【みやこS】下剋上だ!ラストマン キラリと光る2つのデータに期待

門田光生

みやこS出走馬の前走着順別成績,インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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5歳馬が不振

2021年11月7日、今年も阪神競馬場で行われる第11回みやこS。京都競馬場の改修が始まって1年以上が経過したことになる。なお、開催休止期間は2023年3月までで、工事が完全に終わるのは2024年3月となる予定だそうだ。グランドスワンを含めた新しい京都競馬場も楽しみだが、個人的には京都競馬場名物(?)の「ラーメングランプリ」が再開されるのかどうか、非常に気になるところ。

そのみやこSだが、京都競馬場でJBCが開催された2018年は施行されなかったので、その年を除く全10回のデータを基にして検証していきたい。

みやこS出走馬の所属,ⒸSPAIA

みやこS出走馬の年齢,ⒸSPAIA

まずは所属別から。近い時期、今年の日程でいえば来週に東京競馬場で武蔵野S(ダート1600m)が行われることもあってか、栗東所属馬127頭に対して、美浦所属馬は19頭しか出走していない。連対馬は栗東17連対(9勝)、美浦3連対(1勝)。勝率、連対率で比べると、大きな差はなかった。

ちなみに、武蔵野Sの出走比率を調べてみると、こちらも栗東所属の出走馬が圧倒的に多かった。現在、栗東と美浦のオープン比率が2:1なので、栗東所属馬の方が多いのは分かるが、もしかするとダートオープン馬の比率はもっと差があるのかもしれない。

年齢別だとどうか。最も活躍しているのは4歳馬で、最多の6勝(8連対)を挙げている。続くのは3勝を挙げている6歳馬。意外に不振なのが5歳馬。最多の57頭が出走して、勝ったのは2017年のテイエムジンソクだけ。2着は3回あるとはいえ、物足りない成績である。

性別だが、牝馬の有力馬はJBCレディスクラシックへと向かうこともあってか、全10回で牝馬は4頭しか出走しておらず、また馬券に絡んだ馬もいない。これは武蔵野Sも同様の傾向となっている。

みやこS出走馬の前走馬体重,ⒸSPAIA

みやこS出走馬の前走人気,ⒸSPAIA

ここでも何度か取り上げているように、ダートの重賞=小型馬が苦戦の傾向は健在。具体的にいうと、前走で460キロ以下だった馬は1頭も馬券に絡んでおらず、480キロ以下だった馬で1着馬はいない。基本的には馬格があった方が有利と考えていいだろう。

前走人気を調べると、前走で1番人気に支持されていた馬が7勝を挙げている。この中には前走1番人気で大敗していた馬も含まれており、人気を下げた馬を狙うのが高配への近道といえそうだ。また、前走で2番人気に支持されていた馬も2勝(5連対)とまずまずの成績となっている。

みやこS出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA

みやこS出走馬の前走,ⒸSPAIA

続いて前走でどのクラスを走っていたかだが、最多の5勝(8連対)を挙げているのは前走オープン組で、特にブラジルCからは4頭の連対馬が出ている。

最多の出走頭数であるGⅢ組は3勝(6連対)。その3勝はいずれもエルムS組が記録。このレースも相性がいいステップレースとして覚えておこう。

逆に相性がよくない前哨戦はシリウスS。最多の26頭が出走して、勝ち馬は出ておらず2着馬が2頭、3着馬が1頭いるだけ。ただ、2年続けてシリウスS組が馬券に絡んでおり、今年も絡むようだと、完全にシリウスSに流れがきていることになる。とはいえ、これまでの傾向からも、今年のところは割り引きデータの方に入れておきたい。

みやこSにおけるプラスデータ,ⒸSPAIA

みやこSにおけるマイナスデータ,ⒸSPAIA

あと、みやこSにおけるプラスとマイナスデータを少々。まずはプラスデータだが、シニスターミニスター産駒の成績が【1-2-1-1】と好成績。といってもキングズガードとインカンテーションの2頭しか出走していないのだが、逆にいえば出走したシニスターミニスター産駒は、1回は馬券に絡んでいることになる。また、連対した20頭中、16頭が前走で4着以内というデータが残っている。

