【NHKマイルC】「隠れトライアル」弥生賞を走った馬が強力 東大HCはインダストリア本命

東大ホースメンクラブ

NHKマイルCインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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大波乱の歴史、つかみどころのないGⅠ

今週日曜は東京芝1600mを舞台に、3歳マイル王者を決めるNHKマイルCが行われる。朝日杯FS2着馬セリフォスを筆頭に、アーリントンCを鮮やかに差し切ったダノンスコーピオン、NZTをワンツーして臨むジャングロとマテンロウオリオン、弥生賞5着からの巻き返しを図るインダストリアなどがスタンバイ。例年通り予想の難しいメンバーが出揃った。

2007年には17番人気のピンクカメオが勝ち、18番人気のムラマサノヨートーが3着に入って3連単973万馬券が飛び出すなど、大波乱と呼べる決着が少なくないレース。つかみどころのない一戦を攻略すべく、過去全26回のデータを参考に的中へのヒントを探っていく。


弥生賞は「隠れトライアル」

NHKマイルC6番人気以内条件別成績,ⒸSPAIA



<NHKマイルC×6番人気以内 条件別成績>
全体成績【21-19-14-102】勝率13.5%/連対率25.6%/複勝率34.6%
弥生賞出走馬【3-3-2-1】勝率33.3%/連対率66.7%/複勝率88.9%
横山典弘騎手【3-4-1-4】勝率25.0%/連対率58.3%/複勝率66.7%
中9週以上【1-2-0-11】勝率7.1%/連対率21.4%/複勝率21.4%
1200m(※)で2勝以上【0-0-1-9】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率10.0%
※JRAのレースのみ

波乱決着が多い印象のNHKマイルCだが、全26回の歴史のうちで6番人気以内だった馬が全滅したケースは一度もない。つまり該当馬から軸の選択を間違えなければ、人気薄のヒモを手広く拾って高配当が狙える一戦でもある。ここでは6番人気以内だった馬たちの条件別成績を振り返り「買える人気馬」「消せる人気馬」をあぶり出していく。

相性のいいデータとして挙げられるのは、弥生賞に出走していた馬。該当馬は第1回のタイキフォーチュン、ツクバシンフォニーのワンツー以降、9頭が出走して8頭が馬券圏内に入っており、単勝回収率243%、複勝回収率253%と妙味の面でも素晴らしい。クラシックの重要ステップレースで骨のある相手にもまれた経験が生きているようだ。

NHKマイルCで最多タイの3勝を誇る横山典弘騎手も信頼できる。6番人気以内では複勝率66.7%、このうち前走で負けた馬、もしくはタイム差なしの1着馬に騎乗した際は【3-4-0-1】。唯一着外だった2020年サクセッションはレース後に骨折が判明しており参考外で、実質的には連対率100%といっていい。本番前に見つかった課題をクリアする修正能力に長けたジョッキーで、今年騎乗予定のマテンロウオリオンはNZT2着で条件を満たす。

一方、信頼度が落ちるのは前走から中9週以上となる馬。勝ったのは3月施行のアーリントンC以来だった2014年のミッキーアイルのみで、回収率も低空飛行を続ける。1番人気が濃厚のセリフォスは朝日杯FS2着以来、中19週。直行ローテで結果を出す馬が多くなった時代とはいえ、軸に最適といえるほどの安定感はない。

さらに厳しいのは1200m戦を主戦場としてきた馬。1200mで2勝以上を挙げていた馬は複勝率1割にとどまり、唯一馬券になった2004年の3着メイショウボーラーは朝日杯FS2着、皐月賞3着。異例といえる距離適性の持ち主だった。ジャングロは中京2歳S、マーガレットSと1200m戦を2勝しており、前走のNZTも武豊騎手の絶妙なペース配分による逃げ切り。マークがきつくなるGⅠでの再現は簡単な作業ではないだろう。


東京マイルで見直し

◎インダストリア
ノーステッキで突き抜けたジュニアC、後方2番手から直線だけで差し切った未勝利戦のレース内容が秀逸。前走の弥生賞は5着も、4コーナーで大きく外に振られた不利があり、イン前で上手に立ち回った馬が上位独占した展開を思えば負けて強しの競馬だった。当然ながら小回り中山から大箱東京へのコース替わりはプラス。半兄ケイデンスコールは2019年の同レースで14番人気ながら2着に激走しており、血統的な魅力も十分。鞍上に若き名手ダミアン・レーンを迎え、逆襲のランに期待したい。

◯マテンロウオリオン
万両賞で圧巻の末脚を見せ、シンザン記念で王道の先行抜け出しとレース運びに幅がある実力馬。前走のNZTはジャングロを捕まえ切れず2着に終わったものの、直線での伸びとコース取りを比較すれば東京マイルで狙えるのはこちらだろう。鞍上の横山典弘騎手はNHKマイルCマイスター、昆貢調教師は2008年の同レースをディープスカイで制している。勝ち方を知るベテラン2人が送り出す好素材に注目だ。

▲セリフォス
キャリア4戦で一貫してマイルを使って全て連対し、重賞2勝、朝日杯FSも2着と実績は文句なしのメンバー最上位。いかにも優等生的なレース運びで今回も大崩れはしないだろう。ただし朝日杯FS(前身の朝日杯3歳Sを含む)2着馬は【0-1-2-13】と微妙。かつ前述した直行ローテの不振もあり、上位2頭の魅力と妙味に比して一枚劣るとみて3番手評価にとどめた。

以下、アーリントンCを好時計でワンツーフィニッシュしたダノンスコーピオン、タイセイディバイン、デイリー杯2歳Sでセリフォスとタイム差なしの2着だったソネットフレーズまで印を回す。馬券はインダストリアから印の馬に流す馬連で勝負する。

▽NHKマイルC予想▽
◎インダストリア
◯マテンロウオリオン
▲セリフォス
△ダノンスコーピオン
×タイセイディバイン
×ソネットフレーズ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。



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