【皐月賞】コントレイルとサリオスの二強では決まらない!「外を通る差し馬」「持続力」という条件にぴったり当てはまる馬は?

三木俊幸

2020年皐月賞馬場分布図ⒸSPAIA

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外差しが決まる馬場

コントレイルVSサリオスの二強ムードが漂っているが、そう簡単には決まらないのが皐月賞(GⅠ・芝2000m)。過去10年で1番人気と2番人気だった馬がともに馬券圏内に好走したのは2013年のロゴタイプ、エピファネイアと2014年のトゥザワールド、イスラボニータの2回のみ。

また8番人気以下の馬が6回も馬券に絡んでおり、波乱の決着も多い。 2020年の皐月賞はどうなるのか。中山コースの馬場傾向と各馬の馬場適性という観点から分析、予想を行っていく。

2020年4月11・12日の中山競馬場の馬場傾向

先週末の4月11日(土)と12日(日)に中山競馬場の芝コースで行われたレースは9レース。春の中山開催も後半に差しかかり、内側の芝コースが荒れてきているにも関わらず、良馬場では未勝利戦(2000m)で2:00.9、重賞のニュージーランドT(1600m)で1:33.0という速いタイムがマークされた。

上がりタイムは概ね34秒台、レースによっては35秒台の上がり決着となることもあったが、野島崎特別(1800m)で2着となったダノンポピーが33.7、稍重で行われた春雷S(1200m)では2着マリアズハートが33.1をマークするなど、ペース次第では依然として速い上がりがマークされる馬場だった。

2020年4月11・12日の中山競馬場の馬場傾向通過順位

続いて通過順位を見てみると、逃げ・先行馬が5勝、差し・追込馬が4勝とほぼ互角ではあったが、稍重で行われた日曜日のレースは後方一気の決着が多く見られ、差し有利の馬場となっていた。

2020年4月11・12日の中山競馬場の馬場傾向4角通過位置

直線で内から何頭目を通ったのかを調べてみた結果、良馬場で行われた4レースで3着以内となった12頭中、内から4頭目より外を通った馬が8頭と外を通った馬の活躍が目立っている。稍重となった日曜日はさらにその傾向が顕著に見られており、15頭中11頭が内から4頭目より外を通っていた。

今週末は皐月賞が行われる19日(日)は晴れ予報となっているが、前日の18日(土)は雨予報が出ている。雨量次第ではあるが、パンパンの良馬場でレースが行われる可能性は低く、渋った馬場でのレースとなることが予想される。先週の傾向を当てはめると、「外を通る差し馬が有利」という傾向が強まると考える。またGⅠということもあり、ある程度ペースは流れそうなので、瞬発力よりは「持続力が必要」とされる馬場になるだろう。

サリオスは危険な人気馬

そうした点も考慮しつつ、各馬の馬場適性について分布図を作成して可視化してみた。縦軸はスピード型かパワー型かを示す指標、横軸は瞬発力勝負と持続力勝負のどちらに強いかを表した指標となっている。

2020年皐月賞馬場分布図ⒸSPAIA

【コントレイル】
昨年の最優秀2歳牡馬に輝いたコントレイル。東京スポーツ杯2歳Sで1:44.5というレコードタイム、33.1という上がりを使って圧勝したレースぶりから、スピードが要求される高速馬場で瞬発力を生かすレースで適性が高いのは言うまでもない。しかし、それとは正反対な条件で行われたホープフルSでも全く隙を見せないレースぶりで勝利しており、もはや馬場適性どうこうでなく、能力の絶対値が違うと見たほうがいいだろう。

【サリオス】
コントレイル同様に3戦3勝でGⅠ朝日杯FSを制したサリオス。こちらもサウジアラビアRCで1:32.7、上がり33.1を使って勝利するなど、スピード型で瞬発力に優れているタイプだと考える。朝日杯FSではHペースを3番手で追走し、上がりがかかるレースにも対応できたのは評価できる。能力はコントレイルにひけをとらないが、瞬時に反応できるタイプでなく、前走以上にタフな馬場で差し有利な馬場となる今回は、厳しい戦いになるのではないかと判断し、「危険な人気馬」とする。

【サトノフラッグ】
勝利したレースで使った上がりは34.5、35.3、36.1となっており、典型的な持続力タイプ。東京コースながら1:59.5という持ち時計もあり、加えて前走の弥生賞ディープインパクト記念では、重馬場にも対応しているのは大きな強みだ。「外を通る差し馬」「持続力タイプ」という2つの条件にマッチしており、逆らう材料は見当たらない。

【ブラックホール】
弥生賞ディープインパクト記念では、大外を回らされる形となり4着に終わったが、2着馬とは差のないレースだった。また稍重の札幌2歳Sを勝利しているように道悪適性は高いので、うまく立ち回れば激走があっても不思議ではない。穴で押さえておきたい一頭だ。

【ダーリントンホール】
東京競馬場で行われた共同通信杯を勝利しているが、中山コースのように直線が短いコースの方が向いていると考える。高速馬場よりは雨上がりで力のいる馬場への適性は高いので、チャンスはありそうだ。

【マイラプソディ】
共同通信杯で4着に敗れた内容には不満が残る。しかし、ワンターンで瞬発力を生かすタイプではなく、京都2歳Sのようにコーナー4回の競馬が合っているタイプのようにも思えるので、まだ見限ってはいけない。

【ヴェルトライゼンデ】
道悪での好走実績もあり、ホープフルSでコントレイルの2着となった実績もある。父ドリームジャーニーほどの一瞬の加速力はないが、立ち回りのうまさを感じるので、今回も好走が期待できる。

【クリスタルブラック】
後方待機から大外を回って豪快に差し切った京成杯のレース内容は評価できる。2:02.1という勝ち時計だけを見ると、一気の相手強化が不安材料ではあるが、有力馬が早めに動いてバテ比べの展開になれば、今回も前走の再現が見られるかもしれない。

【皐月賞予想】
◎サトノフラッグ
○コントレイル
▲ヴェルトライゼンデ
△ダーリントンホール
×マイラプソディ
×クリスタルブラック
☆ブラックホール

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