【毎日王冠】上半期の勢いそのままに大物喰いに期待 東大HCの本命はケイデンスコール

東大ホースメンクラブ

毎日王冠インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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脚質に拘らず力のある馬を中心に

10月10日(日)に東京競馬場で行われる毎日王冠(GⅡ・芝1800m)。出走予定馬は13頭と少なめだが、うち10頭が重賞馬と、GⅡにふさわしい濃い面々が揃った。特に安田記念で見事復活のGⅠ制覇を飾ったダノンキングリーや今年のNHKマイルC馬シュネルマイスター、デビュー以来10戦して3着圏内を外していないポタジェらの走りは注目を集めている。

秋の東京開催開幕を告げるハイレベル戦を制するのはどの馬なのか。今週もデータを踏まえて予想してゆく。


過去10年毎日王冠成績,ⒸSPAIA


最初に過去10年のレース傾向を分析する。前半3Fが後半3Fよりも速かったのは16頭立てであった12年と、先頭2頭が飛ばした昨年のみ。基本的にはスローで流れると考えてよい。展開を味方につけた逃げ馬が【2-2-1-5】と良績を残しているが、これだけで先行勢が有利と断ずるのは早計。4角7番手以下でも上がり2位以内なら【3-4-4-10】と末脚次第で差し届いており、瞬発力勝負に秀でた馬は位置取りに関係なく押さえておく必要がある。

そして脚質による有利不利が小さいとなると、いわゆる「紛れ」が起こらず、力のある馬が順当に好走するのは必然。毎日王冠では実績ある人気サイドの馬が期待に応える走りを見せている。過去10年で5番人気以内が【9-7-6-28】と馬券の中心で、近5年に限れば【5-5-3-12】と連対は上位人気馬が独占。1→2→3番人気で決まった19年のようなガチガチ決着にも備え、人気サイドを重視して馬券を組み立てるべきだろう。


イメージに反して外枠有利

過去5年同条件枠別成績,ⒸSPAIA


〈過去5年の東京開催1~4日目、3歳上芝1800m戦〉
1枠/勝率2.4%/連対率11.9%/複勝率19.0%/単回収率3%/複回収率78%
2枠/勝率2.3%/連対率6.8%/複勝率13.6%/単回収率3%/複回収率32%
3枠/勝率4.3%/連対率14.9%/複勝率23.4%/単回収率57%/複回収率69%
4枠/勝率7.8%/連対率13.7%/複勝率25.5%/単回収率206%/複回収率72%
5枠 /勝率9.3%/連対率18.5%/複勝率25.9%/単回収率75%/複回収率49%
6枠/勝率13.3%/連対率26.7%/複勝率30.0%/単回収率201%/複回収率133%
7枠 /勝率11.3%/連対率15.5%/複勝率22.5%/単回収率46%/複回収率39%
8枠/勝率8.1%/連対率14.9%/複勝率25.7%/単回収率37%/複回収率99%

次に過去5年の東京開催1~4日目、3歳上芝1800m戦における枠順成績を調べた(参照期間2016年10月8日~2020年6月13日)。開幕して間もないということでラチ沿いを確保しやすい内枠を狙いたくなるところだが、意外なことにデータ上内枠は割引要素。1・2枠はともに勝率2%で複勝率も10%台と苦戦を強いられており、好材料とは程遠い成績となっている。5番人気以内の馬に限ってみても【2-4-2-20】で複勝率29%と今ひとつで、該当馬を安易に信用することは避けたい。

開幕週で施行される毎日王冠でも同様の傾向がある。過去10年で1~3枠が【2-1-2-30】で複勝率14%に対し、6~8枠は【8-4-4-43】で複勝率27%と倍近い値をマーク。「内枠<外枠」という構図がくっきりと浮かび上がってくる。特に勝ち馬に関しては15年以降全て6~8枠から出ており、アタマで狙うなら外枠一択。人気馬が外枠に集まっているだけとの見方もできるが、それでも最内枠に収まったシュネルマイスターの評価は割り引かざるを得ない。


覚醒した古馬が下半期も大活躍

◎ケイデンスコール
今年の上半期は重賞で【2-1-0-1】と以前の停滞を晴らす活躍を見せた。特に注目したいのは今年2戦目の中山記念。結果としてはヒシイグアスの2着に敗れたものの、レコードタイで走破しており内容はかなり濃いものであった。開幕週で速い時計での決着が予想される毎日王冠において、場所が違うとはいえ高速決着に対応した実績があるのは心強い。また上位人気馬がこぞって5枠より内の枠に収まったなか、データ上有利な外枠を引けたのもプラス。休み明けが不得意という懸念はあるが、それでも狙ってみたい1頭だ。

◯ダノンキングリー
芝1800mの重賞は一昨年の毎日王冠含め3戦全勝。元々堅実な馬だが、この距離では特に崩れていない。3か月以上間隔を空けていれば【3-0-0-1】と鉄砲駆けするタイプで、約4ヶ月ぶりの実戦となる点もむしろプラス。まだ5歳ということで衰えも気にする必要はない。ただ安田記念を勝っての臨戦となると近10年【0-2-1-2】と勝利例がないことや、初経験の別定58kgなど不安点はあり、アタマで狙うのは避ける。

▲ポタジェ
デビュー以来10戦して馬券を外したことがない超堅実な馬。特に良馬場では【4-4-0-0】と隙がない。近2走は重賞で結果を残しているものの、前々走は重馬場で、前走は良馬場ながら連続開催の影響を受けた特殊馬場。適条件とは言い難かった。執筆時点ではレース当日に雨が降る予報はなく、軽い馬場であれば父の産駒らしい切れ味が遺憾なく発揮されるはずだ。

△シュネルマイスター
3歳マイル王に輝いた後、古馬との初対戦となった安田記念でも3着に健闘。今回対戦するメンバーではダノンキングリー以外に先着した。ただ古馬との斤量差が詰まる上、本来の適性を外れる1800mという距離も気掛かり。データ上好走例に乏しい内枠に収まったこともあわせると取りこぼす可能性は十分にあると考え、4番手評価に留めた。

以下、海外遠征で2着に健闘する力を有し、久々を苦にしないヴァンドギャルドまで印を回す。外枠の他馬にも印を回したいところだが、トリガミの危険と上位層との絶対的な力の差を考慮して以上5頭のみで勝負したい。

▽毎日王冠予想▽
◎ケイデンスコール
◯ダノンキングリー
▲ポタジェ
△シュネルマイスター
×ヴァンドギャルド

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。



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