【マイラーズC】地力上位は転厩初戦のカラテ 8歳でも元気なダイワキャグニー妙味あり
坂上明大
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内有利のトラックバイアス
京都競馬場改修工事のため昨年と同様、阪神芝1600mを舞台に行われるマイラーズCは、安田記念の前哨戦。GⅡの別定戦で、比較的実績馬が力を出しやすい条件だ。参考レースから有力馬の素質を整理していきたい。
【京都金杯】
本レースは今年も中京芝1600mで開催された。12月のBコースからAコースに戻り、仮柵が約3週間ぶりに取り除かれる形。馬場の傷みが解消され、昨年ほどではないものの内有利の馬場状態でレースが行われた。レースはバスラットレオンが内から主張して、前後半3F34.1-35.1。ただ、集団馬群は前傾0.5秒程度と平均ペースの部類で、脚質の有利不利は感じない。
2着ダイワキャグニーは外目3番手で流れに乗り、直線もしぶとく粘って人気薄での好走。最近はダート戦で馬柱を汚しているだけで、昨年10月の毎日王冠で0.3秒差と、芝ではまだまだ重賞クラスの力を見せている。今回もフェブラリーSの敗戦で人気を落とすようなら馬券妙味ありと見るべきか。
6着エアロロノアは中団追走から外差しの形。勝ち馬から0.4秒差の敗戦を喫したが、トラックバイアスを考慮すれば数字ほどの力差はなさそうだ。
10着シュリは出遅れて最後方となり、直線はラチ沿いからの追い込み。トラックバイアスをうまく利したが、ラスト1Fで脚が止まってしまった。長期休養明けの影響もあったかもしれない。
ハイレベルな上位争い
【東京新聞杯】
降雨のない日が続き、非常に乾燥した馬場状態での開催。極端なトラックバイアスは感じないが、末脚のよく伸びる馬場ではあった。レースはトーラスジェミニが軽快に飛ばして前後半3F34.7-34.3。過去10年の平均が35.4‐34.2の東京新聞杯としては速めの流れで、先行勢が総崩れしたことからも後有利と評価する。
3着カラテは叩き2戦目でパドックから気配上々。レースでも前半は中団待機でうまく流れに乗ったが、直線では進路取りに苦労してやや脚を余す形。上位2頭もなかなか強い競馬をしており、4着以下に力差を見せつけた結果であった。
12着ホウオウアマゾンは前目での競馬ではあったが、直線半ばでの脱落は実績を考慮すると案外すぎる結果。立て直しての巻き返しに期待したい。
13着ケイデンスコールは斤量59キロを背負ったうえ、2番手追走で展開も向かず。敗因は明白だ。
好メンバーを差し切り勝ち
【洛陽S】
昨年末から約2カ月半ぶりの開催となった阪神芝。傷みの激しかった3角~直線にかけて芝が張り替えられ、コース内側には洋芝の追加播種も実施。冬季のため見た目には不揃いな箇所もあったが、実際には非常に良好な馬場状態で競馬が行われた。レースは前後半3F35.1-34.1の後傾1.0秒だが、中盤も緩まなかったためどの馬にもチャンスのある展開であった。
1着エアファンディタは後方のインで脚をタメたが、直線は馬群を捌きながらで外に出せたのは残り100m過ぎ。2着ダーリントンホールが次走のダービー卿CT3着、4着フォルコメンが同レース2着というメンバーレベルを考慮しても、ここでの快勝は高く評価できるものであった。
3着ファルコニアは兄たちと同様に晩成型のバランスタイプ。決め手に欠くが、安定した競馬ぶりは重賞でも無視はできない。
転厩初戦がカギ
カラテは東京新聞杯が好内容の3着。前走の中山記念でも2着に好走しており、ここでは地力上位の一頭だろう。転厩初戦がポイントか。エアファンディタも洛陽Sの内容から重賞でも通用する器と評価。8歳でもまだまだ元気なダイワキャグニーにも要注意だ。
注目馬:カラテ、エアファンディタ、ダイワキャグニー
※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。
ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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