【セレクトセール】最終世代のディープインパクト産駒は争奪戦必至 上場番号順ではレイデオロ産駒への期待度が高い?

三木俊幸

2021年セレクトセールの注目馬,ⒸSPAIA

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2020年は29頭の億超えホース

「1億円、1億円──」という競売人の声にすぐさま手が挙がったかと思えば、瞬く間に1,000万円単位で金額が上昇。時には5億円まで跳ね上がることもある。そんな異次元の世界であり日本最大、いや世界でもトップレベルのサラブレッドせり市場が「セレクトレール」だ。今年も7月12、13日の2日間にわたってノーザンホースパークで開催される。

2020年6月から2021年の5月30日時点までの期間に、香港のクイーンエリザベスⅡ世Cを勝利したラヴズオンリーユー、天皇賞(春)を制したワールドプレミア、史上初の無敗の3冠牝馬となったデアリングタクト、最優秀2歳牡馬に輝いたダノンザキッドなど、世界各国においてセレクトセールから26頭ものの重賞ウィナーを輩出している。

2020年は1歳、当歳を合わせると29頭もの馬が1億円(税抜)以上で落札されているが、今年はそれを上回る結果となるのか、また最高額はどの馬で誰が落札するのだろうか。

ディープインパクト産駒は4頭

1日目に行われる1歳馬部門で注目すべきは、やはりディープインパクト産駒だと言える。2019年に種付けし、2020年に誕生した数少ない産駒の中から今回上場されたのは、上場番号1番ゴーマギーゴーの2020(牡)、52番ワッツダチャンセズの2020(牝)、130番ジュエルメーカーの2020(牝)、そして248番スイープトウショウの2020(牡)と4頭のみ。

特に最後248番目に出てくるのはGⅠ3勝馬スイープトウショウの産駒ということもあり、争奪戦となること間違いなし。史上最高額を更新することも十分ありえる。2002年にディープインパクトを落札し、馬主となった金子真人HDが落札するというドラマはあるのか、最後の最後まで目が離せない。

すでに4勝のドレフォン産駒は高騰する?

その他では今年産駒がデビューし、早くも活躍しているドレフォンも人気を集めることが予想される。セレクトセールに初めて登場したのは2019年、まだディープインパクトやハーツクライ、さらにはロードカナロアなど錚々たる種牡馬が名を連ねていた中でアドマイヤセプターの2019が2億5,000万円で落札されるなど、評価が高かった。

実際に7月4日終了時点ですでに4勝。芝・ダート双方で勝利をあげているうえ、勝利距離が1200m〜1800mと多様な点も魅力。6月26日に東京芝1800mの新馬戦を勝ったジオグリフは上がり33.3を繰り出し、瞬発力の高さを見せつけた。これだけの活躍を見せられたからには購買したいと思うはずだ。

1歳部門では上場番号20番のパンデリングの2020(牡)。母はアーモンドアイの半姉という血統だ。そして2日目の当歳部門に上場される400番レーヴルシードの2021(牝)。母父はディープインパクト、バネがありそうで品のある馬体をしている点が目についた。

当歳の注目種牡馬はレイデオロ

血統から走る馬を見つけるということは購買者にとって大事な要素ではあるが、販売者側の視点にも着目するとまた新たな見方ができる。何事も最初が肝心ということで、特にその日の序盤の上場馬には出来のいい馬や注目種牡馬の産駒がラインナップされる傾向にあると言っていいだろう。

過去3年の結果を見ると、2018年1歳部門のトップバッターはハーツクライ産駒で金額は1億3,500万円だった。当歳はドゥラメンテの初年度産駒が最初に登場し、8,000万円という値がついている。

2019年も1歳はドゥラメンテの初年度産駒で、金額は1億2,000万円。そして当歳は4,000万円という金額だったが、先述のドレフォンの初年度産駒が2番目という順番に振り分けられており、当時から期待が高かったことが窺える。

2020年は1歳部門がハーツクライ、ドゥラメンテ、モーリスという順番。最初に持ってくるほどの新種牡馬産駒がラインナップされていなかったとも言えるが、結果を残している種牡馬の産駒が続いた。まだデビューしていないが、当歳部門は3番目にサトノダイヤモンド産駒が登場し、7,400万円で落札されている。

そうした点も鑑みると、今年は1歳の最初と最後がディープインパクト産駒で必然的に注目度は高まる。また4番目にリアルスティール産駒のサンタフェチーフの2020(牡)が出てくること、当歳部門の最初と最後がともにレイデオロの初年度産駒となっている点も興味深い。牧場サイドの期待の高さ、そして産まれた馬たちのレベルも高いことの表れではないだろうか。

果たしてレイデオロ産駒にはどのような評価がつけられるのだろうか。今年もワクワクする2日間がスタートする。

2021年セレクトセールの主な注目馬,ⒸSPAIA



ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。

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