【新潟2歳S】久しぶりにバラ一族の出番だ スタニングローズが好データに該当!

門田光生

新潟2歳Sの前走距離別成績(過去10年),ⒸSPAIA

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のちのGⅠ馬も輩出

2021年8月29日に新潟競馬場で行われる第41回・新潟2歳S。以前は小倉2歳Sと同じ週に開催されていたが、2012年から1週前倒しで行われている。

右回りが左回りに、そして1200mだった距離が1400m、そして1600mに延び、現在の条件に定着したのは2002年から。広いコースのマイル戦、しかも外回りで行われるということで、小倉2歳Sとの区別化が図られたのだろう。

というわけで、NHKマイルCやクラシックを狙う馬は、小倉よりこちらを選択する確率が高くなる。特筆すべき出世レースというわけではないが、それでも2004年マイネルレコルト(朝日杯FS)、2008年セイウンワンダー(朝日杯FS)、2013年ハープスター(桜花賞)など、のちのGⅠ馬を輩出。勝ち馬は3歳の春までは追いかけてもよさそうだ。

そんな新潟2歳Sは、当然ながらキャリアの浅い馬同士の戦いとなる。果たしてどのような傾向があるのか、今回も過去10年のデータを基にして検証していきたい。

キャリア1戦が優勢

新潟2歳S出走馬の性別,ⒸSPAIA
新潟2歳S出走馬の所属,ⒸSPAIA


このレースは牡馬、牝馬の斤量差がない。この時期の新馬戦や未勝利戦も同様で、性別における能力差がほぼないとされているのだろう。ただ、新潟2歳Sに関しては牡馬が15連対(7勝)、牝馬が5連対(3勝)。勝率、連対率とも牡馬が上回っている。

また、同時開催されている小倉とは競馬場の特徴が全く違う。広いコースを求めて、新馬戦からオープンまで栗東勢が大挙出走してくるのも夏の新潟開催の特徴。このレースは美浦97頭、栗東61頭。美浦所属馬の方が出走頭数は多いが、連対馬は美浦11頭、栗東9頭とほぼ互角、勝率だと栗東組が倍以上となっている。

なお、牝馬の勝ち馬はすべて栗東勢。「栗東所属」の「牝馬」に限れば、勝率、連対率ともにハネ上がる。

新潟2歳S出走馬のキャリア,ⒸSPAIA
新潟2歳S出走馬の前走着順,ⒸSPAIA


出走馬の最多キャリアは3戦で、最も出走数が多いのはキャリア1戦、次いで2戦となっている。勝率、連対率もキャリアが浅い順によく、キャリア3戦の馬から連対馬は出ていない。今回はキャリア0戦(未出走)の馬が登録しているが、サンプルがないうえ、前走データとも照らし合わせができないので、参考外扱いとする。

キャリア1戦の馬が好成績を挙げているということは、当然ながら前走1着馬の成績もいいことになる。というか、連対馬20頭すべてが前走1着馬となっており、このデータは最低限クリアしておきたいところ。ついでに勝ち内容も調べてみると、後続にコンマ6秒以上の差をつけた馬の成績が【3-2-2-6】。馬券に絡む率が5割を超えている。

逆に秒差なしの接戦だった組から勝ち馬が出ていない。派手な勝ち方をした馬の方が好結果を出していることになり、2歳戦らしく完成度の高さを問われるレースといえそうだ。

新潟2歳S出走馬の前走距離,ⒸSPAIA


距離は長い方がいいのか、それとも短い方がいいのか。まだデビューして間もない馬ばかりで、いろんな条件を使って手探りの時期でもあるが、前走でどの距離を走っていた馬が好成績を残していたのかも調べてみた。

最も成績がよかったのは新潟2歳Sと同距離のマイルを使ってきた馬で、連対馬の半分が該当。最も出走馬が多かったのは前走から距離延長した組。ここからは6頭が連対しているが、そのうちの5頭は1400mを使っていた。

1200m以下を使った組からは2着馬が1頭、3着馬が3頭いるが、勝ち馬は出ていない。逆に距離を短縮してきた馬は4連対。最高着順は2着で、こちらも勝ち馬は出ていない。

