【クイーンS】最高値1位、能力値1位はマジックキャッスル 穴馬は前に行けるとしぶといウインマイティー

山崎エリカ

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今年は函館芝1800m戦で行われる一戦

クイーンSは例年、1回札幌2日目の芝1800mで行われるが、今年は1回函館10日目の芝1800mで行われる。札幌も函館も同じ洋芝だが、もともと函館のほうが時計が掛かる傾向にある。時計が掛かる馬場では前半のペースがそこまで速くなくても、上がりが掛かるので、瞬発力よりも長くいい脚をつかえる持久力が重要となる。

また、今週から函館の芝はBコース使用となる。雨に祟られた2週目こそタフな馬場だったが、そこから高速化し先週は3週目より時計が速くなった。25日の日曜日に行われた2勝クラスの芝1200m戦では、前の2頭で決着し1分08秒7の好時計をマーク。馬場の内側が悪くないので、Bコース使用でも先週までと大きく傾向は変わらないだろう。

ただ函館芝1800mは札幌芝1800m同様、1角までの距離が短く、外に張られやすい外枠の馬は不利。外に張られることを嫌って積極的に出して内のポジションを取りに行って失速というパターンもよくあるので、そこは踏まえて予想を組み立てたい。

最高値1位、能力値1位、マジックキャッスル

クイーンS出走馬のPP指数,インフォグラフィック,ⒸSPAIA



マジックキャッスルは今年1月の愛知杯で重賞初制覇。愛知杯は前へ行った3頭が後続を大きく引き離し、5F通過57秒9の激流となった。同馬は大外枠からやや出負けし、中団後方からレースを進めた。最後は一列前にいて直線で早めに動いたランブリングアレーとの一騎打ちをクビ差制し、自己最高指数「-23」を記録した。この指数は展開に恵まれたものとはいえ、今回の出走馬中1位タイのもの。

また、前々走の阪神牝馬Sで2着、前走のヴィクトリアマイルで3着と善戦しており、ここでは能力値も1位となる。前走のヴィクトリアマイルでは、最内枠からやや出負けしてしまったが、前に行った2枠2頭が内の馬場が悪いと判断して開けていたスペース(実際はかなり回復していた)を無理なく中団まで押し上げた。3~4角でもロスなく立ち回り、直線でもジリジリと脚を伸ばした。最後は外から伸びてきたランブリングアレーに交わされたが3着に入った。

ヴィクトリアマイルで自己最高指数を記録した馬は、2017年にこのレースで1番人気に支持されたアドマイヤリードのように、ここで人気を裏切るケースが多いが、マジックキャッスルは愛知杯の時ほど走れてなく、それだけに疲れはないはず。ただ楽に前の位置を取れるスピードがないので、昨年のスカーレットカラーのように差し損ねる危険性はあるが、それでも長くいい脚をつかい、上位争いに加わってくる可能性が高い。

その他の能力値上位馬の紹介

【能力値2位 テルツェット】
復帰戦となった昨夏の1勝クラスを勝利すると、とんとん拍子で勝利を重ねて前々走ではダービー卿CTを制覇。マイスタイルが緩みないペースで逃げたことで、出遅れて後方からの競馬となった同馬は展開にも恵まれ、マジックキャッスルの愛知杯と同じ自己最高指数「-23」を記録した。

前々走で自己最高指数を記録したがヴィクトリアマイルでは余力なく、14着大敗。同馬はゲートが甘く、ヴィクトリアマイルでも出遅れて後方から。そのまま後方馬群の内目に入り込み、3~4角でも後方の内でロスなくレースを運び、直線序盤で内ラチ沿いを完璧に取り切ったが、いつもの伸びを見られなかった。

今回は立て直されての一戦となり巻き返しも見込めるが、これまで7戦して6戦でほぼ出遅れている点がネック。ダービー卿CTのときのようにペースが速くなればチャンスはあるが、ヴィクトリアマイルのようにスローペースの上がり勝負になると、取りこぼしの可能性がある。

【能力値3位 シゲルピンクダイヤ】
3歳時に桜花賞2着、秋華賞3着の実績があるが、古馬になってから勢いを欠き、成績が今一つ。しかし昨年の中日新聞杯では、超スローペースで折り合いに苦労する馬が多い中、好位の外で楽に折り合って2着と好走し、復調の兆しを見せた。

前走のヴィクトリアマイルでも5着と善戦。2番枠からやや出負けしたが、前に行った2枠2頭が広げたスペースを無理なくじわっと押し上げ、好位の内目を立ち回って、2着争いに加わった。

同馬は重賞ではある程度前の位置を取ってこその馬。大外枠の今回も前の位置を取りに行った場合、1角で外に張られる危険性はある。だがスムーズに立ち回り、もう一押しあればここで通用する力はある。

【能力値4位 フェアリーポルカ】
昨年の中山牝馬S、福島牝馬Sを連勝し、昨年のこのレースでは2番人気に支持された馬。そのときは馬体重18kg増が示すように、明らかにに太め残りで4着に敗れたが、ここでは実績上位の存在。

近2走はダートを使われ4着に敗れているが、同馬はダートよりも芝でこその馬。3走前の中山牝馬Sはタフな馬場でロザムールが肉を切らせて骨を立つ消耗戦に持ち込んだ中、中団の内から馬群を捌いて位置を押し上げ、4角3番手からしぶとく粘った。勝ち馬のランブリングアレーとは0.1秒差(3着)に善戦しているだけに、芝のここで巻き返しがあっても不思議ではない。

【能力値5位 ドナアトラエンテ】
前走の福島牝馬Sでは、ディアンドルと同型の逃げ馬が新潟の時計の掛かる馬場や初距離を避けたことで、ディアンドルの単騎逃げが決まりレースはスローペースとなった。その流れを無理なく中団の外目でレースを進め、3~4角でも前に壁を作って上手くコントロールし、ラスト2Fで追い出されるとしぶとく粘って2着を死守。自己最高指数を記録した。

しかし前走の好走は、タフな馬場の中山牝馬Sで厳しい流れを先行したことで持久力が強化され、粘りに繋がった面が大きい。今回は前走で最高指数を記録した後の一戦ということもあり、前走以上の競馬となると疑問が残る。

穴馬は、先行するとしぶといウインマイティー

ウインマイティーは昨年のオークスの3着馬。オークスでは好位馬群の中、5番手からレースを進め、3角では外から動いたクラヴァシュドールの直後からじわっと動いて2列目まで位置を押し上げ、ラスト2F目で堂々の先頭。最後は内のウインマリリン、外のデアリングタクトに差されはしたが、しぶとく食らいついての0.2秒差は立派だった。

このように同馬は先行するとしぶとく、これまでの3勝は全て3角5番手以内。今回は前に行きたい馬が多く、序盤ではそこまで前の位置が取れないと見ているが、ペースが上がらなければ向正面で位置を押し上げて3角5番手以内を取ることも可能。マクリが得意のM.デムーロ騎手が鞍上でペースが上がらなければ、向正面で動いて行くだろう。

理想を言えば、もっと距離が長いほうが前半のペースが落ち着くので穴馬としてより狙いやすいが、今回は配当妙味もあるだけに、芝1800mでも一考の価値がありそうだ。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)マジックキャッスルの前走指数「-20」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.0秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。


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