【京都記念】「5歳以下×GⅠ組」のチェルヴィニアとソールオリエンスが中心 穴候補は「複勝率50%超」データ持つセイウンハーデス

勝木淳

過去10年のデータから見る京都記念,ⒸSPAIA

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チェルヴィニア、ソールオリエンスが参戦

2年前に圧勝したドウデュースは当時、ドバイターフに出走を予定していた。ラヴズオンリーユーやレイデオロなど、ドバイを目指すGⅠ級が京都記念をステップに選ぶのは珍しくない。

冬場の中距離はハンデ戦が多く、別定だとここかAJCCぐらい。直行も選択肢だが、国内で始動戦を終えることで仕上げやすいメリットもある。そして、GⅠ級の登場は競馬ファンにとっても心が躍る。有馬記念から一ヵ月半。そんなに時間は経っていないものの、それでもファンはスターホースに会いたい。春を待ちわびる日々に潤いを与えるのも京都記念だ。

1984年のグレード制導入前まで、春と秋に行われてきた京都記念は今年で118回目を迎える。伝統のGⅡは今も昔も春が近いことを告げ、草木を眠りから覚ます熱い競馬を繰り広げる。

ここからは阪神開催だった2021~23年も含めた過去10年分のデータを使用し、京都記念の傾向を探っていく。

人気別成績,ⒸSPAIA


人気別成績から見ていく。1番人気【3-2-2-3】勝率30.0%、複勝率70.0%に対し、2番人気は【0-1-2-7】複勝率30.0%と物足りず、主役はいいが、対抗格がそろって走らない。とはいえ、3番人気【3-3-1-3】勝率30.0%、複勝率70.0%がそれを補い、上位人気は堅調だ。

6番人気【2-1-2-5】勝率20.0%、複勝率50.0%など中穴までは好走範囲だが、7番人気【0-0-0-10】以下はたまに激走するぐらい。GⅠ級が休み明けで出走し、力差をみせつける。そんなレースだ。

齢別成績,ⒸSPAIA


4歳【4-7-3-18】勝率12.5%、複勝率43.8%、5歳【5-0-3-18】勝率19.2%、複勝率30.8%が好走の大半を占め、主力世代が中心。7歳以上【1-1-3-29】勝率2.9%、複勝率14.7%などベテランの食い込みもないことはないが、ヒモで拾う程度でいい。4、5歳GⅠ級は臆せず素直に重い印を打とう。

激走候補はセイウンハーデス

昨年の牝馬二冠馬チェルヴィニア、2年前の皐月賞馬ソールオリエンスはドバイの登録を済ませており、ここから中東を目指す。ほかはちょっと開きがある印象で、なんだかんだとこの2頭で決まる可能性は高い。その分、どちらかが飛べば、配当は跳ねる。3連系馬券のもうひと枠はひとひねりしたいところだ。

4歳・前走クラス別成績,ⒸSPAIA


まずはチェルヴィニアの4歳世代から見ていく。前走GⅠ組が【3-3-1-6】勝率23.1%、複勝率53.8%と圧倒的。だが、エリザベス女王杯、菊花賞、天皇賞(秋)など11月前半までのGⅠが多く、チェルヴィニアの該当する前走ジャパンCは【0-1-1-2】とサンプルは少ない。着順内訳は2着【0-1-1-0】、5着以下【0-0-0-2】。4着は出走がなく、取捨に悩む。

しかし、3歳秋GⅠからジャパンCという決して楽ではないローテを乗り切り、そこから2カ月半での始動戦は簡単ではない。年内は休養で疲れを抜き、年明けから牧場で乗り込み、1カ月で仕上げるのは想像より忙しい。ドバイを見据え、その途上での出走ではあるが、半端な状態ではアクシデントのリスクも高い。どちらかといえば、詰まったローテであり、実力差で乗り切れるか見極めは必要だろう。

5歳・前走クラス別成績,ⒸSPAIA


ソールオリエンスの5歳世代も前走GⅠ【2-0-2-4】勝率25.0%、複勝率50.0%と強力だが、こちらはジャパンC経由の出走はない。有馬記念経由が多く、休み明けというより、続戦というニュアンスが強い。ここでもジャパンC経由は半端な印象を拭えない。

ちなみに前走有馬記念10着以下の5歳は【2-0-0-0】。GⅠ大敗というのはソールオリエンスとの共通点だが、これも取り扱いは慎重にしたい。

6歳以上・前走重賞 着順別成績,ⒸSPAIA


6歳以上の前走重賞組(JRAのみ)は【1-2-4-42】勝率2.0%、複勝率14.3%。非重賞【0-0-0-8】なので、ベテランは重賞からの転戦組に絞れる。その着順内訳は4、5着【1-2-1-3】勝率14.3%、複勝率57.1%、6着以下【0-0-3-35】複勝率7.9%。強調できるのはチャレンジC5着から臨戦の6歳馬セイウンハーデス。2走前は七夕賞1着で、臨戦過程は順調とはいえないが、頭打ちと決めつけるのは早すぎる。

チャレンジCの上位はラヴェル、ディープモンスター、エアファンディタと差し、追い込みばかりだった。4コーナー先頭から5着なら、むしろ買いだろう。6着マイネルモーントは重賞、オープンで連続2着、8着コガネノソラは小倉牝馬S3着と敗退組が巻き返しており、セイウンハーデスもその流れに乗りそうだ。

今回は先行型がゆったり運べそうな組み合わせであり、チェルヴィニア、ソールオリエンスの状態いかんでは、一発あっていい。

過去10年のデータから見る京都記念,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。

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