【セントライト記念】タイトルホルダー菊の大舞台へ 東大HCが中山芝2200mを徹底検証

東大ホースメンクラブ

中山芝2200mコース分析,ⒸSPAIA

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コース紹介

今週は中山芝2200mを舞台に、菊花賞トライアル・GⅡセントライト記念が行われる。弥生賞を勝ち、皐月賞2着のタイトルホルダー、ホープフルS2着以来の復帰戦となるオーソクレース、夏の札幌で条件戦を勝ち上がってきたソーヴァリアントなどがクラシック最後の一冠に向け前哨戦に挑む。

当該コースの重賞はGⅡの3レース。同レースに加え、初春の中山を彩るアメリカジョッキークラブカップ、有力馬が秋GⅠへの始動戦に選択することも多いオールカマーが施行される。今週は「中山芝2200m」の特徴をデータで分析していく(使用するデータは特記ない限り2011年9月18日~2021年4月18日)。

まずはコース紹介。ホームストレッチをスタートして1コーナーを通過、そこから外回りコースの頂上を迎えるまで上り坂が続く。ゆるやかな下りを1000mほど進んだのち、最後の310mの直線に中山名物・高低差2.2mの坂が待ち受ける。コース全体で5.3mものアップダウンがある起伏に富んだコースだ。

20年近く重賞未勝利の1枠

中山芝2200m・過去10年の枠別成績,ⒸSPAIA


<中山芝2200m・過去10年の枠別成績>
1枠【18-13-15-184】勝率7.8%/連対率13.5%/複勝率20.0%
2枠【16-22-22-186】勝率6.5%/連対率15.4%/複勝率24.4%
3枠【20-18-14-199】勝率8.0%/連対率15.1%/複勝率20.7%
4枠【20-27-21-195】勝率7.6%/連対率17.9%/複勝率25.9%
5枠【21-15-23-220】勝率7.5%/連対率12.9%/複勝率21.1%
6枠【24-11-16-240】勝率8.2%/連対率12.0%/複勝率17.5%
7枠【20-25-24-247】勝率6.3%/連対率14.2%/複勝率21.8%
8枠【16-24-20-270】勝率4.8%/連対率12.1%/複勝率18.2%

枠別成績ではさほど差はないものの、8枠の不振は際立つ。コース取りに工夫がないと必然的に外々を回る形になるため、好走の難易度は高い。重賞では【2-2-2-56】複勝率9.7%、単複回収率ともに20%台と買い材料に乏しいため、よほど力が抜けていない限りは軽視すべき。

ちなみに重賞で【0-8-3-28】と勝利から遠ざかっているのは1枠。2002年のジャパンC(変則開催)でデットーリ騎手がファルブラヴをハナ差で勝たせて以降、のべ71頭が2着以下に敗れてきた。3番人気以内が21頭いたことを考えると驚きの結果で、アタマはないと見て馬券を工夫したい。

中山芝2200m・過去10年の脚質別成績,ⒸSPAIA


<中山芝2200m・過去10年の脚質別成績>
逃げ【24-12-11-127】勝率13.8%/連対率20.7%/複勝率27.0%
先行【66-72-60-346】勝率12.1%/連対率25.4%/複勝率36.4%
差し【50-53-64-637】勝率6.2%/連対率12.8%/複勝率20.8%
追込【10-11-13-611】勝率1.6%/連対率3.3%/複勝率5.3%

脚質別成績では逃げよりも先行有利。番手から急坂で力強く抜け出すのが必勝パターンで、クラス別に見ても全て複勝率30~40%台の好成績を残している。迷ったら好位につけられそうな馬を軸に取るべきだ。

最後の直線が310mしかない分後方一気は決まりにくい。差し・追込勢は苦戦気味で全体の回収率も単勝:29%・複勝:42%と低調。中途半端にヒモで拾うくらいならば消して馬券の威力を高めたほうがいい。

重賞では4角10番手以下が【0-0-2-112】とほぼ全滅で、同4番手以内が【19-16-10-86】複勝率34.4%、単勝回収率112%を記録。2016年以降の16レース中13レースの勝ち馬が該当しており、やはりタイトルホルダーなどポジションを取れる馬の信頼度が高い。

人気のオルフェーヴル産駒は崩れない

中山芝2200m・過去10年の種牡馬別成績,ⒸSPAIA


<中山芝2200m・過去10年の種牡馬別成績>
ルーラーシップ【8-9-4-25】勝率17.4%/連対率37.0%/複勝率45.7%
オルフェーヴル【4-3-4-28】勝率10.3%/連対率17.9%/複勝率28.2%
ハーツクライ【5-12-17-96】勝率3.8%/連対率13.1%/複勝率26.2%
エピファネイア【4-1-2-9】勝率25.0%/連対率31.3%/複勝率43.8%

種牡馬別成績ではルーラーシップが抜群。全体成績で50%に迫る複勝率を叩き出し、4番人気以内に限ると【8-6-2-8】複勝率66.7%。該当条件は見かけたら全て買いたいクラスの相性を誇る。セントライト記念に出走予定のベルウッドエオは人気薄見込みだが、覚えておいて損はないデータだ。

人気馬が好走する点はオルフェーヴルも同様で、同じく4番人気以内では【3-2-3-4】複勝率66.7%、単複回収率がともに100%を超える。直近6戦連続で馬券圏内と流れが来ており、ソーヴァリアントは順当に好走しそう。また出走回数は少ないものの、エピファネイアも超A級。今年の該当馬にはオーソクレースとワールドリバイバルがいる。

春の実績馬としてグラティアスとヴィクティファルスを送り出すハーツクライは、2018年5回開催以降【0-5-5-36】と勝利に恵まれておらず、複勝回収率も51%と水準を大きく下回る。馬券の方向性次第では消しでいいだろう。

中山芝2200m・過去10年の騎手別成績,ⒸSPAIA


<中山芝2200m・過去10年の騎手別成績>
田辺裕信【10-12-9-75】勝率9.4%/連対率20.8%/複勝率29.2%
ルメール【7-9-2-20】勝率18.4%/連対率42.1%/複勝率47.4%
戸崎圭太【9-14-10-46】勝率11.4%/連対率29.1%/複勝率41.8%
福永祐一【5-1-1-5】勝率41.7%/連対率50.0%/複勝率58.3%

騎手別成績では田辺裕信騎手が勝利数トップ。前走10着以下の馬に騎乗した際の【4-1-1-10】複勝率37.5%が出色で、騎乗予定のアサマノイタズラは十分巻き返しのチャンスがある。重賞でもジェネラーレウーノのセントライト記念をはじめ4勝しているのも心強い。

複勝率が5割を下回っているのが意外にも思えるルメール騎手だが、重賞でも【2-5-0-7】と半数の騎乗馬を馬券圏内に持ってきている。ただし好走馬に半年以上の休養明けだった馬は皆無で、人気ならば軽視する手もある。

その他優秀なのは戸崎圭太騎手と福永祐一騎手。特に福永騎手は6番人気以内で【5-1-1-2】複勝率77.8%だ。良血馬ルペルカーリアは買っておくのが吉だろう。

中山芝2200mのコースデータ,ⒸSPAIA



《ライタープロフィール》
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約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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