【フェブラリーS】「前走根岸S1着」は勝率50% 東京ダ1600m3戦3勝のコスタノヴァは文句なし

勝木淳

過去10年のデータから見るフェブラリーS,ⒸSPAIA

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昨年は大波乱も

JRAのGⅠ開幕戦はダートのフェブラリーS。過去5年のレース内容を整理すると、ほぼ前半800mは46秒台半ばで進み、後半800mでどれほど速くあがれるかといった形に集約する。後半がかかればハイペース判定、あがりをまとめると平均ペースといった具合だ。

過去5年の勝ち馬で4コーナー通過がもっとも後ろだったのは、2020年モズアスコットの8番手。ほかは3、4番手から粘り込んで、後続の追い上げをしのいだ。つまり、前半の速い流れについていくスピードをゴールまでいかに維持できるかにかかっている。

ダートの猛者たちは簡単にはへこたれないが、スピードに乗るまで距離を要する。東京特有のスピードと我慢比べを乗り越えないと、GⅠの頂には到達できない。今年も東京適性が結果を大きく左右しそうだ。データは過去10年分を使用する。


人気別成績,ⒸSPAIA


JRAのダートGⅠは年2回。それも中距離ではなく、スピード勝負の東京ダートとなると、フェブラリーSのみとなる。東京巧者のA級馬にとってタイトルを奪取するならここしかない。

1番人気【5-2-1-2】勝率50.0%、複勝率80.0%はそんな意気込みのあらわれ。ここ一点に照準を絞って仕上げられた東京巧者はそうは負けない。2番人気も【3-1-0-6】勝率30.0%、複勝率40.0%と人気馬総崩れは考えにくい。ただ、昨年のようにデータに合致する馬がいないと大波乱もある。


年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢別では、4歳【3-1-1-20】勝率12.0%、複勝率20.0%は確率的には上位に推せるが、5歳【4-4-5-28】(勝率9.8%、複勝率31.7%)や6歳【3-1-2-27】(勝率9.1%、複勝率18.2%)と好走数では変わらない。

7歳以上【0-4-2-53】(複勝率10.2%)も2、3着に割り込む可能性は残されており、年齢で評価するのは難しい。スピード勝負とはいえ、ダートならベテランたちも簡単には引き下がらない。


東京適性で抜けているコスタノヴァ、エンペラーワケア

近況、東京での成績が目立つといえば、根岸Sを勝ったコスタノヴァ、武蔵野S以来のエンペラーワケアが抜けている。どちらも東京ダートでの凡走がない。東京適性がキーワードなら、今年はそうそう荒れないだろう。


前走レース別成績,ⒸSPAIA


フェブラリーSは好走ローテ―ションが限られる。主に根岸S【4-2-3-43】勝率7.7%、複勝率17.3%とチャンピオンズC【3-3-2-9】勝率17.6%、複勝率47.1%、そして東海S【3-1-1-15】勝率15.0%の3つ。

勝ち馬の前走は前哨戦か前年のGⅠのみで、地方のGⅠ出走は【0-3-2-35】複勝率12.5%となっている。たとえハイレベル戦であっても、地方の我慢比べを経て参戦すると、どうしたって一歩足りない。昨年はここに有力馬が集中したため、波乱を呼んだ。


前走根岸S・着順別成績,ⒸSPAIA


まずは根岸Sから。1400mからの距離延長が取り沙汰されるローテだが、1着【4-1-1-2】(勝率50.0%、複勝率75.0%)と2着【0-1-2-2】(複勝率60.0%)に対して、3着以下は【0-0-0-38】。好走していれば延長など気にしなくていい。むしろ延長を理由に嫌われるなら買いだ。

凡走した馬たちをみると、4歳時に根岸S2着から挑んだサンライズノヴァは3歳秋から4歳フェブラリーSまで東京ダート1600m【0-0-0-1】で、当時はまだ1400mに好走が集中していた。武蔵野Sを勝ったのは4歳秋以降のことだ。

また、コパノキッキングとレッドルゼルは1600m初出走だった。コスタノヴァは東京ダート1600m【3-0-0-0】で、根岸Sも0秒7差圧勝なら文句なしだろう。

前走チャンピオンズCは中距離戦らしく、根岸Sとは違い、逆相関。6着以下【3-1-2-7】と適性が合わず、敗れた馬が東京で巻き返している。今年15着だったガイアフォースは昨年のフェブラリーS2着馬であり、むしろここで買いだろう。

また、昨年の勝ち馬で前走5着だったペプチドナイルも好走候補。昨年は前後半800mの差が4秒5もある超ハイペースだった。当然、後半の落ち込みが激しい競馬であり、今年もそんな流れになるかどうか。展開がカギになる。


前走東海S・着順別成績,ⒸSPAIA


今年からプロキオンSになった前走東海Sは1着【2-0-1-3】勝率33.3%、複勝率50.0%で、チャンピオンズCと同舞台でも逆相関ではない。前哨戦を勝った勢いを大事にしたい。

サンデーファンデーは音無厩舎ラストGⅠの筆頭格。逃げ切りといえば、インティの連勝が記憶に新しい。ミトノオーの存在は気になるが、先手がとれない組み合わせではないだろう。

エンペラーワケアの前走武蔵野Sは【0-0-1-1】。そもそも秋の武蔵野Sから12月のGⅠをスキップし、フェブラリーSまで待つというローテ自体が珍しく、データで判断できない。

昨年の武蔵野Sは前後半800m45.8-50.2の超ハイペースだが、5ハロン目に13.1が入っており、その後も12.9で飛ばし馬以外は案外息が入っていた。

好位から抜け出したエンペラーワケアはハイペース耐性を強調されるだろう。だが、本質は自在に立ち回るスピードタイプで、ゴールまで押し切るしぶとさも兼ね合わせる。サンデーファンデーのマイペースで決して激流ではないかもしれないが、武蔵野Sとのペース差は気にしなくていい。コスタノヴァと一緒に必ず伸びてくる。


過去10年のデータから見るフェブラリーS,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。


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