【マイラーズC】ディープインパクト産駒が断然 一発狙うならコース実績馬レッドベルオーブ

勝木淳

マイラーズCインフォグラフィック,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

昨年はハイペースの差し決着

今年も京都開催がないため、阪神連続開催が2週間延長される。延長戦最初の重賞がマイラーズC。安田記念の前哨戦にあたるGⅡ戦は前年覇者ケイデンスコール、マイル重賞常連カラテ、ホウオウアマゾンなどが顔をそろえ、今年も激戦が予想される。ここでは阪神芝1600m、古馬オープン以上、2012年以降今年4月10日までの52レースを使用。コース傾向から好走パターンを探っていく。

阪神芝外回り1600mは桜花賞の舞台として有名。スタート地点は内回り芝1200mと同じ向正面半ば。外回り3コーナーまでは距離があり、先行争いはさほど激しくならない。隊列が決まる残り1000m地点から下り勾配に入り、3、4コーナーは下り坂。最後の直線約470mは西日本最長。比較的ゆったりした序盤から瞬発力勝負になることが多い。ただし昨年のマイラーズCはベステンダンクが飛ばし、前半600m33.3、前後半800m44.5-46.9のハイペースになり、1.31.4の好時計決着だった。


過去10年同条件人気別成績,ⒸSPAIA


クセのないコースでもあり、人気別成績では1番人気【16-8-9-19】勝率30.8%、複勝率63.5%、2番人気【11-8-7-26】勝率21.2%、複勝率50.0%と上位人気は堅調。3番人気【5-11-7-29】勝率9.6%、複勝率44.2%、4番人気【7-7-4-34】勝率13.5%、複勝率34.6%あたりから軸馬を選びたい。5番人気以下は確率が下がるものの、10番人気以下【5-8-7-253】勝率1.8%、複勝率7.3%と複穴出現の可能性はある。


父ディープインパクトが断然

コース傾向を踏まえ、位置取り別成績や血統面から好走しそうな馬を探す。


過去10年同条件脚質別成績,ⒸSPAIA


ハイペースで差し決着になった昨年でも3着は先行した9番人気カイザーミノルだったように、逃げ、先行は侮れない。その成績は逃げ【8-4-1-39】勝率15.4%、複勝率25.0%、先行【17-18-20-126】勝率9.4%、複勝率30.4%。差し馬勢は中団【24-20-20-228】勝率8.2%、複勝率21.9%まで。後方は【3-10-11-190】勝率1.4%、複勝率11.2%と落ちる。直線が長いコースでも後方一気は決まりにくく、昨年1、2着は4コーナー8、10番手。極端な追い込み型は狙いにくい。


過去10年同条件種牡馬別成績,ⒸSPAIA


種牡馬別成績をみると、基本的に瞬発力勝負になりやすい舞台らしく、ディープインパクトが【13-14-12-67】勝率12.3%、複勝率36.8%で着度数別トップ。今年はファルコニア、レッドベルオーブ、サトノアーサーなどが当てはまる。ディープ産駒は基本的に若いうちに好走する傾向があるので、狙うなら4歳レッドベルオーブ。同舞台にはデイリー杯2歳S勝ち、朝日杯FS3着の実績がある。レッドファンタジアの仔の重賞好走はすべてマイル。クラシックからマイル路線に転換、休み明け六甲S7着、走りごろではないか。

以下ステイゴールド、ダイワメジャーと続き、ハーツクライが【3-1-3-21】勝率10.7%、複勝率25.0%、キングカメハメハ【3-1-2-45】勝率5.9%、複勝率11.8%。ハーツクライはヴィクティファルス、シュリなど。キングカメハメハはホウオウアマゾン、エアロロノアなどがスタンバイ。ケイデンスコールのロードカナロアは【1-0-5-20】勝率3.8%、複勝率23.1%で、1勝はケイデンスコール自身の記録。不思議なことにロードカナロアの成績が振るわない。ただし、クラスを問わなければ23勝で数字としては悪くない。苦手ではなさそうだ。


レッドベルオーブ復活へ

ここからは前走距離に注目し、前走成績から好走ゾーンについてさらに掘り下げていきたい。


過去10年同条件前走距離別成績,ⒸSPAIA


前走の距離でデータを見ると、前走がマイルだった馬は【25-22-20-225】勝率8.6%、複勝率22.9%。マイルより短いと【11-10-9-144】勝率6.3%、複勝率17.2%とやや落ち、逆に長いと【15-20-23-211】勝率5.6%、複勝率21.6%、勝ちきれないが、2、3着までなら好走確率はマイル並みだ。


過去10年同条件前走1600m組脚質別成績,ⒸSPAIA


前走1600m組について位置取り別成績を。コース傾向と同じく前走逃げ【3-2-1-20】勝率11.5%、複勝率23.1%、先行【9-6-5-37】勝率15.8%、複勝率35.1%が優位。先行はホウオウアマゾン、ファルコニア、レッドベルオーブ、ケイデンスコールなどが当てはまる。控えた組も中団【6-9-11-93】勝率5.0%、複勝率21.8%、後方【7-5-3-71】勝率8.1%、複勝率17.4%と悪くなく、エアロロノア、エアファンディタ、シュリも評価を下げない方がいい。


過去10年同条件前走1600m組着順別成績,ⒸSPAIA


この組の着順別成績をみると、前走1着【9-2-8-18】勝率24.3%、複勝率51.4%をはじめ、掲示板内が好成績。6~9着【7-5-2-58】勝率9.7%、複勝率19.4%は単勝回収値170なので、穴馬はこのあたりの負けた馬から出るものの、複勝率ベースでは5着の31.3%を比べて見劣る印象。

エアロロノア、エアファンディタの前走オープン1着、ソウルラッシュ3勝クラス1着は評価したい。6~9着に入るレッドベルオーブは一発逆転候補として面白い。さらに負けた10着以下は【4-7-4-97】勝率3.6%、複勝率13.4%。該当するホウオウアマゾン、ダイワキャグニー(前年4着馬)、シュリ、ケイデンスコールは押さえ程度か。


過去10年同条件前走1800m組着順別成績,ⒸSPAIA


距離短縮組で今年のカギを握りそうなのは、中山記念2着カラテなどが当てはまる前走1800m。その着順別成績は前走1600mより厳しめで、前走1着【2-3-5-12】勝率9.1%、複勝率45.5%から4着【4-0-3-8】勝率26.7%、複勝率46.7%が好走ゾーン。5着以下は複勝率が一気に10%台まで落ちる。走り慣れたマイル戦に戻るカラテは、しっかりとこのデータをクリアしている。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。


マイラーズCインフォグラフィック2,ⒸSPAIA



《関連記事》
3連単の最高額は2073万8890円 2021年中央競馬の高額配当ランキング
ルメール騎手の鉄板条件は 頭に入れておきたい2021年の傾向振り返り
1位は「1.8秒差」つけたサイレンススズカ&メジロブライトの伝説2レース! JRA平地重賞の着差ランキング

おすすめ記事