【弥生賞】下克上が狙えそうな中山巧者の穴馬は?能力値、最高値ともに1位はダノンザキッド

山崎エリカ

弥生賞ディープインパクト記念PP指数 インフォグラフィック

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向正面でペースが上がらない

弥生賞は、皐月賞のトライアル。実績馬にとってのトライアル及びステップレースの目的は、本番がピークで出走できるように、肉体には負担をかけず、心肺持久力(スタミナや粘り強さ)を強化することが目的となる。つまり、実績馬にとっては足馴らしの一戦。近年は3歳重賞路線の充実で小頭数ということもあり、よほど群雄割拠の混戦でないと、ペースが上がりにくいのがポイント。

実際に過去10年を見ても、ハイペースになったのはマカヒキが優勝した2016年のみ。重馬場だった近2年も平均ペースで収まっているが、それ以外は良〜稍重馬場ながら5F通過61秒よりも遅いスローペースで決着している。前半で坂を上るコース形態から前半ペースは皐月賞とそれほど変わらないが、弥生賞は向正面の下り坂で緩みが生じているのだ。

また先週の中山記念で、コースレコードタイの1分44秒9で決着したように、ハイペースを考慮しても中山芝は高速馬場状態だ。多少、雨の影響があったとしても、力の要る馬場になることは考えにくい。今年の弥生賞もスローペースで、スピードと瞬発力がある馬が有利となる可能性が高いだろう。

能力値1〜5位は?

弥生賞ディープインパクト記念PP指数 インフォグラフィック


【能力値1位 ダノンザキッド】
昨年6月の阪神新馬戦では、のちの京都2歳Sの覇者ワンダフルタウンに3馬身差を付け、かなり優秀な指数で勝利した。その後は新馬戦の疲れを取り、成長を促すために休養。これがいい方に出て、その後の東京スポーツ杯2歳S、ホープフルSを連勝。レース内容も近3走とも勝ちに行く競馬で上がり最速と、ここまでは非の打ち所がない。ただ今回は本番に向けてのトライアル。皐月賞出走の賞金も足りているので、ここで無理をする必要がない。

【能力値2位 タイムトゥヘヴン】
ホープフルS当日の中山芝2000mの未勝利戦をダノンザキッドと3pt差と未勝利クラスとしては破格の指数で圧勝した。その走りは本物で、前走の京成杯も逃げてマークされる厳しい競馬になりながらも2着を死守した。時計のかかる馬場を1〜2番手から押し切った近2走から、かなりのスタミナを感じる。一方、現段階では差し競馬だと結果が出ていない。先週の高速馬場が今週も続き、スピード、瞬発力を過度に要求されるレースになった場合はやや不安を感じる。

【能力値3位 タイトルホルダー】
デビュー2戦目の東京スポーツ杯2歳Sでいきなりダノンザキッドと0.2秒差の2着。前走のホープフルSではダノンザキッドに差を広げられたが、外から終始ダノンザキッドにプレッシャーをかけられていたし、制御不能になって先頭に立ったランドオブリバティに気を使いながらのレースになってしまった感がある。トライアルの今回でダノンザキッドが隙を見せるようならば、チャンスはありそうだ。

【能力値4位 シュネルマイスター】
新馬戦では出負けしながら4角手前からまくって、早め先頭から勝利したレースぶりは、指数以上の強さを感じさせた。前走のひいらぎ賞は速い流れを中団で折り合うと、直線では最後までほとんど減速せず、後続を突き放して快勝。瞬発力、スピード面はここでも劣らない。ただ新馬戦では最後にやや苦しくなる面を見せたように、今回問題があるとするならば距離だろう。勝ちに行って早仕掛けになるようだと危険性が上がる。

【能力値5位 ワンデイモア】
新馬戦は8着と大敗したが、2戦目の未勝利戦では上がり最速で勝利し、能力の片鱗を見せると、前走の1勝クラスも勝利。一戦ごとの成長度が著しい。ただ、ここまで倒してきた相手が弱い。前走で4角外を回って、勝ちに行きながら勝利した内容は優秀だったが、今回通用するためには大きな成長が必要。この中間ハヤヤッコなどと併せてはいるが、伸び代がカギ。

穴馬はゴールデンシロップ

新馬戦では出負けして後方から。二の脚で好位まで挽回した分、最後伸び切れずの4着に終わった。しかし、前走はスタートがやや改善され、少し折り合いを欠きながら好位の2列目。新馬戦から大きな進化が見られ、4角を回って加速すると早め先頭に立ち、そこから良い脚を長く使って押し切った。指数は未勝利クラスとしてはかなり優秀。スピードも瞬発力も感じさせる好内容だった。いかにも今の中山に合いそうなタイプで、気性面以外は距離延長も好ましい。一気に下剋上が狙えそう。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ラヴズオンリーユーの前々走指数「-23」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.3秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。


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