【注目2歳馬】非凡な瞬発力を見せつけたアライバル 今後活躍が期待できる適条件は?

三木俊幸

新馬戦を勝利したアライバルⒸSPAIA

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格好いいフォームと素晴らしい瞬発力

先週末は新馬戦7レースが行われ、ロードカナロア産駒が2勝、そして新種牡馬ドレフォンやGun Runnerといった多彩な顔ぶれの産駒が勝利を飾った。そうした中でも、今回ピックアップしたいのは6月19日(土)の東京5Rに行われた芝1600m戦。東京競馬場の3階スタンドにいても風とともに雨が降り込んでくる天候、稍重でデビュー戦を迎えた。

マイラプソディの半妹マイシンフォニーや母マルセリーナの良血馬フェニックスループなど、粒ぞろいのメンバーが揃った一戦だったが、レースを制したのは1番人気に推されたアライバル(美浦・栗田徹厩舎)。父はハービンジャー、母は桜花賞2着、オークス3着とクラシックホースにあと一歩のところまで迫ったクルミナルという血統だ。

スタート後、先行したい馬を行かせながら徐々に位置を押し上げ、前後左右に馬を置いて5番手を追走する。レースラップは前半1000mが1:02.7(12.7-11.6-12.7-13.0-12.7)とスローペースだったのに対し、ラスト600mが34.1(11.4-11.3-11.4)と新馬戦らしい瞬発力勝負となった。

アライバルは直線で外に持ち出されるとエンジン全開。レース上がりを0.4秒上回る33.7を使って、早め先頭に立ったプルパレイをあっさりと交わし去り、2.1/2馬身差をつけての完勝。1頭だけ能力が違った。

撮影した写真を見返すと改めて感じる格好いいフォーム、そしてバネのような素晴らしい瞬発力。ハービンジャー産駒ということもあり、稍重という馬場が合っていたのかもしれないが、道中しっかりとタメが効いていた走りからも広いコースの1600m〜2000m前後に適性が高いように感じた。上手く瞬発力勝負に持ち込めば、すぐに重賞タイトルには手が届くだろう。

新馬戦を勝利したアライバルの評価インフォグラフィックⒸSPAIA



毎年ハイレベルのメンバーが揃う一戦

今週末、注目の新馬戦は宝塚記念当日の6月27日(日)、阪神5Rに行われる芝1800m戦。近4年のこのレース勝ち馬の名前を見ると、2017年ダノンプレミアム、2018年ブレイキングドーン、2019年レッドベルジュール、そして2020年はダノンザキッドと全て後の重賞ウィナーとなっている。

前評判が高いのはディープインパクト産駒のキラーアビリティ(栗東・斉藤崇史厩舎)。キャロットクラブでは総額1億円で募集された期待馬だ。馬体も父同様に牡馬としては小柄な部類に入るが、コントレイルやシャフリヤールのように「小さいディープ産駒は走る」という条件に当てはまる。

もう1頭ディープインパクト産駒で注目したいのは、ローマンネイチャー(栗東・高野友和厩舎)。全姉はジャパンCを制したショウナンパンドラという良血馬。1週前には坂路で52.6-38.2-24.3-12.2の好時計をマークするなど、調教の動きはこちらの方が良い。

そして最後に取り上げるのはレッドベルアーム(栗東・藤原英昭厩舎)。兄のレッドベルジュール、レッドベルオーブはともにデイリー杯2歳Sを制するなど2歳戦から活躍している“走る血統”の持ち主。兄は1600m戦で強さを見せたが、父がハーツクライに変わったことで距離が延びて良さが出そう。果たして今年はどの馬が勝利を手にするのか、宝塚記念と同じくらい注目したい。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。


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