【NHKマイルC】ハイブリッド式消去法で浮上したのは短距離王の血を引く穴馬! 馬場次第でダンテスヴューに出番?

八木遊

過去10年のNHKマイルC『距離延長』かつ『前走2番人気以下』の成績,ⒸSPAIA

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5つのデータから絞れた馬は?

先週の『天皇賞(春)』は、ディープボンドに「◎」を打つつもりだったが、大外18番枠を嫌ってトーセンカンビーナに変更。まさかのシンガリ人気でレースを迎えたが、最後方から10着に追い込むのがやっとだった。消したタイトルホルダーとテーオーロイヤルが馬券に絡んだ以上、もはやなす術はなかった。

今週は東京競馬場で行われる『NHKマイルC』を予想する。いつも通り過去10年のデータから、複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップ。登録がある21頭のうちプリンシパルSに向かうドーブネを除く20頭を対象に当てはまった馬を消去していく。

『距離延長』×『前走2番人気以下』★3.3%★

まずは前走の距離に注目した。苦戦しているのは前走1600m未満を走っていた距離延長組。過去10年の成績は【1-2-1-35】(複勝率10.3%)だった。ただしその前走で1番人気に支持されていた馬は本番で【1-1-1-6】(同33.3%)と健闘している。一方、2番人気以下は【0-1-0-29】(同3.3%)で、好走したのは13年2着のインパルスヒーローだけだった。1つ目はこのデータを用いて絞り込みを図りたい。

今年これに当てはまったのは以下の3頭。前走7ハロン戦のファルコンSを制したプルパレイは2番人気だったため、消去対象となった。

【今年の該当馬】
・オタルエバー
・セイクリッド
・プルパレイ

『関東馬』×『前走から騎手乗り替わり』★3.3%★

2つ目は東西所属別データを取り上げたい。関東馬は過去10年で【4-6-2-59】(複勝率16.9%)。複勝率は16.5%の関西馬を上回るが、前走から鞍上が乗り替わっている関東馬は買いづらい。その成績は【0-1-0-29】(同3.3%)で、唯一馬券に絡んだのが12年の2着馬アルフレードだった。

レース1週前の時点で乗り替わりが確定している関東馬は以下の4頭。インダストリアはD.レーン騎手が騎乗するとあって過剰人気する可能性が高い。他に牝馬3頭と合わせてばっさり消しとする。

【今年の該当馬】
・インダストリア
・ステルナティーア
・ソネットフレーズ
・フォラブリューテ

『前走距離1600m』×『母父サンデーサイレンス系』★4.2%★

3つ目のデータは再び前走距離をピックアップする。今回は同距離の1600mから参戦してきた馬に注目した。その成績は【6‐3-5-83】(複勝率14.4%)と平均をやや下回る程度。ただし、母の父がサンデーサイレンス系の馬を抽出すると、【1-0-0-23】(同4.2%)と好走率は一気に悪化する。3つ目はこのデータを採用したい。

今年これに当てはまったのは次の5頭。アーリントンCで権利獲りに成功したタイセイディバイン、キングエルメスなど新たに4頭を消去リスト行きとする。

【今年の該当馬】
・カワキタレブリー
・キングエルメス
・タイセイディバイン
・ディオ
・(フォラブリューテ)

『ミスタープロスペクター系』×『非社台系生産』★4.5%★

続くデータでも血統に注目した。ここで取り上げるのは父がミスタープロスペクター系の馬。過去10年の成績は【0-2-2‐31】(複勝率11.4%)とかなり苦戦している。ただし社台系の牧場で生産された馬に限れば【0-1-2‐10】(同23.1%)と悪くなかった。逆に社台系以外の生産馬は【0-1-0-21】(同4.5%)と複勝率は5%を割り込んでいる。

今年は5頭がこのデータに該当したが、4頭はすでに消去済み。新たに消去対象となったのは上位人気が予想されるダノンスコーピオンだった。

【今年の該当馬】
・(オタルエバー)
・(キングエルメス)
・(タイセイディバイン)
・ダノンスコーピオン
・(ディオ)

『関西馬』×『当日馬体重480kg以上』★5.4%★

4つの消去データを終えて、20頭のうちまだ8頭が残っている。最後は関西馬の中から消去条件を探した。掛け合わせるのはレース当日の馬体重だ。これが480kg未満だと【5-3-8-56】(複勝率22.2%)と好成績を残しているが、480kg以上は【1-1-0-35】(同5.4%)と、480kgを境に明確な差があった。最後はこの条件を採用する。

残っている8頭のうち、関西馬は7頭。もし当日の馬体重が480kg以上なら迷わず消去する。

【今年の該当候補】 ※()内は前走時の馬体重
・アルーリングウェイ(454kg)
・ジャングロ(460kg)
・セリフォス(486kg)
・ソリタリオ(478kg)
・ダンテスヴュー(456kg)
・デルマグレムリン(434kg)
・マテンロウオリオン(486kg)

全ての条件を終えて、確実に残るのは関東馬のトウシンマカオだけとなった。当日が良馬場ならサクラバクシンオーの系譜を継ぐこの馬を本命にするつもりだ。ただし、少しでも時計がかかる馬場になれば、ダンテスヴューの評価を上げたい。有力どころのセリフォスとマテンロウオリオンは馬体重で消去になる可能性が高い。先週は人気サイドで決まったが、今週のGⅠは波乱に期待したい。

【ライタープロフィール】
八木 遊
野球兼競馬ライター。スポーツデータ会社やテレビ局の校閲職などを経てフリーに。2021年には全重賞の予想、買い目、年間収支をTwitterに掲載したが、回収率は自己ワーストの46.4%に終わる。単複ワイドに絞った今年の回収率は71.3%(5月1日現在)。

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