物

2022年6月26日に阪神競馬場で行われる第63回宝塚記念。梅雨の季節に行われるということで、どんな馬場で行われていたかを調べてみると、過去15年で良馬場8回、稍重6回、そして重馬場1回。良馬場以外で行われた7回は3連単がすべて万馬券となっており、2018年には50万円近い高配当が出ている。

かといって良馬場でも堅く収まっているわけではなく、2014年や2015年は8番人気以下の馬が2頭ずつ馬券に絡み、3連単で10万円を超える配当を演出している。過去15年の平均配当は単勝が10倍以上、3連単は10万円を超えており、一筋縄ではいかないレースといえそうだ。もう少し傾向をいえば、8枠がここ15年で8勝と、圧倒的な強さを見せている。フルゲートにならない年も多いので何番枠が強いとは言えないが、とにかく8枠に入った馬は要注意だ。

では、そろそろ宝塚記念のデータ検証に入っていこう。参考にするのは過去15年の成績で、近5年のデータも交えながら、勝利に一番近い位置にいるのはどの馬かを探していきたい。

宝塚記念出走馬の所属,ⒸSPAIA
宝塚記念出走馬の性別,ⒸSPAIA
宝塚記念出走馬の年齢,ⒸSPAIA


☆所属、性別と年齢
栗東所属175頭に対して美浦所属は43頭しか出走していない。栗東24連対(12勝)、美浦5連対(3勝)と差がつくのも仕方がないだろう(ほかに海外所属馬が1連対)。勝率、連対率でほぼ差はなく、所属別の有利、不利は気にしなくてよさそうだ。これは近5年でもほぼ同様の傾向が出ている。

続いて性別だが、牡馬・セン馬が23連対(11勝)に対して、牝馬は7連対(4勝)。勝率、連対率では牝馬の方がよく、ここは牝馬優勢と考えたい。近5年だと余計にその傾向が強くなっており、2019年から3連勝中。また、出走した牝馬11頭の成績は【3-0-2-6】で、半分近くが馬券に絡んでいる。

年齢別でみると、15連対(8勝)している5歳馬が中心。これは近5年でも6連対(4勝)と存在感を見せている。続いて8連対(5勝)の4歳馬、6連対(2勝)の6歳馬が続く。7歳以上は【0-1-0-38】。唯一の2着馬は2018年のワーザーで、この馬は香港所属馬。日本馬で7歳以上が連対したとなると、2006年ナリタセンチュリー(2着)までさかのぼらなくてはならない。

宝塚記念出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA
宝塚記念出走馬の前走,ⒸSPAIA


☆前走クラスと前走
前走で重賞以外を走って連対したのは、2010年の勝ち馬ナカヤマフェスタだけ。この馬はセントライト記念勝ちがあり、のちに凱旋門賞で日本馬最高着順の2着となった実力馬だった。

未来のことはわからなくても、重賞以外から参戦する馬はある程度の実績が必要だ。最も連対数が多いのは国内GⅠ組で、15頭(7勝)が該当。勝率、連対率で国内GⅠ組を上回るのが海外遠征帰りの馬。数は少ないながら、ここ3年で3頭が馬券に絡んでおり、軽視禁物だ。

前走をレース別に見ていこう。最も多く連対馬を出しているのは天皇賞(春)の10連対(5勝)。出走頭数が多いのもあるが、2位が鳴尾記念の4連対(1勝)だから、今年もここを経由してきた馬が上位争いすると考えていいだろう。

近5年でも3連対(1勝)と最多だが、2017年からGⅠに昇格した大阪杯も同じく3連対(2勝)と存在感を見せている。逆に相性があまりよくないのは目黒記念(今年は出走なし)。26頭が出走して、連対したのは2016年宝塚記念勝ち馬マリアライトだけだった。

宝塚記念におけるプラスデータ,ⒸSPAIA
宝塚記念におけるマイナスデータ,ⒸSPAIA


☆その他
そのほかで気になったデータを取り上げてみる。まずは前走着順。3着以内と4着以下で、勝率、連対率とも大きく変わってくる。前走人気も同様。特に牝馬で前走が1番人気だと【1-2-1-2】となり、半分以上が馬券に絡んでいる。

一方、マイナスとなってしまうデータだが、前走で1秒以上負けていた馬。42頭が該当して、1、2着がそれぞれ1回ずつしかいない。また、ディープインパクト産駒は【1-2-5-25】。ディープ産駒としては思ったほど結果が出ておらず、苦手なGⅠといえる。冒頭で書いたように雨馬場になる確率が高く、武器である切れ味を削がれるのが原因かもしれない。

特にディープ産駒の牡馬は【0-1-0-18】、近5年だと【0-0-0-11】となり、馬券に絡んだ馬すら出ていない。最後にレース間隔。前走海外出走を除くと、中12週以上開いて出走してきた馬から3着以内に入ったパターンは皆無。

成長した姿をとくと拝見

宝塚記念のデータをまとめてみよう。まず好走確率が上がるのはA「牝馬」B「5歳馬」C「前走が天皇賞(春)もしくは海外」D「前走3着以内」E「前走3番人気以内」。

好走確率が下がってしまうのはF「前走で1秒以上の負け」G「ディープインパクト産駒、特に牡馬、セン馬」、連対データがないのはH「7歳以上(海外馬除く)」I「前走が国内で中12週以上」。

今回のポイントはF「前走で1秒以上の負け」。天皇賞(春)を勝ったタイトルホルダーが後続につけた差は「1.1」秒。つまり、勝ち馬以外はすべてこのマイナスデータに当てはまることになる。タイトルホルダーは、前走着順、前走人気もクリアしており、かつマイナスデータなし。有力な本命候補となるが、ほかにいい馬がいないか探してみよう。

まずは牝馬。牡馬・セン馬に比べて好走率が高く、現在3連勝中。今年はウインマリリン、デアリングタクト、メロディーレーンの3頭が登録しているが、このうちウインマリリンとメロディーレーンは前走がそれぞれ2.3秒、2.8秒と負け過ぎ。残るデアリングタクトは牝馬で5歳馬と好走条件に当てはまる。ただ、前走ヴィクトリアマイル組は【0-2-3-6】となっており、勝ち馬が出ていないので連候補まで。

牝馬の次にキーとなるのは「5歳馬」。その5歳馬で最多のプラスデータを持つのはディープボンドなのだが、天皇賞(春)2着でも、1.1秒離されたのがネック。一応押さえておくが、これも本命とはいかない。

続いてパンサラッサとオーソリティ。ともに前走が海外競馬なので人気が不明となっているが、「5歳」「前走海外」「前走3着以内」を満たしており、マイナスデータもなし。どちらを上に取るか難しいところだが、ドバイターフ組からは勝ち馬が出ていない一方で、ドバイシーマクラシック組からは昨年クロノジェネシスが優勝している。よって、シーマクラシック3着のオーソリティに◎、ドバイターフ勝ち馬パンサラッサに◯を打ちたい。

あと1頭、ステイフーリッシュも取り上げる。年齢で引っかかるが、海外帰りで、しかも宝塚記念5勝をマークしているステイゴールド産駒というのは魅力で、マークしておきたい。

◎オーソリティ
◯パンサラッサ
▲タイトルホルダー
△デアリングタクト
×ディープボンド
×ステイフーリッシュ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
マスクは箱買いするのですが、たくさん種類がありすぎて「前回でぴったりだった」ものが、次に買いに行ったときに見つからないことが多々あります。これまで何種類ぐらいのマスクが発売されたのでしょうね。

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