新潟2歳S出走馬の前走騎手,ⒸSPAIA


先週の北九州記念は乗り替わった馬が好成績を残していたが、この新潟2歳Sも面白い傾向が出ている。

継続騎乗が9連対、乗り替わりが11連対。これだけ見ればほぼ互角だが、継続騎乗が8勝、乗り替わった馬は2着が9回と極端な数字となっている。1着狙いなら継続騎乗馬、2着狙いなら乗り替わりの馬が狙い目となる。

新潟2歳S出走馬のプラスデータ,ⒸSPAIA
新潟2歳Sにおけるマイナスデータ,ⒸSPAIA


最後に新潟2歳Sにおけるプラス、マイナスデータを挙げていく。まずプラスデータだが、サンデーレーシング所有馬【2-0-0-0】。出走馬はどちらも勝利している。

これに関しては結果よりも、ここ10年で2頭しか出走していない方が意外。クラシック狙いの所属馬が多く、デビュー時期の関係もあるのだろうが、それにしても適性ありとみて使った2頭がともに勝つのだから見事というほかない。

マイナスデータの方だが、前走で右回りを走っていた馬40頭のうち、連対したのは2頭だけ。その2頭ともデビュー戦で左回りを経験していた。キャリアが浅い馬同士だけに、左回りを経験したアドバンテージは思った以上に大きいのかも。また、前走か当日の馬体重が442キロ以下だった馬も連対なし。

最後に前走が4番人気以下の評価だった馬は【1-2-4-51】で勝率が2%を切っている。

勝率100%、サンデーレーシング

新潟2歳Sにおける好走・凡走パターンをまとめてみる。まず好走パターンだが、A「牡馬、もしくは栗東所属の牝馬」B「前走コンマ6秒差以上の勝ち」C「前走がマイル戦」D「サンデーレーシング所属」の4つ。

続いて凡走確率が高くなるパターンはE「キャリア3戦」F「前走2着以下」G「前走が1200m以下」H「前走が右回り」I「馬体重442キロ以下」J「前走4番人気以下」の6つ。

今回、気になったデータはD「サンデーレーシング所属馬」。重賞でよく見かける勝負服だけに、ここ10年で2頭しか出走していないのは意外、と上記にも書いた。ちなみに、同系列のキャロットファームやシルクレーシングはもう少し頭数が多い。2000年までさかのぼって調べてみると【2-0-2-7】。つまり2000~2010年は【0-0-2-7】で、ここ10年ほど出走馬を絞っていなかった。2010年代に入って方針を転換したのかもしれない。

今年は幸運にも、登録馬が1頭いた。それがスタニングローズだ。ほかの好走データであるA「牡馬、もしくは栗東所属の牝馬」C「前走がマイル戦」にも該当。一方でマイナスデータのH「前走が右回り」にも当てはまる。これをどう考えるかだが、この「H」は少ないながらも連対馬が出ている。

今回は強データを信じてスタニングローズが本命。スロットで高確中に引く強チェリーはよく外すが、このデータは外したくない。ちなみにスタニングローズの母系はバラ一族なので、1998年の勝ち馬ロサードとは同牝系となる。

今回のマイナスデータで連対率が0%なのは、E「キャリア3戦」F「前走2着以下」I「馬体重442キロ以下」。この3つのマイナスデータのうち、1つでも当てはまると厳しくなる。これに該当するウインピクシス、キミワクイーン、コムストックロード、タガノフィナーレの4頭が脱落。

B「前走コンマ6秒差以上の勝ち」というデータは、連対率38.5%のハイアベレージ。これに該当するのはウインピクシス、オタルエバー、グランドラインの3頭。ウインピクシスは馬体重の項目で脱落しているので、オタルエバーとグランドラインが2、3番手となる。特にオタルエバーはAとCも満たしているので有力候補だ。

あとはプラスデータが1つ以上あり、かつマイナスデータを持たないアライバル、クレイドル、セリフォスの3頭も押さえる。

◎スタニングローズ
◯オタルエバー
▲グランドライン
△アライバル
×クレイドル
×セリフォス

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
職掌柄、盆も正月も関係ないので、いつもシーズンを外して動くのですが、旅行どころか、帰省もはばかれるご時世。仕方がないとはいえ、孫に合わせてあげられない状況が続くのはつらいですな。

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