【フローラS】注目は前走重賞組にあらず 君子蘭賞1、2着ヴァンルーラー、シンシアウィッシュ
勝木淳
ⒸSPAIA
キャリア3戦以上
桜花賞は7番人気スターズオンアースが勝利し、桜の女王に。同日忘れな草賞で圧巻の走りをみせたアートハウスもおり、第2戦オークスへ向けた戦いは早くも熱を帯びる。
近年オークスはタフな競馬になる傾向があり、以前ほど桜花賞組断然でなくなりつつある。昨年もフローラS3着ユーバーレーベンが樫の女王に。今年もここから躍進する馬を期待したい。ここでは過去10年間のデータを使用する。
まず人気別成績。1番人気は【3-1-0-6】勝率30%、複勝率40%と微妙なライン。それならば2番人気【1-5-2-2】勝率10%、複勝率80%が連軸向き。5番人気までは勝率で横一線。6~9番人気のいかにもという穴馬は【0-1-2-37】だが、10番人気以下が【1-3-3-78】勝率1.2%、複勝率8.2%と油断できない。
春クラシック戦線も後半に突入とあって、キャリア別成績にも注意したい。1戦【0-0-0-10】、2戦【1-0-1-27】勝率3.4%、複勝率6.9%と浅いキャリアは苦戦。3戦【4-3-3-27】勝率10.8%、複勝率27.0%が中心。7戦【2-0-1-10】勝率15.4%、複勝率23.1%、8戦【0-2-1-7】複勝率30%などレース数を重ねた馬もいい。キャリア3戦以上を目安に考えたい。今年の出走予定馬では前走重賞組のエリカヴィータ、キタサンシュガー、ルージュスティリアがキャリア2戦。早々に桜花賞路線を見切って、オークスへ転換してきた点は評価したいが、データ上は苦しい。
カギは前走1勝クラスの中距離戦
2番人気連軸、上位人気堅調、大穴注意、キャリア3戦以上優勢といった傾向がわかったところで、ここからは前走成績を中心にさらに好走馬を探してみたい。
桜花賞出走を狙わなかった、もしくは早々にオークスへ路線変更した馬が優勢であることは、前走クラスにもみえる。前走1勝クラスが【7-4-3-57】勝率9.9%、複勝率19.7%と勝率がもっとも高く、勝ち切る傾向。反面、GⅢは【1-5-5-37】勝率2.1%、複勝率22.9%と複勝圏まで。重賞転戦組は優先権こそとれるものの、勝つ可能性は低い。オークス照準、ここが勝負という意気込みを感じるローテを上位にとりたい。
それでは前走1勝クラスについて突っ込んでいきたい。まずは距離別成績。前走1600mは【0-0-0-7】。前走1勝クラスといえど、桜花賞に意識があり、ここに回る形になった馬はやはり苦しい。1800m【4-2-1-21】勝率14.3%、複勝率25.0%、2000m【2-2-1-24】勝率6.9%、複勝率17.2%、2400m【1-0-1-4】勝率16.7%、複勝率33.3%と中距離を経験してきた馬が強い。
人気が予想されるラスールは前走マイル戦の平場1着。血統的には母サマーハ、半兄にシャケトラがいるステイヤー血統に中距離志向の父キタサンブラック。むしろマイルが適性外かもしれないので、ここは注目したい。また2400mを経験した牝馬も貴重な存在で、大敗後だがトゥーサンもチェックしておきたい。
今年も該当馬が多い前走1勝クラス・芝1800m出走組について着順別成績をみる。当然ながら勝った馬が【4-1-0-5】勝率40%、複勝率50%と強い。ヴァンルーラー、ルージュエヴァイユは評価したい。
ヴァンルーラーは父ルーラーシップに母系米国ノーザンダンサー系。開幕週の高速馬場でも見劣らないスピードとスタミナを兼備する。ルージュエヴァイユの父ジャスタウェイはハーツクライの系統。短距離寄りの活躍馬も出すが、ロードマイウェイ、シングフォーユーといった中距離型も目立つ。母の父はフランケル。開幕週の持続力勝負ならば力を発揮する。
また前走2着も【0-1-1-4】複勝率33.3%と惜敗なら好走可能だ。ヴァンルーラーに君子蘭賞で敗れたシンシアウィッシュがこれに当たる。こちらは中距離型の父キズナ。母ザナの産駒は短距離傾向もあるが、ミスプロ系マキャヴェリアンにガリレオという組み合わせ、こちらも中距離の持続力勝負でこそだろう。
では前走1勝クラス・芝1800mについて位置取り別成績を調べる。舞台が東京芝2000mであっても、前走逃げ【1-0-0-2】勝率、複勝率33.3%、先行【2-2-0-9】勝率15.4%、複勝率30.8%が優勢。せいぜい中団【1-0-1-7】勝率11.1%、複勝率22.2%まで。後方は【0-0-0-2】。ヴァンルーラー、シンシアウィッシュの君子蘭賞組はOKだが、ルージュエヴァイユにはやや気になるデータだ。
前走GⅢ組は掲示板以内
最後に前走GⅢ組について。その内訳はフラワーC【1-3-4-17】勝率4.0%、複勝率32.0%、クイーンC【0-2-1-8】勝率18.2%、複勝率27.3%、チューリップ賞【0-0-0-6】。ここも中距離志向か早々に路線転換した馬がよさそう。久々だったチューリップ賞6着ルージュスティリアはどうだろうか。前走GⅢ組ならフラワーC7着キタサンシュガー、フェアリーS10着以来となるエリカヴィータか。
しかし、前走GⅢの着順別成績を調べると、惜しくも賞金加算できなかった3着【0-1-3-2】複勝率66.7%のほかに5着【1-0-1-3】勝率20%、複勝率40%が好成績。掲示板以内の信頼度が高い反面、6~9着【0-1-1-10】複勝率16.7%、10着以下【0-1-0-7】複勝率12.5%はやや確率が下がる。上記の重賞組は6着以下で、今年は過信禁物だろう。
フィリーズレビューから転戦するマイシンフォニーはデータから判断すると厳しいが、父ディープインパクトにデピュティミニスター系で東京の高速馬場には強そう。母の父ソルトレイクは短距離志向であるが、この馬は距離延長がプラスに出そうな予感もある。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。
《関連記事》
・3連単の最高額は2073万8890円 2021年中央競馬の高額配当ランキング
・ルメール騎手の鉄板条件は 頭に入れておきたい2021年の傾向振り返り
・1位は「1.8秒差」つけたサイレンススズカ&メジロブライトの伝説2レース! JRA平地重賞の着差ランキング
おすすめ記事