【宝塚記念】前走ドバイ組は勝ち切れない 海外遠征後の「帰国初戦」を徹底検証
東大ホースメンクラブ
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帰国初戦は買えるのか?
今週は宝塚記念が行われる。ひとつのカギとなるのが「海外遠征からの帰国初戦」となる有力馬の存在。ドバイワールドカップデーで激闘を繰り広げた馬たちが参戦してくる。状態面で扱いが難しい印象だが、実際の成績はどうだろうか。過去10年(2012年6月17日~2022年6月12日)の重賞データを基に分析していく。
<帰国初戦(重賞)条件別成績>
全体成績【19-23-19-108】勝率11.2%/連対率24.9%/複勝率36.1%
GⅠ【6-7-6-49】勝率8.8%/連対率19.1%/複勝率27.9%
GⅡ【8-9-6-38】勝率13.1%/連対率27.9%/複勝率37.7%
GⅢ【5-7-7-21】勝率12.5%/連対率30.0%/複勝率47.5%
※過去10年
まずは帰国初戦となる馬たちの成績をグレード別に確認していく。
最も安定感があるのはGⅢ。出走馬のほぼ半数が馬券圏内に好走しており、実績馬が国内で格の違いを見せつけるシーンが多々ある。先月の平安Sでも、サウジC8着と結果を残せなかったダート王テーオーケインズが、59kgを背負いながら悠々と2着に0秒4差をつけて楽勝を決めた。芝・ダートともに複勝回収率が140%を超えており妙味の面でも優秀といえる。
ただし3歳ダート重賞のユニコーンSとレパードSに限ると、【0-0-2-4】と連対がない。UAEダービーで好走したゴールデンバローズやエピカリスがともに単勝1.5倍の断然人気ながらライバルたちの先着を許している。帰国前は世代のトップクラスで戦っていた馬でも、やや評価を下げるべきかもしれない。
一方、GⅠは【6-7-6-49】。複勝率は27.9%だが、単勝回収率34%、複勝回収率47%で積極的には買えない。GⅠでひとつの分水嶺となっているのが人気で、3番人気以内では【6-6-5-12】複勝率58.6%、4番人気以下では【0-1-1-37】複勝率5.1%と明暗がくっきり。宝塚記念に限っても3番人気以内は【2-2-1-3】と悪くないが、4番人気以下は【0-0-1-11】で、好走したのは2019年3着のスワーヴリチャードのみ。当日の人気には注意を払いたい。
勝ち切れない前走UAE組
<帰国初戦(重賞)前走場所別成績>
香港【10-11-6-49】勝率13.2%/連対率27.6%/複勝率35.5%
UAE【4-6-7-26】勝率9.3%/連対率23.3%/複勝率39.5%
フランス【3-4-4-4】勝率20.0%/連対率46.7%/複勝率73.3%
オーストラリア【1-1-0-11】勝率7.7%/連対率15.4%/複勝率15.4%
サウジアラビア【1-0-1-2】勝率25.0%/連対率25.0%/複勝率50.0%
韓国【0-1-0-6】勝率0.0%/連対率14.3%/複勝率14.3%
アメリカ【0-0-1-4】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率20.0%
その他【0-0-0-6】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%
次に前走場所別でデータを分け、それぞれの成績を確認していく。
該当馬の多い前走香港組は5番人気以内に限ると【10-11-4-34】複勝率42.4%。他国に比べ地理的に近い強みがあり、遠征ノウハウが確立されたからこその好成績だろう。フランス(≒凱旋門賞)組も好調だが、こちらは日本競馬当代のエース格がほとんどだった。
気になるUAE(ドバイ)組は複勝率39.5%と悪くないものの、勝率9.3%と勝ち切れない。宝塚記念では【1-1-2-8】で、昨年のクロノジェネシスは貫禄の連覇を果たしたものの、2013年3着ジェンティルドンナ、アクシデントがあった2016年2着ドゥラメンテ、2019年5着レイデオロあたりが人気を下回る着順に終わっている。一桁人気だった馬のうち、人気以上の着順だったのはクロノジェネシスと2019年3着スワーヴリチャードの2頭しかいない点も覚えておきたい。
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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