【エリザベス女王杯】平成の異説は令和の定説?久々に無敗の女王誕生の予感

門田光生

本命に推されたラヴズオンリーユーⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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若いほど好走確率高し

ヴィクトリアマイルと違い、3歳馬も加わるこのレースは文字通りの女王決定戦だ。ただ今年は、天皇賞・秋を制覇した規格外のアーモンドアイ、さらに遠い地で大活躍するリスグラシュー、ディアドラの参戦がないため、残念ながら牝馬の最強決定戦とはいかないものの、ここを勝てば「女王」を名乗っても文句はないだろう。

表1_秋華賞馬のエリザベス女王杯成績(同年)ⒸSPAIA

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表2_エリザベス女王杯出走馬の年齢ⒸSPAIA

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今年は秋華賞馬クロノジェネシスが出走。その年の秋華賞馬はここ10年で5回出走しているが、うち半分が馬券に絡んでいる。年齢別でみても、年齢の若い馬ほど連対率がいい。この時期の牝馬はそれほど力の差はなく、3歳馬が古馬より2キロ軽い分で有利ということか。

逆に、6歳以上となると成績がガタッと落ちる。2年連続2着で「今年こそは」と意気込む6歳馬クロコスミアにとっては嫌なデータだ。

今回も久々は消し、だが……

表3_エリザベス女王杯出走馬の騎手ⒸSPAIA

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次は前走から騎手の乗り替わりの有無の成績。牝馬はよりデリケートで、癖を分かっている騎手の方がプラスに出る印象。この時期は短期免許で来日する外国人騎手が多く、彼らに乗り替わるケースも多いが、このレースに限っては同騎手の方の好走確率が高くなっている。

表4_エリザベス女王杯出走馬の前走ⒸSPAIA

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3歳馬は秋華賞(GⅠ)、府中牝馬Sがステップレースになるが、それ以外のローテーション、特にGⅢ以下のレースを経て挑戦する馬には厳しいデータが出ている。府中牝馬Sは2011年以降はGⅡとなったが、この年からここに挑んだ同レースの馬の勝率は5.3%、連対率は7.9%。良くもなく悪くもない成績だ。

表5_エリザベス女王杯出走馬のローテーションⒸSPAIA

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これはラヴズオンリーユーを消すためだけに出したデータ。中10週以上、すなわち休み明けでここに挑戦した馬は過去10年で一度も連対していない。ただし、今年は休み明け緒戦でGIに挑戦した馬がデータをくつがえして好走するケースが多々あった。これまで通り、当該レースのデータを取るか、それとも今年全体の流れを取るか。悩ましいところだ。

結論は「トレンドに乗れ!」

今年、16の平地GIが行われたが、そのうち5レース(桜花賞、皐月賞、天皇賞・春、秋華賞、天皇賞・秋)で3か月以上の間隔を開けて出走した、いわゆる「休み明け」の馬が優勝している。しかも、これまで休み明けでは分が悪いとされていたレースばかり。もはやこれは偶然でなく、新しい時代のトレンドと考えた方がよさそう。

今回の有力馬でぶっつけ本番はラヴズオンリーユーのみ。ただし、予定通りのぶっつけではなく秋華賞に間に合わずここへスライドしてきたのが大きく違う点。そこは気になるのだが、上記5レースを休み明けで勝った5頭と同じ、放牧先の施設が充実しているノーザンファーム生産馬というのは心強い。加えて3歳牝馬、前走からの継続騎乗など、ほぼ好走パターンも満たしている。「休み明け」データの呪縛から解き放たれる意味も込めて、今回は令和の定説に乗ってみたい。

ちなみに、無敗の3歳馬でエリザベス女王杯に挑戦といえば、2002年にファインモーションが優勝、カワカミプリンセス(2006年)は降着し結果12着とはいえ、入線順は1位。同じく無敗で挑むラヴズオンリーユーには心強いデータといえる。

当然ながら次位はクロノジェネシスになるのだが、今年休み明けでGIを制した5頭のうち、2戦目を走った3頭が星を落とし、グランアレグリアはNHKマイル5着(4着入線)、サートゥルナーリアはダービー4着、フィエールマンは札幌記念3着となった。久々を好走した反動とは一概にいえなくても、気になるデータだ。

府中牝馬Sからは勝ち馬のスカーレットカラーと3着のラッキーライラック。スカーレットカラーは追いだしを待たされながらも差し切った足は長い直線向き。これは勘だが、この馬は根幹距離より、今レースのような非根幹距離の方が合っている気がする。ラッキーライラックはいかにも前哨戦というレースで、今回につながるという意味ではこちら。データ上乗り替わりはマイナスと出ているので強くは推せないが…。

あとは本命馬と同じく「3歳」「継続騎乗」のデータを満たすシャドウディーヴァを押さえておく。

◎ラヴズオンリーユー
○スカーレットカラー
▲クロノジェネシス
△ラッキーライラック
×シャドウディーヴァ



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《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想や「最終逆転」コーナーを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。

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