【アンタレスS】オメガパフューム登場! 上がり馬バーデンヴァイラー、グロリアムンディがどこまで迫れるか
勝木淳
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実績馬の1番人気は中心視
芝路線がGⅠ真っ只中にあるなか、ダートは2月フェブラリーS以後、5月かしわ記念、6月帝王賞へと上半期は南関東で大レースが続く。そこに出走するために必要な賞金を稼ぐレースがアンタレスSと5月の平安S。昨年はテーオーケインズがここで初重賞タイトルを獲得し、帝王賞、チャンピオンズCと飛躍を遂げた。
今年はオメガパフュームを筆頭に既成勢力が多く参戦、上半期ダート戦線を占う一戦になるだろう。ここでは過去10年間のデータをもとに好走傾向を探っていく。
1番人気は【5-1-1-3】勝率50.0%、複勝率70.0%だが、このうち初重賞制覇だったのは21年テーオーケインズ1頭。残り4勝は重賞勝ち馬によるもの。ここ3年連続、勝ち馬は重賞初制覇だった。20年は3番人気、19年は6番人気が勝利。20年1番人気ベストタッチダウンは14着と、上がり馬が大敗することもあり、実績馬の1番人気は比較的信頼できる。
2番人気【1-3-2-4】勝率10.0%、複勝率60.0%、3番人気【2-2-3-3】勝率20.0%、複勝率70.0%と上位人気は強く、4番人気【0-0-0-10】以下はやや厳しいものの、6番人気は【2-1-1-6】勝率20.0%、複勝率40.0%と好成績なので注意したい。
年齢別でみると、5歳【6-1-2-23】勝率18.8%、複勝率28.1%が勝ち切り傾向。反面、4歳は【2-4-2-28】勝率5.6%、複勝率22.2%と連対圏中心。6歳は【1-3-5-36】勝率2.2%、複勝率20.0%と複勝圏中心と考えたい。7歳以上は【1-2-1-43】勝率2.1%、複勝率8.5%とダート重賞らしくベテランにも気を配りたいが、スピード重視のJRAダート重賞では苦しいところもある。7歳オメガパフューム、10歳ウェスタールンドはこの壁を越えられるか。
ケイアイパープル、バーデンヴァイラー、グロリアムンディの評価
ベテランの実績馬以外にも4歳バーデンヴァイラー、6歳オーヴェルニュなどが上位人気候補。これらが勝ち切れるかどうかをデータで見たところで、ここからは前走成績に注目し、さらに具体的に考えていく。
前走クラス別では3勝クラス【0-0-0-12】、オープン・リステッド【3-0-1-30】勝率8.8%、複勝率11.8%と挑戦者といえど、最低でもオープン実績は必要。JRA重賞でみると、GⅡ【0-0-3-5】複勝率37.5%、GⅠ【1-2-0-5】勝率12.5%、複勝率37.5%で格上からくる馬が強く、GⅢは【1-3-4-54】勝率1.6%、複勝率12.9%と数の割に苦戦傾向だ。注目は前走地方【5-5-2-24】勝率13.9%、複勝率33.3%。
前走地方重賞出走馬の内訳を見ると、名古屋大賞典【4-3-1-7】勝率26.7%、複勝率53.3%、ダイオライト記念【1-2-1-7】勝率9.1%、複勝率36.4%が主要ローテ。前者は2着ケイアイパープル、5着アルーブルト。後者は9着メイショウカズサがいる。なおオメガパフュームやウェスタールンドが該当する前走東京大賞典はこの10年出走がない。
アンタレスS主要ローテである前走名古屋大賞典組について掘り下げる。新競馬場は旧競馬場より幅員が広く、正面直線も194mから240mと長くなるので、今後は傾向が変化するかもしれないが、旧競馬場は基本的に先行勢が強く、名古屋大賞典先行が【4-3-1-4】勝率33.3%、複勝率66.7%と優勢。アルーブルトより機動性があるケイアイパープルを評価したい。
次にJRA重賞について内訳を。今年だとマーチS【0-3-4-53】複勝率11.7%、東海S【0-0-3-4】複勝率42.9%に注目。いずれも勝ち馬が出ていない点は気になるところだが。
前走マーチSは3着ヒストリーメイカー、5着カデナなどがいる。今年のマーチSは時計の出る馬場状態で行われ、1000m通過1.00.9の平均ペース。早めに動いた2着ケンシンコウが一旦先頭も最後にメイショウハリオの追い込みが決まった。もう一頭の3着は中団から差してきたブルベアイリーデとマーチSらしい先行、差し、追い込み入り乱れる競馬だった。
マーチSの位置取り別成績は逃げ【0-0-0-6】、先行【0-1-1-15】複勝率11.8%、中団【0-2-2-21】複勝率16.0%、後方【0-0-0-10】といった感じ。逃げと追い込みが悪く、先行より中団優勢。ヒストリーメイカーを評価、カデナとデュープロセスの追い込み勢は狙いを下げた方がよさそうだ。
また前走東海Sは2着オーヴェルニュがいる。この10年、6着以下【0-0-3-3】で敗退組の巻き返しがパターン。オーヴェルニュはこれに該当しないが、東海S好走は17年東海S1着グレンツェントの9着のみ、判断保留としたい。ただオーヴェルニュは21年以降好走が左回りしかない点は気にしたい。
最後に前走オープン・リステッドの着順別成績をみると、1着【3-0-0-5】勝率、複勝率ともに37.5%、2着以下【0-0-1-25】で勝った馬を抑えたい。現在、3連勝中バーデンヴァイラーと4連勝中グロリアムンディはこれに当てはまる。その前走着差は0.3以上【3-0-0-0】。ともにこのデータをクリア。実績馬と好勝負できる可能性は高い。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。
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