【毎日杯】「前走ワンターン」のコース出走馬を狙え! 最後の希望をつなぐ毎日杯

勝木淳

毎日杯インフォグラフィックⒸSPAIA

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過去10年でGⅠ馬4頭輩出

かつてはここを勝つと西の秘密兵器などと呼ばれていたが、東西の壁がほぼなくなった今、西の有力馬に秘密感は薄い。そうはいうが、過去10年このレースの勝ち馬にはその年のGⅠレース勝ち馬がズラリ。ダノンシャンティ(NHKマイルC)、キズナ(日本ダービー)、アルアイン(皐月賞)、ブラストワンピース(有馬記念)とトライアルではない谷間感が強いものののちに活躍する馬が4頭もいる見逃せないレースだ。

毎日杯過去10年勝ち馬成績ⒸSPAIA


良馬場で勝ち時計が1分46秒台の場合、13年キズナ、17年アルアイン、18年ブラストワンピースとGⅠタイトルホルダーがズラリ。結果的に勝ち時計が速かったケースでは今後のGⅠ戦線で警戒が必要になるだろう。

ただ、それはレースが終わってからの話であり、大事な予想的な視点でいけば、良馬場であれば、勝ち時計1分46~47秒台、かつそれなりに先行できるような馬が傾向として当てはまる。ごまかしが利かない舞台設定であり、勝ち馬に限定すれば先行力+最後にそれなりにいい脚が使えるという武器を持った馬が好走しやすい。極端な差し馬は割引が必要だろう。

キーワードはワンターンのGⅢ

前走クラス別成績をみると、クラシック戦線の一路線らしく実績と経験を積みあげた馬が強いレースでもある。

前走クラス別成績(過去10年)ⒸSPAIA


前走GⅡ組は【1-0-2-4】と確率では1勝クラスより上であり、さらに前走GⅢ組【7-4-2-21】が絶好調。同格重賞から横すべりするような賞金加算を目論んだ組が狙い目になるだろう。

ではGⅢ組を掘り下げていく。

前走GⅢ組の前走着順別成績(過去10年)ⒸSPAIA


好成績は共同通信杯の【4-0-1-1】ではあるが、今年の想定馬にはこの組は不在なので来年以降に覚えておきたい。想定でいえば、きさらぎ賞【1-2-1-4】から2着ストーンリッジと3着アルジャンナが出走予定、注目したいところだ。

出走がない組ではシンザン記念【2-0-0-4】も有力で、これらレースに共通するのがワンターンのレースであるということだ。これらGⅢ組からの出走が少ないかわりにこの傾向はヒントになるのではないだろうか。

つまり前走ワンターンに出走した馬を狙うという作戦である。ちなみにコーナー4つのGⅢ京成杯組は【0-0-0-3】で好走はない。直線が長いコースで行われるワンターンの競馬を前走で経験しているかどうかは毎日杯のポイント。これはGⅢ以外でも使えそうな作戦ではなかろうか。

ついでに前走GⅢ組の前走着順別成績を調べた。

前走GⅢ組の前走着順別成績(過去10年)ⒸSPAIA


概ね掲示板以上の馬の成績はいいので、ストーンリッジとアルジャンナは出走するようであれば有力視するのが妥当だが、6~9着の【2-2-0-7】は見逃せない数字だ。出走馬にこのデータに合致し、かつ前走でワンターンの競馬に出走していた馬がいるようであれば、穴に一考したいところだ。

これもまた今年はいなくても来年まで覚えておきたい。来年まで覚えられないという方のためにも来年の毎日杯のパートを私が担当してみたい。もちろん、私が忘れていなければではあるが……。

クラシック戦線では大切な騎手起用について

最後に騎手についてみてみる。

騎手乗り替わり別成績(過去10年)ⒸSPAIA


継続騎乗【5-4-2-34】で乗り替わり【5-6-8-61】。乗り替わりの方が多いのは昨今のトレンドでもあり、毎日杯というレースの性格でもあるだろう。それはクラシック開幕まで時間がないタイミングであり、最後の望みをかけてやれることはやろうという陣営が騎手を変えてくるケースが多いということだ。自然と確率的には継続騎乗の方が高くはなるが、好走した数的にはほぼ互角。

クラシック戦線において乗り替わりはマイナス要素となることが多いだけに毎日杯の性格も踏まえつつ、このレースでは乗り替わりは気にしない方がよさそうだ。とにかく賞金を加算し、一歩でも前に出なければいけない。クラシックはやはり過酷なサバイバルである。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて「築地と競馬と」でグランプリ受賞。中山競馬場のパドックに出没。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌「優駿」にて記事を執筆。

毎日杯インフォグラフィックⒸSPAIA

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