【注目2歳馬】兄を超える活躍を期待 良血馬揃いの一戦を制したレッドベルアームに高評価

三木俊幸

新馬戦を勝利したレッドベルアームⒸSPAIA(写真撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(写真撮影:三木俊幸)

緩さが残る中で見せた素質

6月26、27日の新馬戦7レースのうち、芝1800mでは2レースが行われた。東京では新種牡馬ドレフォン産駒のジオグリフが上がり33.3という末脚で勝利。インパクトがあるレースぶりだったが、今回取り上げるのは宝塚記念当日に阪神競馬場で行われた一戦。

宝塚記念当日の阪神芝1800m新馬と言えば、ダノンプレミアム、ブレイキングドーン、レッドベルジュール、ダノンザキッドなど近年は優勝馬がのちに重賞を勝つ出世レースでもあり、今年も良血馬が揃っていた。しかし、馬場入場時にテーオーコンドルが放馬するアクシデントが発生。その後ローマンネイチャーに襲いかかり、こちらも放馬。場内が騒然とする出来事があったものの、無事に全馬スタートを切ることができた。

勝利したのはレッドベルアーム(栗東・藤原英昭厩舎)。父ハーツクライ、母レッドファンタジア、兄にはともにデイリー杯2歳Sを制しているレッドベルジュール、レッドベルオーブがいるお馴染みの血統の持ち主だ。

スタート後に先行争いが横一線となったことが影響してか、前半3Fのレースラップは12.8-11.3-11.6、新馬戦としてはペースが流れる展開となった。レッドベルアームは3番手集団のインからレースを運び、ゴール前でしぶとく粘るアランヴェリテとショウナンナダルをきっちり差し切るというレース内容。

馬場状態とペースの差があるものの、近年の同レースと比較しても勝ちタイムの1:47.9は速い。またディープインパクト産駒の兄とは違い、馬体はまだまだ緩さが感じられた。そうした中で福永騎手の誘導にしっかりと応えられるレースセンス、まだまだ余裕のあるパフォーマンスだったことを踏まえると出世レースに相応しい勝ち馬であることは間違いない。今後さらに距離が延びることは歓迎。兄以上の活躍が期待される。

新馬戦を勝利したレッドベルアームⒸSPAIA

セレクトセールで1億9,000万円

今週末から舞台は福島、小倉、函館の3場へと舞台を移す。そこで気になる一頭として取り上げたいのは7月4日の小倉5R、芝1800m戦に出走予定のフィデル(栗東・友道康夫厩舎)。父はハーツクライ、母ラッキートゥビーミー。2020年のセレクトセールでは1億9,000万円で落札された。

同じハーツクライ産駒でもレッドベルアームに比べて緩さがあまりなく、馬体が仕上がっている印象。栗東のCWコースでの調教映像を見る限り、動きは抜群。大物感を感じずにはいられない。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。

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