【フェブラリーS】チャンピオンズCとの相違点に注目 前走が「負けて強し」の競馬だった2頭は?
坂上明大
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中京ダートの内有利レース
2021年、JRAでの最初のG1フェブラリーS。芝スタート、ワンターンの1600m、コーナー角が緩やか、直線が長いなど12月のチャンピオンズCとは相違点が多く、よりスピードの持続力が求められる条件だ。フェブラリーSタイプか、チャンピオンズCタイプかを参考レースから読み解いていく。
【チャンピオンズC】
エアアルマスがハナを切って、インティがややプレッシャーをかけながら3Fごとのラップは36.5-35.8-37.0。前年は同36.6-36.2-35.7の内前有利であったが、2020年は中京ダート特有の「内有利」の競馬であった。ただ、それでも結果的には前年と同じ4頭での決着であり、中京ダートがいかに好走できる馬を限定しているかがわかる結果だ。
3着馬インティは外枠から2番手につけ、中盤も緩めずに、3~4角では早めにスパート開始。残り100m程で交わされてしまったが、本馬の先行力と俊敏さは中京ダートにピッタリだ。フェブラリーSでは一昨年に勝利を挙げているが、当時は前後半3F35.8-35.4のスローペース。緩い流れの加速力勝負ならチャンスはあるが、タイプとしてはチャンピオンズC向きといえるだろう。
6着馬カフェファラオは砂を被ることを嫌って外々を回る競馬。コーナーでのロスが大きく直線は伸びずバテずだったが、3歳馬としては十分過ぎる内容であった。外を回ることが不利になりにくいフェブラリーSの方がチャンスは大きいだろう。
7着馬エアスピネルは後方のインで脚をタメ、直線も馬群を割る形。立ち回り自体は悪くなく、その分地力の差を感じる内容であった。
9着馬アルクトスは伸びずバテずの敗戦。超ストライド走法の本馬には加減速の激しい中京ダート1800mは合わない。大箱マイル向き。
10着馬エアアルマスは内枠から主張して先手を取ったが、終始インティからプレッシャーを受ける形。ハナにはこだわらないが、砂を被らずマイペースで運べれば前進可能か。
12着馬サンライズノヴァもアルクトス同様に超ストライド走法の大箱コース向き。さらに本馬は追い込み一辺倒の脚質でもあるだけに、中京ダートでは相当展開が向かないと厳しい。東京替わりは大幅プラス。
スマートファルコン産駒の独壇場
【東海S】
インティが気風良く逃げて前半1000m59.3秒。不良馬場とはいえ、ほぼ上り坂の区間をこの時計で入ってはさすがに厳しかったか。内有利の中京ダートだけに外有利になることはないが、先行馬には厳しい「後有利」であったことは間違いないだろう。
1着馬オーヴェルニュは外目3番手から早め先頭。ラストは後続の追撃を凌ぎ切って3連勝で重賞初勝利を挙げた。好内容。ただ、スマートファルコン産駒は2ターン競馬や道悪競馬を得意としており、1ターンの東京ダート1600mに替わる点は割引が必要だろう。
脚を余した馬に要注意
【根岸S】
激しい先行争いの影響もあり、前後半3F34.4-36.0の前傾1.6秒のハイペース。直線の長い東京競馬場ということもあり、例年通り「後有利」の根岸Sとなった。
1着馬レッドルゼルは中団のインで脚をタメたが、直線ではなかなか進路を確保できず、まともに追えたのは残り200m弱。上がり3F最速はワンダーリーデルに譲ったが、上がり1F最速は僅差で本馬が記録した。初の1600mは課題になるが、ワンダーリーデルとの比較では本馬が一枚上手と見る。
2着馬ワンダーリーデルは明け8歳馬でも元気一杯。衰えは感じず、ペースが向けば僅差の4着だった昨年程度のパフォーマンスを見せられそうだ。
4着馬アルクトスは59キロの重斤量を背負った上、上位3頭よりも前々での競馬。個別ラップの失速度も低く、負けて強しの競馬であった。
8着馬ヘリオスは2列目で運んだ上、直線でもなかなか進路を確保できず。上がり3Fは12.2-12.1-12.0程度と力を出し切っておらず、上昇の余地は十分だ。
東京1600m替わりで反撃
チャンピオンズCでは負けて強しの競馬を見せたカフェファラオ。揉まれ弱いAmerican Pharoah産駒だけに、外枠を引ければユニコーンSでの輝きを取り戻せるだろう。昨年は展開が向かなかったアルクトスのリベンジにも期待。
注目馬:カフェファラオ、アルクトス
※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。
ライタープロフィール
坂上明大
元競馬専門紙トラックマン。『YouTubeチャンネル 競馬オタク(チャンネル登録者45000人強)』主宰。著書『血統のトリセツ』。血統や馬体、走法、ラップなどからサラブレッドの本質を追求する。
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