【皐月賞】皐月賞ゆかりの血統、オニャンコポンの血が騒ぐ! 母父ヴィクトワールピサが制した牡馬クラシック第一弾の歴史

緒方きしん

皐月賞、過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA

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2022年GⅠ・1番人気の連敗は止まるか

桜花賞は7番人気スターズオンアースが勝利。1番人気ナミュールは10着に沈み、フェブラリーSのレッドルゼル(6着)、高松宮記念のレシステンシア(6着)、大阪杯のエフフォーリア(9着)に続き、1番人気馬の連敗が止まらない結果となった。

今週は皐月賞。ハーツクライやディープインパクトといった実績ある種牡馬が、朝日杯FS勝ち馬ドウデュースやホープフルS勝ち馬キラーアビリティ、共同通信杯勝ち馬ダノンベルーガらを送り込む。対する新興勢力の種牡馬たちも、キタサンブラックやドレフォンらが東スポ杯2歳S勝ち馬イクイノックスや若葉S勝ち馬デシエルトらを送る。

古くはトサミドリやコダマ、メイズイやタニノムーティエ、ハイセイコーらが勝利。平成以後もセイウンスカイやアグネスタキオン、テイエムオペラオーやゴールドシップ、アルアインといった名馬が勝利してきた歴史ある牡馬クラシック第一戦。今回は皐月賞の歴史を振り返る。

1番人気馬は明暗が分かれる

皐月賞過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA



ここ5年1番人気は2勝。コントレイルとサートゥルナーリアが人気に応えた。一方、昨年は1番人気ダノンザキッドが15着と惨敗。2017年1番人気ファンディーナ7着、2018年1番人気ワグネリアンも7着と、近5年間の1番人気馬は勝利or掲示板外と明暗が分かれている。

近年好調なのは8番人気。昨年は8番人気タイトルホルダーが2着に食い込み、1着エフフォーリアとの馬連は43倍になった。2020年3着馬ガロアクリークや2018年3着馬ジェネラーレウーノも8番人気で馬券圏内に食い込んでいる。それ以前にも、2016年勝ち馬ディーマジェスティや2014年3着馬ウインフルブルームなどが8番人気だった。少なくとも、中穴の上位進出は珍しくないという点を頭に入れておきたい。

当然ながら牡馬クラシックの第一戦であるここを目標にしている陣営は多く、皐月賞で力関係が明らかになると言って良いだろう。上述したエフフォーリア、タイトルホルダーの馬連配当をオイシイと感じる方もいると思われる。過去にも、ダイワメジャー(10番人気)やメイショウサムソン(6番人気)など伏兵評価ながら勝利をあげている。オルフェーヴルやゴールドシップも皐月賞時点では4番人気評価だった。

ドゥラメンテとキタサンブラックが激突した2015年

後々になって振り返れば……という点では、2015年皐月賞が思い出される。ドゥラメンテ、キタサンブラックのワイドは11.3倍もついた。キタサンブラックは初めて一番人気に推されたのが4歳秋という人気<実力タイプだったとはいえ、皐月賞まで重賞を含む3戦無敗という実績。勝ち馬のドゥラメンテも母アドマイヤグルーヴ、祖母エアグルーヴの良血馬でそれまで4戦2勝2着2回という成績だった。無敗馬×良血馬のワイドでこのオッズは、なかなかオイシイと言えるのではないか。

良血馬ドゥラメンテは生まれながらに背負った周囲からの期待に応えクラシック勝ち馬になると、続くダービーも制覇して二冠馬となった。しかしその後は、怪我などでGⅠを制することなく引退となった。種牡馬としても5世代を残すのみで急性大腸炎のため2021年8月に急逝してしまう。そんな悲運の名馬の血を受け継ぐ産駒たちが初年度産駒から活躍。タイトルホルダーが菊花賞を優勝、2世代目のスターズオンアースは先日の桜花賞を制し、父の名声を高めている。

ドゥラメンテを共同通信杯で撃破し皐月賞でも2着になったのが、これまた曾祖母に世界的名牝Miesqueがいる良血馬リアルスティール。そして皐月賞で1番人気に推されていたのが新馬戦、東スポ杯2歳S、弥生賞を3連勝していたサトノクラウンである。リアルスティールは古馬になってドバイターフを優勝、サトノクラウンは香港ヴァーズや宝塚記念を制した。

キタサンブラックを含む2015年の皐月賞出走馬たちはドゥラメンテが引退してからも活躍を続け、2017年天皇賞(秋)では1着キタサンブラック、2着サトノクラウン、4着リアルスティールと同期で揃って上位入線を果たした。

サトノクラウン、リアルスティールの初年度産駒は早ければ今年の6月にデビューする。そしてキタサンブラックの初年度産駒は昨年の6月にデビューを果たしており、今年の皐月賞に無敗馬イクイノックスを送り込む。イクイノックスは父と異なりデビュー2戦目で1番人気を経験済みだが、皐月賞では父と比べてどんな走りを見せてくれるだろうか。

残されたドゥラメンテの産駒と共に、2015年クラシック世代の血統を持つ馬たちが、これからの競馬界を盛り上げてくれることに期待したい。

皐月賞3着馬の血統にも注目

皐月賞3着から更なる躍進を果たした馬はキタサンブラックだけではない。名馬があつまる牡馬クラシックのため当然と言えば当然だが、それでも以降に活躍した馬が多い。

2016年3着サトノダイヤモンドは3000mの菊花賞を制し、2019年3着ダノンキングリーは1600mの安田記念を制覇。2004年3着メイショウボーラーは4歳冬からダート路線に転向すると、素質一気に開花しフェブラリーSを制した。

スペシャルウィークやジャングルポケット、エイシンフラッシュ、ディープブリランテらは皐月賞3着 → ダービー1着、タニノギムレットは皐月賞3着→NHKマイルC3着→ ダービー1着。種牡馬としてはジャングルポケットが2007年フサイチホウオー、スペシャルウィークが2014年ウインフルブルームでそれぞれ皐月賞を親子で3着という成績を残している。

今年の出走馬ではキタサンブラック産駒だけでなく、皐月賞3着馬エイシンフラッシュ産駒のオニャンコポンもいる。母父ヴィクトワールピサはエイシンフラッシュも出走した皐月賞の勝ち馬であり、ヴィクトワールピサの父であるネオユニヴァースも皐月賞を制している。そんな興味深い血統を持つオニャンコポンの走りにもぜひ、ご注目いただきたい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。


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