【京都記念】先行馬不在で前残りに注意 京大競馬研はレッドガランとアフリカンゴールドに期待

京都大学競馬研究会

京都記念インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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昨年は先行決着 今年もその傾向が続くか

2月13日(日)に阪神競馬場で行われる京都記念(GⅡ・芝2200m)。ここ数年のメンバーと比べるとやや小粒な印象は否めないが、それでも昨年のオークス馬ユーバーレーベンをはじめ、天皇賞(秋)とジャパンカップで4着だったサンレイポケット、中山金杯を制したレッドガラン、条件戦での連勝が好内容だったジェラルディーナなど素質馬が揃った。

春の大舞台に向け飛躍を遂げるのはどの馬か。今年も阪神開催となるので、昨年の結果にも注目しつつ予想していきたい。


2021年京都記念結果,ⒸSPAIA

まずは阪神開催だった昨年の当レースを見ていく。ラヴズオンリーユーが好位追走から快勝したが、2着馬および3着馬のコーナー通過順はそれぞれ(3-3-3-2)(2-2-2-1)であり、まさに流れ込んだ形。そして勝ったラヴズオンリーユー以外、8着馬までの上がり3Fタイムは35.0~35.2の間に集中しており、位置取りの差ですべてが決まったレースだった。

今年も昨年と同様に開幕週で行われることに加え、先行馬がほとんどいないメンバー構成。昨年のような先行決着になることが濃厚なので、先行できる馬を重視したいところだ。


GⅠ組が優勢だが、今年はGⅠ組以外もチャンスあり

過去10年京都記念前走クラス別成績,ⒸSPAIA

次に京都記念における前走クラス別成績を見ていく。まず、前走GⅠ組が【7-6-8-18】と非常に安定した成績を残しており、好走馬の大半を占めている。ただし、前走着順に関してはまちまちで、必ずしも前走で上位の着順だった馬がそのまま好走しているわけではない。GⅠ組以外では、GⅡ組【1-2-2-35】、GⅢ組【2-1-0-14】が好走馬を出しており、リステッド以下からは2着馬が1頭出ているのみだ。そのため基本的には前走重賞組からということになるが、今年の出走馬13頭中12頭がこれに該当するので絞り切れない。

そこで各組の回収率についても見ていく。前走GⅠ組は単勝回収率198%、複勝回収率129%、GⅡ組は単勝回収率21%、複勝回収率26%、GⅢ組は単勝回収率104%、複勝回収率37%であった。GⅠ組の単勝回収率の高さが際立つが、これは2014年6着のジェンティルドンナ(1着デスペラード)や、2017年3着のマカヒキ(1着サトノクラウン)など、GⅠ組の中でも人気のある実績馬が敗れた際に他の該当馬が勝ったことで、単勝の配当が跳ね上がったのが大きな要因だ。裏を返せばGⅠ組の人気馬に全幅の信頼がおけるわけではなく、人気馬の陰に隠れて軽視されている実力馬に注意すべきだろう。

また、GⅠ組以外が勝利した年は、GⅠ組の出走頭数が少なく、着順が悪い馬や長期休養明けの馬がほとんどだった。今年はGⅠ組が4頭と手薄なうえに、能力が大きく抜けているわけでもなく適性面に不安のある馬も多いので、GⅡ組やGⅢ組にもチャンスがありそうだ。



先行できる馬を上位評価

以上を踏まえ、基本的には先行勢を中心に狙っていきたい。印は以下の通り打った。

◎レッドガラン
前走の中山金杯は久々の2000mだったが、好位につけて直線ではスムーズに抜け出し快勝。道中でマクリが入ってペースが上がったが、最後の坂でも止まらず伸びきっており強い内容だった。近走はマイル戦を多く使われていたが、2000mでこの競馬ができるのであれば距離に不安はないだろう。今回はほとんど先行馬がおらず番手を取れそうなので、展開の利もある。また上位勢の脚質やコース適性に不安が多いので、前走GⅢ組でも十分通用するとみて本命に推す。

