【七夕賞】マイナスデータない福島巧者 昨年3着ヴァンケドミンゴに願いを託す!

門田光生

七夕賞の年齢別成績(2010、12~20年)ⒸSPAIA

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今年は「第1回」福島

普段なら夏の福島は「第2回」となるのだが、今年は「第1回」、すなわち今年初めての開催であった。例年と比べて馬場が使い込まれていないので、多少雨が降っても好時計が出るのではないかと考えていたのだが、思ったより速くなかった。とんでもなく速かったのは小倉の方。1分6秒0(芝1200m)には、ただただびっくりですわ。

さて、今回データで分析していくレースは2021年7月11日(土)に行われる七夕賞。今回も過去10回のデータを基にしているが、中山競馬場で行われた2011年を除く2010年、および2012~2020年の過去10回を参考としている。また、2010年は3着同着となっているので、3着馬の合計が11頭になっていることも付け加えておく。

「七夕賞」の「七」は不振?

七夕賞出走馬の所属ⒸSPAIA
七夕賞出走馬の年齢ⒸSPAIA


まずは所属から。福島開催は東の競馬場扱いなのだが、出走頭数は美浦77頭、栗東75頭とほぼ同じ。連対馬も美浦9頭、栗東が11頭だから、ほぼ互角といっていいだろう。

年齢別では4、5歳が優勢となっているが、連対率だと6歳馬も悪くない数字。7歳以上は46頭が出走して連対馬が2頭だけで、特に美浦所属馬に限ると26頭すべてが圏外。逆に結果を出しているのは栗東所属の4歳馬。半分近くが馬券に絡んでいるのだが、残念ながら今回は登録馬がいなかった。勝ち馬を探すという点で考えると、勝率が10%を超えている4、5歳馬から選択するのが正解か。

七夕賞出走馬の性別ⒸSPAIA


2週前に同距離の牝馬限定重賞(マーメイドS)が行われており、そこに有力馬が出走している影響もあるのか、牝馬の成績が振るわない。出走頭数も12頭と少なく、うち連対したのは2010年のアルコセニョーラだけ。そのアルコセニョーラだが、2007年の福島記念1着、2009年の七夕賞で2着、福島牝馬Sでも2着など、福島巧者で有名だった。

七夕賞出走馬の前走着順ⒸSPAIA
七夕賞出走馬のハンデⒸSPAIA


好成績を残していることが多い前走1着馬だが、このレースは13頭が走って連対馬は1頭のみ。これは割引材料と考えていい。逆に前走10着以下からは4頭の勝ち馬、そして4頭の2着馬が出ている。前走が大敗したからといって見限るのは早計だ。

ハンデの傾向はどうなっているか。まず牡馬だが、重い方が勝率が高くなるというデータが出ている。具体的には56キロ以上を課せられた馬が、55キロ以下より好結果を残している。最も重いハンデは58キロ(6頭)で、このうち半分が馬券に絡んでいる。牝馬は連対馬が1頭しかいないので、ここでは参考外とする。

七夕賞出走馬の前走クラスⒸSPAIA


前走でどのクラスを走っていたかを調べてみた。最も連対馬を出しているのはGⅢ組で、6勝、2着も4回。連対馬の半分がGⅢ経由組ということになる。といっても、GⅢ組は出走頭数が69頭の大所帯で、ほかのクラスの倍以上。率で比較すると、オープン組もGⅢ組と並んで上位となる。

結果が出ていないのは条件戦を経由してきた組で、11頭が出走して連対した馬はいない。またGI組は7頭と数は少ないが、こちらからも勝ち馬が出ていない(2着馬は1頭)。

七夕賞におけるマイナスデータⒸSPAIA


続いて、七夕賞におけるプラスとマイナスのデータを少々。近年の勝ち馬の成績を調べてみると、2016年アルバートドック(小倉大賞典)、2017年ゼーヴィント(ラジオNIKKEI賞)、2019年ミッキースワロー(セントライト記念)、そして2020年クレッシェンドラヴ(福島記念)と、小回りで重賞勝ちしていた馬が活躍していた。

