【ダイヤモンドS】グロンディオーズが待望の重賞V 長距離重賞を予想する上での「教訓」とは?

SPAIA編集部 鈴木佑也

2021年ダイヤモンドSのレース結果ⒸSPAIA

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グロンディオーズが重賞V

2月20日に東京競馬場で行われたのはダイヤモンドS。1番人気に推されたのは明け4歳のオーソリティ。GⅡ2勝の実績は最上位ながら、3000m級のレースは完全に未知の領域。2番人気はステイヤーズS3着のポンデザール、3番人気は同5着のヒュミドール。確固たる主役は不在の一戦だった。

逃げの手に出たのがブラックマジック。2番手にはジャコマルが続き、最初の1000m通過は63.8秒。有力馬の位置取りは、オーソリティがさすが川田騎手という内目5番手確保。ヒュミドールはその斜め前で内ラチ沿い。ポンデザールは後方の外目を伸び伸びと走る。

1周目のホームストレッチでメイショウテンゲンの横山典弘騎手が外からポジションを上げていったが、これに反応した騎手はほぼなし。ただ、このとき隊列がわずかにバラけた1角の入りを利用して、グロンディオーズの三浦騎手が1頭分位置を上げてオーソリティの真後ろに収まった。結果から言えば、この小さな動きが最後のクビにつながる好プレーだった。

残り1600mからペースアップした昨年とは違い、今年は残り1000mから11秒台のラップを最後まで刻む展開。オーソリティの川田騎手は4角出口にかけて少しずつエンジンをかけていき、直線入り口、1頭分だけの横の動きで抜け出した。騎乗は完璧だった。

しかし、完璧すぎたが故に他馬と併せるような形にならず、一列後ろから追い込んできたグロンディオーズに最後の最後でクビ差つかまってしまった。

差し切ったグロンディオーズの勝ちタイムは3.31.2で昨年と全く同じだが、レース上がりは今年の方が3秒も速かった。死力をつくしての同タイムだった昨年より、はるかにレベルの高い一戦だった。

長距離戦は地元馬

グロンディオーズは3歳時に4戦3勝で菊花賞にも出走。モレイラ騎手を配して6番人気にも推された。しかしその後は屈腱炎で1年以上の休養を余儀なくされ、復帰後も間隔をとりながら、5戦目で悲願の重賞制覇となった。

2000mからの7ハロン延長で見事に折り合った操縦性から長距離への適性は抜群。番組は少ないが10歳を超えても活躍する馬がいる、それが長距離路線。脚部不安という弱点を補うにはうってつけの道だ。

三浦皇成騎手も近年、中長距離重賞では勝ち星から遠ざかっていたが、今回は見事な騎乗で11年ステイヤーズS(マイネルキッツ)以来となる2000m超の重賞勝利だった。

2着オーソリティも、4歳で勝ち馬より(実質3キロ)重い56キロを背負って、一度は完全に抜け出す形を作り、3着以下には5馬身差をつける内容。負けて強しと言っていい。これで東京は【2-1-0-0】。東京巧者ということがハッキリしてきた。

東京の芝、長距離と言えば春はこのレースと目黒記念、秋はアルゼンチン共和国杯あたりか。いずれもハンデ戦となる。今後は重くなっていくハンデを克服できるかが課題だろう。

ちなみに、終わってみれば3着もポンデザールで関東馬のワンツースリー。直近の10年間で馬券に絡んだ30頭の内訳は関東馬16頭、関西馬14頭と互角。しかしながら、穴を開けたケイアイドウソジン、ミライヘノツバサ、そしてグロンディオーズがいずれも関東馬のため、回収率では関東馬が圧倒している。

そういえば西の長丁場、菊花賞にも「関東馬大苦戦」の有名なデータがある。そこで過去10年の芝3000m以上の重賞について調べてみたところ、関東のレースは関東馬が回収率で優勢、関西のレースは関西馬が優勢だった。

リラックスして走ることが求められる長距離戦を、人気薄が遠征競馬で好走するのは困難ということだろう。「長距離重賞を予想する際は地の利を意識すべし」、そんな教訓を得たダイヤモンドSであった。

2021年ダイヤモンドSのレース展開インフォグラフィックⒸSPAIA



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