◯アフリカンゴールド
大穴になるだろうが、かなり期待している。2走前の中日新聞杯では前残りの恩恵を受けたとはいえ、最後までしぶとく伸びて2着に好走。前走の日経新春杯では逆に前崩れになる厳しい展開だったが、交わされてからも踏ん張り最後にもう一度伸びて5着。この2走の内容はかなり良く、一時の不振は脱したようだ。近2戦はスタートから押していって先行しているが、前に行ってしぶとく伸ばす戦法が合っているようで、引き続き国分恭介騎手が騎乗なら同じような競馬をするだろう。今回は全く先行馬がおらず楽に先行できそうなのはプラスで、開幕週の馬場の恩恵を受けられれば再びの好走があってもおかしくない。

▲ユーバーレーベン
能力だけでいえば間違いなくトップクラスの馬。前走のジャパンカップでは外に出すことができず、伸びない内に突っ込んでいかざるを得なかったが、それでもよく伸びて6着。スムーズならもっとやれたはずで、能力の高さ自体は示したと言える。今回はケガ明け3戦目で状態もかなり良さそうだが、阪神2200mという条件が非常に不安だ。あまり前に行けないので開幕週の内回りでは差し損ねがある上に、広いコースでのびのびと走るほうが向いていて、このコースはイマイチ合わない。能力的にこれ以上は評価を下げられないが、取りこぼしは十分あり得るとみて3番手評価とする。

△ジェラルディーナ
潜在能力でいえばこちらもかなり高いものがあり、2走前や3走前のように外に出してエンジンがかかれば一気に抜けてくる強さがある。ただ前走のように包まれるとあまり伸びきれず、距離に関しても2200mは経験がなくやや長い印象だ。また、エンジンのかかりが遅めなので、内回りの2200mではこちらも差し損ねる可能性がある。ハマれば圧勝しても不思議ではないが、安定した軸としての信頼は置けないのでこの評価にとどめる。

×マリアエレーナ
クロフネ産駒だが2000m以上で良績を残しており、昨夏から格上挑戦もありながら常に3着以内に好走している安定株。ある程度好位につけることができるのはプラスで、上手く立ち回ればここでも十分通用する。ただ前走愛知杯の2着に関しては、中京で内に張り付いてロスなく運ぶ完璧な競馬だったこともあり、全て上手くいったからこその結果ともいえる。牝馬限定のハンデ重賞から混合別定GⅡになり、前走までと同じ競馬を期待できるかは微妙なので押さえ程度の評価にとどめる。

×サンレイポケット
昨秋は天皇賞(秋)とジャパンカップでともに4着に好走しており、前走GⅠ組では最も着順が良い。実際力をつけてきており、能力自体はここでも十分上位だ。しかし、長い直線を活かしてジリジリ伸びてくるタイプなので東京や新潟外回りは絶好だが、開幕週の阪神内回りが向くとは考えづらい。好走しても人気しないタイプなので相手には入れるが、勝ち切るまでは厳しいとみて押さえ評価とする。

☆タガノディアマンテ
もう1頭穴馬として挙げるならこの馬。前走は1年ぶりの競馬だったが、中団後ろから馬群を捌いて4着まで上がってきた。叩いての上積みは大きく前走以上の状態で出てこれそうなのはプラスで、早めに動いていくような競馬ができればチャンスがあって良さそうだ。

レッドジェネシスの菊花賞大敗は、道悪の神戸新聞杯で激走した反動が出たので参考外だが、重賞で好走した2戦は馬場や展開が向いた面が大きい。後方からの競馬になることが多く、未勝利戦時代にも何度も前残りを許していることから、開幕週でスローペース濃厚の今回は見送りたい。ただ道悪巧者なので、雨が予報より降って重馬場になった場合に限り相手に含めておく。

買い目は3連複1頭軸◎-◯▲△××☆と、◯からのワイドとする。◯アフリカンゴールドが絡めばかなりの高配当が期待できるので、開幕週の前残りに期待したい。(文:川崎)

▽京都記念予想印▽
◎レッドガラン
◯アフリカンゴールド
▲ユーバーレーベン
△ジェラルディーナ
×マリアエレーナ
×サンレイポケット
☆タガノディアマンテ

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。



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