【2歳馬ジャッジ】ジャングロが朝日杯FSでも3着相当の指数を記録 いずれ重賞で穴を開ける馬になりそう

山崎エリカ

2021年12月3週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA

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GⅠ以外にも楽しみな馬が出現した12月3週目の2歳戦

このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は朝日杯FSを勝利したドウデュース、中京2歳Sをレコード勝ちしたジャングロなどがでた12月18日、19日の2歳戦について、指数と評価を掲載する。

12月18日(土) 中山4R 優勝馬 パーカッション 指数-9(ダート) 評価B
前走の7月福島の芝新馬戦、ミッキーブンブンが豪快に差し切りを決めた一戦では、3角先頭の内容の濃い競馬をしていたパーカッション。今回はそれ以来の休養明け、そして初ダートの一戦。新馬戦が好内容だったことは確かだが、初ダートをこなせるかは何とも言えないところだった。

レースは好位2番手からの競馬。直線では今回がダート2戦目で逃げたロードヴァレンチがかなりしぶとい粘りを見せたが、最後にパーカッションが差し切った。ラスト2Fは12秒3-12秒3。最後まで減速しなかったことは高く評価できる。パーカッションは3着馬に6馬身半差、ロードヴァレンチは3着馬に5馬身差。上位2頭は未勝利クラスとしてはなかなかの好指数。今回の上位2頭は今後のダート路線で楽しめそうだ。

12月18日(土) 中山6R 優勝馬 タヒチアンダンス 指数-11(ダート) 評価B
序盤で外からジワッと逃げ馬に並びかけ、しばらく併走していたタヒチアンダンス。しかし、3角手前で逃げ馬を競り潰して先頭。3~4角から後続に差をつけ始め、直線では完全に独走、大差勝ちだった。

指数は古馬1勝クラスで勝ち負けになるレベルのものを記録。ラスト2Fは12秒3-13秒2と減速している点はマイナスだが、とにかく派手な勝ちっぷりだった。現2歳ダート路線は秋以降、派手な勝ち方で好指数を記録した馬が多く出現し、例年よりもレベルが高い気配になってきている。この馬もその戦いに食い込んでいけるか。

12月18日(土) 阪神3R 優勝馬 ドンフランキー 指数-14(ダート) 評価B
芝の新馬戦では2着、次走が5着。今回は休養明けで初ダートの一戦となったドンフランキー。外枠からしばらく走る芝の部分でスピードに乗ると、そのまま逃げる競馬。砂を被らずにマイペースの逃げができた。最後の直線では後続を少しずつ引き離して、2着馬に3馬身半差馬をつけて快勝。3着以下はバラバラになってのゴールだった。

逃げて最速の上がり3Fタイム、指数は古馬1勝クラス勝ちレベルをやや上回るもの。強かった。初ダートでこの走りならば、今後がかなり期待できる。ただ今回は休養明けで走り過ぎの感もある。次走の状態面には気をつけたい。

12月18日(土) 阪神7レース 優勝馬 ストロングウィル 指数-4 評価A
12月阪神のラリュエルが好指数勝ちした新馬戦で2着だったストロングウィル。前走は前週までの外有利な馬場状態だったAコースからBコースに変わったばかりで、騎手がまだ内が伸びるのか、外が伸びるのかを判断することが難しい状況で行われた。

ストロングウィルの鞍上は前週までと同じ外が伸びるものと判断したが、それは裏目に出て内を突いたラリュエルが勝利。結果的にストロングウィルは進路取りを間違えたような競馬となったが、負けて強しだった。

ただ前走はかなりタフな競馬で、今回はその反動が出ないかが懸念点だった。レースは好位3番手で進めたが、今回のメンバーでは能力が違ったようで、前が早々とバテて4角ではもう先頭に立つ競馬。そのまま後続の追撃を封じて勝利した。

ラスト2Fは11秒4-12秒5と減速。指数は前走比でダウン。やはり新馬戦のダメージは少し残っていたような競馬だった。しかし、そんな状況でも勝利したことは評価できる。新馬戦で2着ながら好指数を記録した素質。順調に使えれば、今後の活躍が期待できそうだ。

