【阪神C】血統から距離延長は歓迎 スプリントGⅠ馬ママコチャの反撃に期待
貴シンジ
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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す
今回は12月21日(土)京都競馬場で行われる阪神カップについて、下記3つのファクターを組み合わせるコンプレックスアナライズで分析を行っていく。
・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」
特別登録のあった25頭を検討対象とし、過去10年データを使用する。
重要データ:前走5着以内の馬に注目
阪神カップはその名の通り阪神芝1400mで開催されてきたが、今年は京都芝1400mで開催される。競馬場が異なるため過去の傾向を見るときは注意が必要だ。
今回、重要視したいデータは前走着順だ。本レースはレース全体の単勝回収率が65%、複勝回収率が56%と定量戦のGⅡらしく堅いレース。その中で妙味が出るのはクラスに関わらず前走で結果を出している馬である。
前走5着以内だった馬は【7-4-6-59】単勝回収率108%、複勝回収率65%と好成績。対して6着以下だった馬(前走取り消し含む)は【3-6-4-82】で単勝回収率30%、複勝回収率48%でその差は歴然だ。例え実績馬でも勢いが重要になってくる。
【前走5着以内の出走予定馬】
・ウインマーベル
・オフトレイル
・ダノンマッキンリー
・トゥラヴェスーラ
・ナムラクレア
・ママコチャ
・レッドモンレーヴ
・ロジリオン
前走内容:スプリンターズS
今年のスプリンターズSは極端なトラックバイアスはなく、どんな脚質の馬でも勝負できる馬場状態で行われた。
ペースは前半3F32.1秒、後半3F34.9秒で前傾2.8秒のハイペース。馬群はピューロマジックがかなり飛ばしたことで縦長だった。勝ったルガルは3番手を追走、前半3Fは33秒程度と推測でき、レース自体は極端なハイペースだったが、差し有利だったわけではない。
ルガルとトウシンマカオは好位から完璧な競馬をしていた。3着ナムラクレアはさすがに位置取りが後ろ過ぎて差し届かず。GⅡの流れでもう少し前々で運ぶことができれば更にパフォーマンスは上がるだろう。京都芝1400mは京都牝馬Sで好内容の2着だった舞台で適性は高い。
ママコチャは馬体が絞り切れておらず調整不足が敗因。前走はナムラクレアに負けたが、調整さえ上手くいけば逆転の可能性も十分ある。
血統解説:ママコチャ
・ママコチャ
日本での牝祖は3代母ウェイブウィンドだが、祖母シラユキヒメがその後継として一族の枝を伸ばしている。この一族は日本に入ってくる前は7代母Milongaを根幹として繁栄を見せ、同馬自身はイタリアオークス2着の実績がある一流馬。アメリカで広がったファミリーではあるものの、ダート一辺倒というわけではなくMilongaの良さを継承した芝向きの産駒も輩出している。
日本では18年キーンランドC勝ちのナックビーナスもこのファミリーだ。持続力を生かして競馬をするタイプが多く、成長力を兼ね備えている馬が多いのが特徴。ソダシの全妹ということでデビュー時から注目されている一頭でもある。
父がクロフネで牡馬であればダート特化タイプになっていた可能性が高いが、牝馬に出たことで柔らかさが牡馬よりあり、芝でOPクラスまで上り詰めた。姉同様に高速馬場への適性は高く、体型的にもよく似ている。
本質的なスプリンターというよりは、気性面もあってスプリントを使っているというタイプ。身体つきだけ見ればもう少し距離があったほうが実力は発揮しやすい。そのため距離延長と京都替わりは歓迎。調整が上手くいけば一発あっていい。
Cアナライズはママコチャを推奨
今回のCアナライズではママコチャを推奨する。前走の競馬は完璧な形での4着だったため、今回は人気を落としそうだが主な敗因は調整不足だった。
調整さえ上手くいけば1400mに伸びる今回はチャンスがある。ナムラクレアも有力な一頭で、スプリンターズS組のこの2頭が今回の中心だ。
【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。
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