【プロキオンS】9歳馬ウェスタールンドが能力値1位 長期休養明けでも、世代交代の波を弾き返せるか

山﨑エリカ

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多彩なメンバーが集ったが、中距離路線のウェスタールンドの実力が断然

本来プロキオンSはJRAで年間2レースしか行われない、短距離ダート重賞の1つ。夏場に行われる唯一のJRA短距離ダート重賞だが、今年は小倉ダ1700mで行われる。それに伴い、出走馬の傾向は例年と異なり、前走使用距離も1400~2100mと、幅広いメンバーが集った。

プロキオンS出走馬のPP指数


日本は短距離よりも中距離路線の方に高額賞金が用意されているため、基本的に距離が長いレースを使われている馬の方が実力があることが多いが、今年もまさにそれ。能力値1位が中距離路線のウェスタールンドとなる。

同馬はダートに路線転向してから一気に本格化し、2018年のチャンピンズC2着の実績を持つ。重賞初制覇を果たしたのは、昨年4月のアンタレスSであるが、チャンピンズC以降もトップクラスの馬たちを相手に安定した走りを見せ、好成績を収めている。他の出走メンバーは距離に不安があったり、好走するための展開に制約がついたりする馬が多いだけに、この安定感は光るものがある。

また、ウェスタールンドは近5走の指数を見ても、全て赤文字の指数。ここでは実力が抜けた存在だ。ただ、今回は長期休養明け。9歳馬でもあるが、同馬がこれまでのように、強烈な末脚を引き出せれば、ここでは好走必至。自分との戦いになるだろう。逆にウェスタールンドが自分との戦いに敗れれば波乱、大波乱までありそうだ。

能力値2~5位馬を紹介

【能力値2位 サンライズホープ】
3勝クラス、オープンを連勝し、勢いがある。同型が不在だった前走の三宮Sのように、マイペースの逃げ、先行ができれば、ここでも通用する能力は持っている。しかし、後手に回った場合にはかなり脆い面があり、そのような場合にはほとんど大敗に終わっている。今回はこれまでよりも相手強化。短距離路線を使ってきた馬も多く、主導権争いが激化しそうなメンバーだけに、楽観視はできそうもない。

【能力値3位 メイショウウズマサ】
近2走のリステッド競走やオープンで差のない競馬ができており、今回のメンバーでは指数上位の存在となった。ただ、重賞で好走するとなると、近2走からさらに上積みが必要となる。また、この馬のここまでの好走実績はほとんどが短距離でのもの。今回は距離克服も課題だ。

距離1600mの前走アハルテケSでは、ロケットスタートを切って平均ペースに持ち持ち込み、4角から仕掛けて後続との差を一旦広げたものの、ゴール目前で一気に3頭に差される結果。悪い内容ではなかったが、しまいが甘くなったのは事実である。あと100mを克服するとなると、もう少し折り合う必要性がある。しかし、今回は大外枠に入ったことで、1角のコーナーロスを嫌って、前半から積極的に出していく可能性が高く、そこで脚を使い過ぎた場合には、距離を克服するのが難しいだろう。

【能力値4位 アヴァンティスト】
5走前の3勝クラスでは、逃げ馬から離れた3番手で楽に追走し、直線序盤で2番手イメル(現オープン馬)に並びかけ、後続が仕掛けて来るのを待って自分も仕掛けて、突き抜けて完勝。内容、指数ともに優秀だった。その次走のすばるSでは、後の黒船賞で8馬身差のVを決めたテイエムサウスダンに0.3秒差(2着)まで迫っており、その後も大きく崩れていない。

しかし、アヴァンティストはここまでほとんどダート短距離を使われており、ダ1700mは今回が初めてとなる点が不安材料。ただ、スタミナが不足する休養明で距離延長、初めてのダ1600m戦となった前走アハルテケSで、メイショウウズマサと同タイムの5着と善戦している。前走は前に行く馬が多かったため、内枠から徐々に外に進路を切り替えて、内から3頭分外の好位を追走。ロスの大きい競馬でも善戦したことから、意外と距離延長がプラスになるように感じた。今回も内枠だが、無理に行かずに、4~5走前のように差す競馬なら、逃げ、先行馬揃いのここは展開に恵まれる可能性が高い。

【能力値5位 ワイドファラオ】
3歳時にはユニコーンSを緩みないペースで逃げて優勝。昨年のかしわ記念を逃げて楽勝した実績もあり、今回のメンバーでは明らかに実績上位。ただ、ここ一年はやや勢いがなく、今回は低調なメンバーのなか、指数上位に何とか食い込んだという状況。また、ここまでの実績は、距離が延びた場合には成績が低下していることが目立ち、ダ1700mは微妙。実績は明らかに上だが、あまり過大評価できない。

穴馬は距離延長を歓迎のペプチドバンブー

3走前に休養明け&久々のダートながら、オープンの名鉄杯を勝利しているように、今期は好調。前走の天保山Sは、前が有利の展開となった中で、出脚が悪くて後方2番手から内々を追走。直線に入って徐々に外に出して、大外からメンバー最速の上がり3Fタイムで追い込んでおり、6着敗退でも好調であることを再認識させられた。

ペプチドバンブーはもともと初ダートとなった1700mの未勝利戦を勝利したところから上昇軌道に入った馬。今回の距離は歓迎となるはず、展開が向けば、まとめて差しきりというシーンもありそうだ。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ウェスタールンドの前走指数「-28」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.8秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。



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