12月19日(日) 阪神1R 優勝馬 ヴァレーデラルナ 指数-10 評価B
前走芝の新馬戦ではダッシュがつかず、中団の後ろからレースを進めて4着だったヴァレーデラルナ。今回はデビュー2戦目、初ダートの一戦だった。スタート地点がダートの今回は前走よりも行きっぷりが良く、逃げ馬の外2番手からの競馬。4角では先頭に立ち、直線では後続を突き放して5馬身差の圧勝だった。新馬戦からは随分と大きく内容が良化。ダート路線で楽しめそうな馬だ。今後の成長が期待できる。

12月19日(日) 阪神5R 優勝馬 エアアネモイ 指数-4 評価A
ダッシュ良くハナに立ったものの、そこからコントロールして、折り合う競馬となったエアアネモイ。外の馬に「先に行ってもいいですよ」という態勢だったが、外の2頭は行かず、3角手前からほぼ雁行状態の競馬。しかし、エアアネモイは余裕たっぷりに4角手前から一気に動いて、直線では馬場の良い外に出して後続を突き放し、3馬身差の圧勝。ラスト2Fは11秒4-11秒8。渋り気味の馬場状態だったことを考えれば悪くない。大物感がある大きなフットワークの馬で、今後の活躍が楽しみだ。

12月19日(日) 阪神6R 優勝馬 デシエルト 指数‐13(ダート) 評価A
好スタートから速い二の脚で逃げたものの、1角の手前でやや折り合いを欠いて頭を持ち上げる場面があったデシエルト。そこから立て直してマイペースで逃げ、4角手前から後続を引き離し直線へ。しかし、直線でも独走態勢になりながらもヨレる場面もあり、最後はあまり追わずに楽勝だった。

今回の指数は古馬1勝クラス勝ちレベルで、新馬戦としては優秀なもの。最後にヨレたのは、すぐに立て直されていたことから、苦しくなったのではなく、気性的なものだったと推測され、今後の上積みは大きいように感じる。調教師はレース後のコメントで今後は芝挑戦を示唆しているが、もしも芝で軌道に乗れるようなら、新馬戦をダートで無理しなかった分だけ、大きな上積みが期待できる。今後の動向が楽しみな馬だ。

12月19日(日) 阪神11R 優勝馬 ドウデュース 指数-16 評価A
新馬戦でラスト2F11秒4-11秒1の流れを勝利し、この連載では高い評価をしたドウデュースが3戦3勝で現2歳世代の頂点に立った。2着も新馬戦の時点から高い評価をしたセリフォス。この連載も多少なりとも価値があったという結果になって何よりだ。

今回ドウデュースがマークした指数は古馬2勝クラス勝ちレベルを少々上回るレベル。悪くはないが、近年2歳馬のデビューが6月に早まってからの朝日杯FSは、3勝クラス勝ちレベルの指数決着が多かったことを考えれば、やや低調だったと言える。

先日行われた阪神ジュベナイルFもやや低調気味な決着だったが、朝日杯FSも同様。現2歳世代の芝クラシック戦線はまだまだここから勢力図が変わって、波乱含みとなりそうだ。

12月18日(土) 中京10R 優勝馬 ジャングロ 指数-14 評価AA
デビュー4戦目の未勝利戦をなかなかの好指数で勝利していたジャングロ。前走は東京芝1600mのベゴニア賞で逃げて差のない6着と、さらなる成長を感じさせる走りは見せていた。しかし、今回ここまで強い走りを見せるとまではさすがに想像できなかった。

逃げて3馬身半差のレコード勝ち。走破タイムは同日古馬2勝クラスを大きく上回るもの。このレコードは価値があるタイムだ。今回の指数は翌日に行われた朝日杯FSでも3着に相当するもの。今後も森厩舎の馬らしく勝ったり負けたりになるのだろうが、今回で重賞通用級の力があるところは見せた。馬券的にも楽しみな馬になるだろう。

2021年12月3週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA


※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ジャングロの指数「-14」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.4秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。つけた。初ダートでこの走りならば今後に期待ができる。

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