【スプリンターズS】好データは「4歳牝馬」「セントウルS組」「前走1番人気」など 再び頂点へ!レシステンシア

門田光生

スプリンターズSの前走人気別成績(2005~13、15~20年),ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

昨年はグランアレグリアV

2021年10月3日に中山競馬場で行われる第55回スプリンターズステークス。記事を書くにあたって昨年のレースを見返してみたが、グランアレグリアの位置取りを見て「ホンマに届くんかいな?」と思ってしまった。もちろん、勝つと分かっているにもかかわらず、である。

「怪物級」の馬は、展開や馬場はもちろん、不利なデータまでも関係なしに勝ってしまうからタチが悪い。もちろん、そう思うのはデータ関係の記事を書いているからであって、いちファンにとっては、こういった「怪物級」の出現は喜ばしいこと。正直、グランアレグリアが前を一気に抜き去った瞬間、鳥肌が立ったのを昨日のように覚えている。

2年続けて「怪物級」が出現する可能性は低いのだろうが、果たして今年はどんなドラマが待っているのか。レースの展望はほかのライターさんに任せるとして、ここではいつも通り過去のデータから好走馬、凡走馬の傾向を見つけ出したい。なお、今回はいつもより多い過去15回のデータを基にして検証してみる(新潟開催の2014年は除く)。

セントウルS出走馬が14連対

スプリンターズS出走馬の所属,ⒸSPAIA
スプリンターズS出走馬の性別,ⒸSPAIA
スプリンターズS出走馬の年齢,ⒸSPAIA


まずは東西の所属から見ていこう。出走馬は美浦所属が63頭、栗東所属馬が157頭、そして海外所属馬が18頭。出走頭数が多い栗東所属馬が20連対と半分以上を占めるが、勝率、連対率、そして複勝率で比べると、東西差はほとんどない。

性別だと、勝率、連対率とも牝馬が優勢。年齢別だと、最も好走率が高いのが4歳馬。特に勝率13.9%というのは、ほかの世代と比べると抜けていい。連対率もトップだが、連対数が最も多いのは5歳馬で、12頭が連対している。この2世代が中心と考えていいだろう。

この項目をもう少し細かく分けてみる。まず3歳馬だが、連対したのはすべて牝馬。3歳牡馬は11頭が出走して3着が最高着順となっている。続いて好走率が高い4歳馬だが、牡馬より牝馬の方が好走率が高くなっている。連対数の多い5歳馬は、4勝すべて牡馬が挙げたもの。5歳牝馬の勝ち馬はおらず、美浦所属馬の5歳牝馬に限ると連対した馬すらいなくなる。

スプリンターズS出走馬の馬体重,ⒸSPAIA


ダートと短距離のデータを調べていると、大型馬有利のデータがよく出現する。このスプリンターズSも大型馬有利の傾向で、前走馬体重が460キロ以下だった26頭のうち、連対したのは1頭だけ。勝ち馬はいなかった。前走馬体重は462キロ以上であることが望ましいということになる。

スプリンターズS出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA
スプリンターズS出走馬の前走,ⒸSPAIA


前走でオープン特別を走って挑んできた馬から連対馬は出ていない(条件戦を走っていた馬は出走なし)。重賞を使っていることが最低条件となるのだが、最も連対馬が多いのはGⅡを経由してきた組。そのほとんどがGⅡ昇格後のセントウルS出走馬となる。

勝率、連対率が最もいいのはGⅠ経由組。安田記念や高松宮記念が対象となるので、当然ながら休み明けで出走してきた馬になる。前哨戦を使わないことが当たり前になった近年の競馬を象徴するようなデータといえるだろう。

最も出走頭数が多いGⅢ組だが、GⅠ、GⅡ組に比べて数字がかなり落ちる。特に前哨戦の一つであるキーンランドCを使った馬は【1-3-5-46】と、出走頭数の多さを考えると連対した馬が少なく感じる。

スプリンターズS出走馬の前走着順,ⒸSPAIA
スプリンターズS出走馬の前走人気,ⒸSPAIA


前走着順に関してだが、前走で1~3着だった馬が19連対で、勝率は11.5%。4着以下だと勝率が3%を切ってしまう。前走人気も同様で、1~3番人気に支持されていた馬は4番人気以下の馬と比べて好成績を残している。特に前走で1番人気に推されていた馬は7勝、勝率も17%を超える優秀な数字を残している。

