【中山記念】データでは「中山金杯1着」アルナシームが優勢 ソウルラッシュはドバイ遠征を視野に始動

三木俊幸

2025年中山記念に出走予定のアルナシーム,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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参考レースを振り返る

春の中山開催の開幕週に行われる中山記念(GⅡ・芝1800m)には、昨秋のマイルCSを制したソウルラッシュや連覇を狙うマテンロウスカイなど今年も好メンバーがそろった。ここでは過去10年のデータともに主な参考レースを振り返る。

中山金杯【データ:A メンバーレベル:C】

過去10年の成績【3-1-1-6】勝率27.3%、連対率36.4%、複勝率45.5%

2018、2019年に連覇したウインブライト、2021年ヒシイグアスが勝利するなど最も相性が良い前哨戦と言える。

スタンド前の先行争いを制したクリスマスパレードがハナを奪うも、2番手にホウオウビスケッツがつける展開。1000m通過は58.7と淀みなく流れた。

2番ゲートから中団のインをロスなく立ち回っていたアルナシームは、4角から徐々に外へと持ち出されると、残り100mで先頭へ。そのまま最後まで力強い脚で突き抜けた。勝ちタイムは1:58.1での決着だった。

中山金杯と比較すると相手は強くなるが、芝1800mは昨夏の中京記念をはじめ5勝をあげている得意の距離。また「前走中山金杯1着」からの参戦は【2-1-0-1】勝率50.0%、連対率75.0%とデータの後押しもある。

パラレルヴィジョンは、近走はマイル戦で先行できず二桁着順が続いていた。このレースでも中団を追走、勝負所でモタモタする面を見せながらも最後までジリジリと伸びて6着。現状、距離延長は良い方向に働いたと言えるだろう。

香港マイル【データ:B メンバーレベル:A】

過去10年の成績【1-0-1-3】勝率20.0%、連対率20.0%、複勝率40.0%

2017年にネオリアリズムが勝利。香港マイルからの出走は5頭と少ないがいずれも5着以内と堅実な成績を残している。

外枠から逃げたビューティーエターナルをマークするかのように、ヴォイッジバブルが好スタートから2番手と、地元香港の実績馬が先行。3番手に日本から参戦のジャンタルマンタルが追走して800m通過は47.02というペースで流れる。直線は、残り300mを切ったところで堂々と先頭に立ったヴォイッジバブルがそのまま押し切り、1:33.34で勝利した。

ソウルラッシュはまずまずのスタートを切ったが、道中は後方3番手のポジションとなってしまった。4角では大外を回す形となり、直線に向いてからも末脚を伸ばしたが展開も向かず1.1/4馬身及ばずの2着という結果だった。

香港マイルに出走したソウルラッシュ,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


勝利したヴォイッジバブルはその後香港スチュワーズC、2000mの香港ゴールドCとGⅠ連勝。圧巻のレースを披露し続け、充実期を迎えている。

ソウルラッシュ自身もマイルCS勝利と香港マイルの結果を踏まえれば、今回のメンバーで実績最上位の存在と言える。斤量59kg、休み明けなど不安要素もあるが、ドバイターフ出走を視野に入れての一戦でもあり、格好はつけてほしい。

東京新聞杯【データ:B メンバーレベル:C】

過去10年の成績【1-1-0-7】勝率11.1%、連対率22.2%、複勝率22.2%

2024年にマテンロウスカイが7番人気で勝利している。同馬は同じローテーションで連覇を狙う。

好スタートから逃げたメイショウチタン、2番手セオの前2頭が、3番手以下をやや離す展開。800m通過が46.1というペースで流れ、縦長の隊列となった。ゴール前は内から伸びたボンドガールが差し切ったかと思われたところ、ウォーターリヒトが大外から上がり33.2の末脚で豪快に差し切り。勝ちタイム1:32.6で重賞初制覇を飾った。

メイショウチタンは近走、二桁着順が続いて16番人気だったが、マイペースで粘って3着と、得意の左回りで波乱を演出した。今回は右回りに加えて初の1800mという条件でどこまで力を発揮できるかだ。

マテンロウスカイは3番手追走から最後は差されて、勝ち馬から0.3秒差5着。敗れはしたが、斤量59kgを背負っていたことや差しが届く展開になったこともあり、内容自体は悪くない。昨年と同じローテーションで挑むことができ、中山記念連覇のチャンスは十分ありそう。

毎日王冠【データ:C メンバーレベル:B】

過去10年の成績【0-0-0-1】勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率0.0%

好スタートを切ったホウオウビスケッツがハナを奪い、2番手にエルトンバローズが続く展開。800m通過は47.5というスローペースになった。4番手から運んだシックスペンスがゴール前でホウオウビスケッツをクビ差で捉え切り、1:45.1という勝ちタイムで勝利した。

2025年中山記念に出走予定のシックスペンス,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)



今回と同じ中山芝1800mのスプリングSを勝利するなど、コース適性と能力面では全く問題はない。しかし、今回に関しては休み明けに加えて蹄の状態がどこまで良くなっているのか不安も残る。

ディセンバーS【データ:なし メンバーレベル:C】

過去10年で出走なし

すんなりとレースの主導権を奪ったのはコンクシェル。2番手にビーアストニッシドが続き、1000m通過は58.8と淀みなく流れた。前2頭から離れた3番手のインを追走していたエコロヴァルツは4角で前へと接近、残り200mで先頭に立つとそのまま押し切り。勝ちタイムは1:45.2だった。

ここまで重賞勝利こそないが、条件は合っており上位争いの一角に割って入る力はある。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。

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