マイナスデータの方が、前走の4コーナーで7番手以下だった馬から勝ち馬が出ていない。といっても、このレースは2年前に先行馬が総崩れだったこともあったし、場所も阪神で行われるので、差しや追い込みが効かないレースではない。あくまで、前走で差すレースをした馬に限る。また、連対馬20頭中、19頭が中12週以内で使っていた。夏場に休んで連対したのは、2017年の2着馬ルールソヴァールだけ。基本的に休み明けの馬は軽視していいだろう。

有力馬2頭は休み明け

みやこSのデータをまとめてみよう。まず好走パターン。
A「4歳馬」
B「前走が2番人気以内」
C「ブラジルC、エルムS組」
D「シスターミニスター産駒」
E「前走4着以内」

勝率が低くなるのは以下のパターン。
F「5歳馬」
G「前走馬体重が480キロ以下」
H「シリウスS経由」
I「前走の4角が7番手以下」
J「中13週以上開いている」

ざっとメンバーを見渡して、人気になりそうなのはクリンチャー、オーヴェルニュあたりなのだが、この2頭は6月の帝王賞以来。【0-1-3-27】と勝ち馬が出ていないJ「中13週以上開いている」に該当する。その帝王賞組は【0-0-1-2】。2013年ローマンエンパイア(1番人気→3着)、2014年ニホンピロアワーズ(3番人気→7着)、そして2019年のインティ(1番人気→15着)。いずれも人気を下回っている。こんな「美味しい」データが転がっているのなら、採用しない理由はない。

今回、みやこSに19頭登録しており、その中でマイナスデータがないのはヴェンジェンス、サンライズソア、ダンビュライト、メイショウムラクモ、ラストマンの5頭。この中でちょっと特殊なのがダンビュライト。前走が芝というのは過去に1頭しかおらず、しかも14番人気なので参考にはならないか。プラスデータも持たないが、割引材料もなくノーマークともいかないので、一応押さえておく。

残る4頭で、プラスデータを持っているのは、E「前走4着以内」のサンライズソア、B「前走が2番人気以内」E「前走4着以内」のメイショウムラクモ、そしてA「4歳馬」E「前走4着以内」のラストマン。この3頭のうち、2つのプラスデータを持っているメイショウムラクモとラストマンのどちらかが本命としたい。

メイショウムラクモが該当する「前走1番人気」は勝率23.3%、連対率33.3%とかなり高い数字を誇っている。ただ3歳馬は勝ったことがなく、ギリギリラインの中12週。頭で狙うというより、連軸にふさわしいか。

ならば、頭でラストマンを狙ってみる方が面白そう。日本テレビ盃からみやこSに出走したのは過去に1頭だけしかいないが、その1頭(2010年トランセンド)は見事優勝。当時のトランセンドはGIをまだ勝っておらず本格化前。その時と同じ4歳馬でもあり、ラストマンもこの先、ここをステップにして大化けする可能性がないとはいえない。

登録が出た段階では、優先出走順で3頭横並びの14番目。フルゲートが16頭だから、まさに名前の通り「最後の男」の大駆けに期待したい。

あとはマイナスデータを持たないサンライズソアとヴェンジェンス、そしてもう1頭がアシャカトブ。2頭が出走して2頭とも馬券に絡んでいるシニスターミニスター産駒なのが最大の魅力。不振の5歳馬、そしてシリウスS組と割引材料があるので本命にはできないが、これもぜひ追加しておきたい。

◎ラストマン
〇メイショウムラクモ
▲サンライズソア
△ヴェンジェンス
×アシャカトブ
×ダンビュライト

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。
先週の日曜日は昼間が地方とJRA、夕方は衆議院議員選挙とダービー(競艇)、そして夜はナイター競馬。まさに投票三昧な1日でしたね。


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