【ジャパンC】トニービン内包馬は舞台適性◎ ドウデュース、オーギュストロダンら有力馬の血統を解説
坂上明大
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傾向解説
国内GⅠ馬7頭だけでなく、欧州のGⅠ馬も3頭が参戦する2024年のジャパンC。ディープインパクト、キングカメハメハ時代が終わり、現在は種牡馬のラインナップも実にバラエティに富んでいます。本記事では血統面を中心に、ジャパンCのレース傾向を整理していきます。
大前提として把握しておく必要があるのは、東京芝2400mは日本競馬のド真ん中に位置づけられるコースであるということ。日本競馬が芝1600~2500mを中心に形成されていることはGⅠの数や賞金額からも明白で、特に東京競馬場に代表されるような直線の長いコースが日本の主流コースと呼べる舞台です。
そしてそれは競走馬の生産自体が「強い芝中距離馬をつくる」ことをメインテーマにしていることを意味し、層が厚いがゆえに世代交代のスパンが短いこともメインカテゴリーらしい特徴といえるでしょう。そのため、過去10年のジャパンCでは6歳以上での好走が1度もなく、また単勝オッズ30.0倍以上からも好走馬が出ていません。
<年齢別成績 ※過去10年>
3歳【1-4-2-17】
勝率4.2%/連対率20.8%/複勝率29.2%/単回率5%/複回率41%
4歳【5-3-4-38】
勝率10.0%/連対率16.0%/複勝率24.0%/単回率49%/複回率44%
5歳【4-3-4-31】
勝率9.5%/連対率16.7%/複勝率26.2%/単回率59%/複回率60%
6歳以上【0-0-0-52】
勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%/単回率0%/複回率0%
<単勝オッズ別成績 ※過去10年>
~9.9倍【9-7-7-14】
勝率24.3%/連対率43.2%/複勝率62.2%/単回率102%/複回率98%
10.0~19.9倍【1-2-2-16】
勝率4.8%/連対率14.3%/複勝率23.8%/単回率63%/複回率71%
20.0~29.9倍【0-1-1-8】
勝率0.0%/連対率10.0%/複勝率20.0%/単回率0%/複回率59%
30.0倍~【0-0-0-100】
勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%/単回率0%/複回率0%
血統では日本の主流血統、つまりはサンデーサイレンス系の好成績が目立ちます。世代がさらに進んだ現在においては、父系にこだわる必要はありませんが、サンデーサイレンス内包馬が過去10年の3着内馬である30頭のうち29頭を占める、というデータはなかなかインパクトがあります。また、唯一の非該当馬である2017年2着馬レイデオロはキングカメハメハ産駒。サンデーサイレンス、キングカメハメハ時代は終わりましたが、両馬の影響力はまだまだ健在です。
ただ、馬券的にはトニービンの血に注目。同馬は、1994年リーディングサイアーに輝いた主流種牡馬で、東京芝2400m適性はサンデーサイレンスやキングカメハメハ以上と言っても過言ではないでしょう。2015年17番人気4着ジャングルクルーズ(父ジャングルポケット)や2021年10番人気4着サンレイポケット(父ジャングルポケット)など惜しくも馬券圏内に入れなかった穴馬も多く、また昨年はトニービン内包馬が1~6着を独占する結果となりました。
<血統別成績 ※5歳以下×単勝オッズ29.9倍以下、過去10年>
トニービン内包【3-3-4-7】
勝率17.6%/連対率35.3%/複勝率58.8%/単回率115%/複回率111%
有力馬の血統を解説
・ドウデュース
母ダストアンドダイヤモンズはダート短距離の北米重賞勝ち馬で、父ハーツクライにスピードを強化した典型的な成功パターン。500kg強の雄大な馬格を有しており、馬体が完成した現在は軽い馬場でLyphard由来の機動力を生かす競馬がベストでしょう。
また、一瞬の切れ味を生かす競馬も得意で、東京競馬場なら日本ダービーや前走のようにギリギリまで脚をタメる競馬が理想。今回も鋭い末脚に期待したいところです。
・チェルヴィニア
母チェッキーノは2016年オークス2着馬で、母の全兄には2013年皐月賞の3着馬コディーノなどがいる良血馬。キングカメハメハ父系×ハッピートレイルズ牝系は機動力に優れたFair Trial増幅形で、コースの得手不得手が少ないことが強みです。特に若いうちは瞬発力勝負への対応力も高く、中盤での機動力を生かせれば古馬相手でもヒケを取ることはないでしょう。
・オーギュストロダン
母母Halfway To Heavenは2008年愛1000ギニーなどGⅠ・3勝、母ロードデンドロンも2017年オペラ賞などGⅠ・3勝を挙げた活力あふれる牝系。本馬は母のSadler's Wells≒Nureyevの2×4など、欧州由来の底力と、父ディープインパクト譲りの瞬発力を武器に欧米でGⅠ・6勝の活躍を見せています。東京芝2400mとなると少々重過ぎる感は否めませんが、欧州馬の中では軽い血統や走法であることは間違いないでしょう。
ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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