スプリンターズSにおけるプラスデータ,ⒸSPAIA
スプリンターズSにおけるマイナスデータ,ⒸSPAIA


最後にプラスとマイナスデータを少々。まずプラスデータだが、前走で負けた馬の中で、秒差なしだった馬の成績は【4-1-0-5】。また、ケイアイファーム生産馬の成績が【2-1-1-0】と全て馬券に絡んでいる。といっても出走したのはロードカナロアとダノンスマッシュの2頭だけなのだが、今年も注目して損はないはずだ。

マイナスデータというか、謎データの部類に入るが、このレースは栗毛、黒鹿毛、青毛、栃栗毛が合計111頭出走して、ここから勝ち馬が出ていない。特に、鹿毛の次に出走頭数が多い栗毛(61頭)から勝ち馬が出ていないのは意外。断トツの11勝を挙げているのが鹿毛、芦毛も14頭が出走して3勝、2着1回と好成績を残している。

ケイアイファーム生産馬にも注目

データが出そろったところで、まとめに入る。まず好走パターン。A「4歳馬、牝馬なら◎」B「前走がGⅠもしくはセントウルS」C「前走1~3着」D「前走1~3番人気、特に1番人気は◎」E「前走が秒差なしの負け」F「ケイアイファーム生産馬」。

凡走確率が高くなるパターンはG「3歳牡馬、5歳牝馬、7歳以上の牝馬」H「前走が460キロ以下」I「前走がオープン特別またはキーンランドC」。

今回注目したいのはB「前走がGⅠもしくはセントウルS」。特に、セントウルS出走馬はここ3年で4頭が連対しており、2013年と2018年には1~3着を独占。近年の傾向からもこのレースを経由した組から連対馬が出る可能性が高いと考えるのが妥当だろう。

セントウルS(GⅡ)出走馬,ⒸSPAIA


今回、セントウルS出走馬は7頭が登録。今回の検証範囲でGⅡ昇格後のセントウルSを経て出走したのは85頭いるが、これらと比較すると何か見えてくるかもしれない。

まずは今年の勝ち馬レシステンシア。セントウルS1着馬は11頭が出走して、2勝、2着が3回。悪くない数字だが、さらに後押しするのがセントウルSでの人気。1番人気に支持されていた馬は11頭出走して、4勝、2着1回。勝率、連対率とも高水準だ。

ちなみに、同レースで5番人気以下だった39頭から勝ち馬は出ていない(2着は2回ある)。レシステンシアは好走データのA「4歳牝馬」にも該当し、マイナスデータはなし。鹿毛なので、謎データの毛色問題もクリア。今回の本命はこの馬で決まりだ。

ジャンダルム、タイセイビジョン、ボンボヤージ、ラヴィングアンサーは、勝ち馬が出ていないセントウルSで5番人気以下だった馬。連対なら可能性はあるが、確率の問題でこの4頭はとりあえず消し。

残ったのは4番人気で3着のクリノガウディーと、2番人気で2着のピクシーナイト。まずクリノガウディー。特にマイナスデータがなく有力候補なのだが、セントウルSの1、2、4着馬はスプリンターズSで勝っているのに、3着馬だけは【0-0-0-5】と結果が出ていない。今回は相手候補がたくさんいるので消えてもらおう。

ピクシーナイトは【3-1-0-8】のセントウルS2着馬。さらに強データでもあるE「前走が秒差なしでの負け」でもある。セントウルSを秒差なしで負けた馬の本番成績は【3-0-0-3】と勝率5割。当初はこれが本命かと考えたのだが、マイナスデータ【0-0-1-10】の3歳牡馬に該当。惜しい。

セントウルS出走馬以外に目を向けて、【2-1-1-0】のケイアイファーム生産馬2頭に注目。まず1頭はダノンスマッシュ。2年連続で馬券圏内に入っており実績も十分。このレースは乗り替わった馬の成績がよくないデータもあるのだが、前走が海外なので特殊なケース。今年も上位争いは必至だ。ロードアクアは相性の悪いキーンランドC組だが、馬券圏内率100%のケイアイファーム生産馬は例外が出るまで押さえておいた方が無難だろう。

あと印を回すとすれば、A「4歳馬」C「前走1~3着」に該当するビアンフェと、C「前走1~3着」D「前走1~3番人気」に該当するモズスーパーフレア、C「前走1~3着」に該当するファストフォース。いずれも減点材料がないのがポイント。

◎レシステンシア
◯ダノンスマッシュ
▲ピクシーナイト
△ロードアクア
×ビアンフェ
×モズスーパーフレア
×ファストフォース

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
以前より大きい机を買ったことで、仕事がしやすくなったのは間違いないのですが、机が広いと何か乗せたくなるのが人の性。無駄にペン立てや小物入れを買ってみたり、ホコリをかぶっていた貯金箱やフィギュアを置いてみたり。以前より狭くなった気がしないでもないような……?

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