【オークス】注目は逆境を跳ねのけたフローラS組 前哨戦分析から浮上したのは?

坂上明大

2021年オークスの参考レースⒸSPAIA

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無敗の桜花賞馬

3歳牝馬クラシック第2戦・オークス。2018年生まれ世代は白毛馬ソダシが無敗で阪神JFと桜花賞を制し、タイトルも話題も独り占めにしている。ただ、今回はほとんどの馬が経験のない2400m戦。地力だけではなく、適性判断も重要な一戦となるだろう。

【桜花賞】
Bコース替わり初週。週中の降雨量も少なく、気温も高め。馬場状態は非常に良く、2レースでレコードタイムが計時された。本レースはメイケイエールが3角手前から上がっていき、前後半3F34.1-34.3の平均ペース。先行力、追走力、瞬発力など総合力が求められる地力勝負となった。

1着馬ソダシは抜群のスタートから好位差しでの勝利。抜けたフィジカルを持っているわけではないが、レースセンスを含めた競走能力は素晴らしい。「強い」という表現がピッタリだ。タフな流れの方が持ち味が活きるタイプだけに距離延長で相対的にパフォーマンスを下げる可能性は高いが、折り合いに苦労するタイプでもないだけに崩れることは考えづらい。

3着馬ファインルージュはソダシの直後で運び、直線でも同程度の末脚。ソダシほどスタートの上手い馬ではないが、瞬発力ではこちらが上だろう。やや短距離指向の強いタイプではあるが、折り合い面に心配がない点は強みだろう。

4着馬アカイトリノムスメはソダシを内前に見る形。トップスピードの差でファインルージュに差されたが、その分距離延長の今回は逆転があっても不思議ではない力関係だ。

5着馬アールドヴィーヴルはさらに馬体重を減らしたが細め感はなかった。ただ、バレークイーン牝系の晩成型中距離馬であり、クラシック適性は桜花賞<オークス<秋華賞の順だろう。距離延長により上位馬との差は縮まりそうだ。

6着馬ククナは無理せず離れた後方で運び、直線は馬群を割って追い上げる形。1000~1400mの21.7秒はサトノレイナスを上回る数字であるが、ラスト1Fは11.5秒程度と上位馬と同じ脚色になってしまった。ピッチ走法の瞬発力型でスローペースの3F勝負ならチャンスがあるか。

不利な外枠もなんのその

2021年フローラSの展開/馬場バイアスインフォグラフィックⒸSPAIA



【フローラS】
開幕週かつ週中に雨もなかったため、馬場状態は非常にいい高速馬場。レースはアンフィニドールが気風良く逃げて前後半1000m60.2-59.2だが、2番手以降は同60.9-58.5でフローラSらしい緩い流れとなった。東京芝だけに極端なバイアスではないが「前有利」と評価。

1着馬クールキャットは15番枠からスッと好位の外につけ、折り合いもピッタリ。展開に恵まれた感はあるものの、東京芝2000mで15番枠から勝利した点は高評価。フローラSを15番枠より外から勝利したのはディアデラノビア(オークス3着)、ディアジーナ(同5着)、サンテミリオン(同1着)、チェッキーノ(同2着)に次ぐ5頭目であり、それらのオークス成績を考慮すると本馬も注目せずにはいられないか。

2着馬スライリーはスッと3番手につけて、直線入り口では抜群の手応え。その分、スパート位置を遅らせたが、ラスト1Fではクールキャットに劣ってしまった。レースセンスは高く評価するが、小回りコースの方が持ち味が活きそうだ。

3着馬ユーバーレーベンは2角で玉突き事故に遭い後手後手の競馬。臆病な面があるため早めに外に出せた点は良かったが、さすがに脚を余す形となった。堅実な末脚はオークスの舞台でも強みだろう。

フローラS組に注目

ソダシを筆頭に桜花賞組は強い。が、逆境をはねのけたフローラS組にも注目。勝ち馬クールキャットは不利な外枠、3着馬ユーバーレーベンは玉突き事故に遭いながらも強い姿を見せた。両馬ともに距離不安はなく、その点では桜花賞組にもアドバンテージがある。

注目馬:クールキャット、ユーバーレーベン

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

ライタープロフィール
坂上明大
元競馬専門紙トラックマン。『YouTubeチャンネル 競馬オタク(チャンネル登録者45000人強)』主宰。著書『血統のトリセツ』。血統や馬体、走法、ラップなどからサラブレッドの本質を追求する。


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