【ユニコーンS】今年は適度に水分を含んだ高速馬場 道悪・距離延長を味方にできるスマッシャーに注目

三木俊幸

2021年ユニコーンS出走馬の馬場適性ⒸSPAIA

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過去10年の勝ち馬から7頭がGⅠホースへ

3歳ダート重賞のユニコーンSは、過去10年で7頭、直近6年連続で優勝馬が後にGⅠ馬となるなど、活躍馬を多数輩出。3歳ダート路線で最もハイレベルな一戦だと言えるだろう。馬場適性の観点から分析していく。

過去の勝ちタイムを振り返ると、2018年の優勝馬ルヴァンスレーヴは重馬場で1:35.0、昨年のカフェファラオは稍重で1:34.9。良馬場であれば2016年ゴールドドリームが1:35.8、2017年サンライズノヴァが1:35.9と速い時計が求められるレース傾向にあり、これらのタイムは今年のレースを占う上でも目安となりそう。

続いて上がりタイムの傾向を見ると、2019年の勝ち馬ワイドファラオは逃げ切りで上がり37.1を要したが、35秒前半の上がりを求められることも多く、速い上がりへの適性も重要となってくる。

先週日曜日の東京・ダートコースのゴール前含水率は1.7%とかなりの乾燥状態。それでもユニコーンSと同じダート1600mで行われた夏至S(3勝クラス)を勝利したスマッシングハーツは4角8番手から上がり35.0を繰り出すなど決め手が求められる馬場状態だった。

今週は水曜、木曜、土曜に雨予報が出ているが、雨量自体はそれほど多くなさそうなので、水が浮くような馬場にはならないと見ている。適度な水分を含んだ高速馬場でのレースになると考える。

未勝利戦は後続に1.2秒差をつけて圧勝

キャリアが浅いので馬場適性については未知な面も大きいが、過去に好走した際の馬場状態や含水率も踏まえ、ユニコーンSに出走を予定している注目馬をピックアップ。特に注目したい馬には☆をつけている。

2021年ユニコーンSの馬場適性チャートⒸSPAIA



【ルーチェドーロ】
前走の端午Sは2着に0.3秒差をつけて完勝、3走前には全日本2歳優駿でJRA勢最先着の3着となっている。1600m以下の3歳ダート路線で安定した成績を残しているレディバグ(ユニコーンSは除外対象)を物差しにすると能力は十分通用するが、ベストは1400mという印象は拭えない。加えて1000mの新馬戦と芝の函館2歳Sを除くと上がりの最速は37.4と、速い上がりになったときに不安がある。東京の1600mという舞台では割引が必要。

【☆ラペルーズ】
前走の青竜Sは11着と大敗したが、出遅れとスタート後に馬体をぶつけられる不利も重なった。2走前のヒヤシンスSでは含水率5.3%の良馬場で上がり35.0と1頭違う末脚を見せ、青竜Sの上位組を全く相手にしなかった点からも能力は上位。スタートに課題があり、尚且つ反応の良いタイプでもないので前が止まらない極端な道悪になってしまうと厳しいが、多少馬場が渋る程度ならマイナスになることはなさそう。

【ゲンパチフォルツァ】
青竜Sでは最後詰め寄られたが、ハイペースを2番手から抜け出して勝利。スピードを活かす形が良さそうなので、先行馬揃いだという点が気になるが、5走前の3歳1勝クラスのレースでは含水率11.1%の重馬場で上がり最速の35.6を使って差す競馬で3着となった実績もあるので、対応は可能だ。

【☆スマッシャー】
含水率11.0%、重馬場で行われた3走前の未勝利戦は、それなりのメンバーが揃っていた中で後続に1.2秒差をつけて圧勝、前走の端午Sでも大外から勢いよく伸びて3着となっている。これまで1400m戦を中心に使われて上がり最速は36.9だが、これらのレースぶりを見ると1600mへの距離延長でさらにいい脚が使えそうな印象を受ける。馬場も合っているので、期待したい。

【サンライズウルス】
近2走はいずれのレースも道中位置どりを悪くして苦しい展開となったが、直線でエンジンが掛かってからゴール前で一気に伸びてくるという内容だった。それを考えると距離延長は歓迎。両レースとも含水率8%台半ばの稍重とほぼ同じ馬場状態でしっかりと時計を詰めて勝ち切っている点を評価する。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。


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