【函館スプリントS】上位拮抗、前に行きたい馬が多い一戦 展開上、有利なのはタイセイアベニール

山崎エリカ

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上位拮抗、展開は差し馬優勢か?

能力値1位のカレンモエが一応の1番人気のようだが、このレースの能力値上位馬は、大差がない。そのうえ逃げたい馬が内からアスタールビー、外からロードアクア、ビアンフェ、2列目狙いのアルピニズム、カレンモエと内に外に前へ行きたい馬が揃った。また、近年の札幌芝コースは、開幕週でもエアレーションの影響で極端に時計が速くなることがないだけに、速い流れが想定される。

函館スプリントS出走馬のPP指数

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カレンモエは3走前の3勝クラスでは、シャンデリアムーンがかなりのハイペースでレースを引っ張り、後半に向けてラップ減速して行く中、2列目の内でレースを運んで、オープン級の指数「-20」で勝利。次走の京阪杯では、外差し馬場の中目の2列目でレースを運んで5頭の大接戦の2着。前走のオーシャンSでは、カレンモエと同じ2列目の外でレースを運んだコントラチェックとの叩き合いの末、またもや2着に敗れた。

近3走ともそれなりの強さを見せられているが、前に行きたい馬が多い中での大外枠は明確にマイナス。3走前に速い流れで結果を出しているが、その時は内々を上手く立ち回ったもの。また、前走では前有利の展開に恵まれ、自身の最高指数「-21」を記録し、そこから立て直されて、ここが再指導戦でもある。ここまでキャリア10戦、まだ伸び代もありそうだが、今回は少々隙がある。

展開に恵まれる可能性が高いのは、タイセイアベニール

タイセイアベニールは、昨年5月にオープンの鞍馬Sを勝利後、やや調子を落としていたが、休養させたことが良かったのか、チークピーシーズの効果があったのか、ここに来て復調気配を見せた。 前走の鞍馬Sは、前に行った2頭が15頭立ての14着、15着に敗れたように、開幕週と言っても、極端な高速馬場ではない状況の中、前半3F32秒8のかなりのハイペース。やや出負け&二の脚が遅く、後方からの展開になった同馬は展開に恵まれた面がある。しかし、今回も速い流れになる可能性が十分にあるだけに、相手強化のここでも馬券圏内に食い込める余地がありそうだ。開幕週は差し馬が過少評価される傾向があるが、能力値も4位と上位に食い込んでいるだけに警戒したい。

その他の能力値上位馬

【能力値2位 コントラチェック】
一昨年末のターコイズSを超絶ハイペースで逃げ切るなど、マイル以上で強かった馬。近走は短距離路線にシフトし、少しずつ距離に慣れて、前走のオーシャンSでは、もともと高かった能力を短距離でも発揮し優勝した。もともと揉まれ弱い面があり、逃げるか、外からレースを運ぶかのどちらかでしか、好走歴がない馬だが、前走はスタートを決めて、2列目の外3番手からレースを運んだことが好走に繋がったようだ。今回も外目の枠だが、前に行きたい馬が外にいる以上、前走のような位置は取れないだろう。カレンモエ同様、前走からレース間隔を開けての再始動戦というのも好ましい材料ではない。

【能力値3位 ミッキーブリランテ】
3走前の阪急杯では、レシステンシア、インディチャンプ等、強豪相手に2着と好走。次走の高松宮記念は、阪急杯で自己最高指数「-20」を記録した後の一戦だったこともあり、馬が進んで行こうとせずに10着に完敗。もともとマイル以上を主体に使われてきた馬だけに、大外枠から出負けするなど、スピードに乗り切れていない面も見せていた。前走の京王杯スプリングCでは巻き返して4着。ここにきての充実ぶりを感じさせる走りを見せた。今回は自身にとって2度目の芝1200m戦。今回も序盤で置かれて後方からの競馬となる可能性が高いが、それゆえに展開に恵まれる可能性が高い。

【能力値5位 ケープコッド】
昨秋に休養明けで馬体重20㎏増だった3勝クラス、セプテンバーSを2番手から楽々抜け出して、オープン級の指数「-20」で快勝。3歳夏の間の大きな成長を感じさせた。同馬は次走オパールSもタフな馬場の厳しい流れを先行して2着と、強い内容だったが、その後は疲れが出てきたのか、行きっぷりが悪くなり、人気を裏切る走りの連続。しかし、前走の鞍馬Sは立て直されて休養明けの一戦。かなりのハイペースを外枠からしっかり出して、逃げ馬の後ろの4番手から5着と、着順以上に良い走りを見せた。札幌芝1200mは、すずらん賞を逃げ切り勝ちした舞台で、鞍上も当時と同じ。ひと叩きされての前進があれば、チャンスはある。

■穴馬は、近2走の展開が噛み合わなかったアルピニズム
4走前の2勝クラス、ハッピーエンドCを1クラス上の指数で快勝し、3走前のサンライズSでは2番手から直線早めに抜け出して楽勝。オープン級の能力は十分に感じさせる走りだった。ところが前々走のオーシャンSでは前有利の流れを出負けし、2番人気を裏切っての13着大敗。逆に前走の春雷Sは、好発を切ってハナを奪わんばかりの勢いで出したことで、次々と競られて序盤からペースアップ。消耗戦となり、15着大敗を喫した。ただ前走で緩みない流れを経験していることで、今回はレースの流れに乗りやすくなるはず。近2走で展開が噛み合わずに走れていないので、疲れもないだろう。オープン通用の潜在能力は感じさせる馬だけに、ここで巻き返しの激走は十分にあり得る。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例) カレンモエの前走指数「-21」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.1秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。



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