マイナスデータの方は多く見つかった。まずキングカメハメハ産駒。10頭が出走して2着が1回。スーパーサイアーとしては物足りない数字である。また、前走馬体重が520キロ以上あった13頭から連対馬は出ていない。同じく前走で逃げた馬(10頭)、そして上記で出たマーメイドS組(8頭)からも連対例なし。あと、目黒記念組も【0-1-0-15】と相性がよくない。

最後におまけデータをひとつ。「七」夕賞なので7が絡む確率はどうなっているのか、気になって調べてみた。すると、7枠【0-1-0-19】、7番【0-1-3-6】、さらには前走7枠【0-3-1-25】、前走7番【0-2-1-7】。2着馬こそ出ているが、勝ち馬は1頭も出ていなかった。このレースに限っては「ラッキーセブン」という言葉は存在しないようだ。

狙いはもう1頭の福島巧者

では、まとめに入る。まず好走パターンだがA「4、5歳馬」B「牡馬でハンデ56キロ以上」C「小回り、内回りで重賞勝ち」の3つ。

勝率の低いデータはD「美浦所属の7歳以上」E「牝馬、特にマーメイドS経由組」F「前走1着馬」G「ハンデ51キロ以下(今回はなし)」H「条件戦、GI、目黒記念を経由」I「キングカメハメハ産駒」J「前走馬体重が520キロ以上」K「前走で逃げた馬」となる。

小回り巧者、福島巧者といえば昨年の覇者クレッシェンドラヴ。トップハンデの58キロは地力の証しだし、上記で述べたようにハンデは重い方が好走確率が上がるデータもある。問題はマイナスデータであるD「美浦所属の7歳以上」とH「条件戦、GI、目黒記念を経由」に該当すること。Hの「前走GI組」は1頭とはいえ連対馬がいるから目はつぶれるが、問題はD「美浦所属の7歳以上」。これに該当する馬は【0-0-0-26】で、強く推すどころか印も打てない。

今回の注目馬はヴァンケドミンゴ。福島は【4-1-1-0】で、クレッシェンドラヴ同様の巧者だ。勝率が10%を超えている5歳馬で、ハンデも56キロ。重賞勝ちはないが、昨年のこのレースで3着、そして福島記念で2着と、得意の舞台なら重賞でも通用することはすでに証明済み。クレッシェンドラヴと違ってマイナスデータがなく、同じ福島巧者でもこちらが本命にふさわしい馬といえるだろう。

同じくハンデ56キロのアールスターが対抗。全4勝を小回りか内回りで挙げており、小倉で重賞勝ち。ヴァンケドミンゴと同様にマイナスデータがなく、上位争いに加わってきそうだ。

トーラスジェミニはA「4、5歳馬」とB「牡馬でハンデ56キロ以上」をクリア。勝ち馬が出ていない前走GI組がマイナス点だが、2着馬なら出ているので連候補として入れておきたい。ロザムールは七夕賞と相性の良くない牝馬だが、中山の重賞で連対経験があって広いコースより小回り向き。牝馬アルコセニョーラが2009年に七夕賞で連対した時と同じハンデ(53キロ)というのも気になって印を入れてみる。

◎ヴァンケドミンゴ
◯アールスター
▲トーラスジェミニ
△ロザムール

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
今年は開催場所だけでなく、開催期間もいつもと違います。海の日も、カレンダーに記載されている19日(月曜)ではなく、22日(木曜)に変更。仕事柄、祝日がどこに移動しようがあまり関係ないのですが、だいぶ前から連休をあてにしてホテルや飛行機などを予約済で、祝日が移動したことに気づいていない人は……やっぱり、いるのかなあ。

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