【阪神JF】ロングラン開催で外からの差しが生きる 末脚鋭いコートアリシアンとカワキタマナレアが有力

SPAIA編集部

2024年阪神ジュベナイルフィリーズのPP指数,ⒸSPAIA

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外差し有利の馬場

今年の阪神ジュベナイルFは京都芝1600mで行われる。同コースは前半2F目過ぎから3角の頂上を目指して坂を上るコース。2歳戦は3角の上り下りの中盤でペースが緩むことが多く、前後半の差が小さい平均ペースになりやすい。

しかし、今回は京都開催20日目のCコース6日目で行われる。今秋の京都芝はAコースから順番に使っており、外差し有利の馬場が予想される。ペースはそこまで上がらないが、外目から差せる馬を中心に予想したい。

能力値1~5位の紹介

2024年阪神ジュベナイルフィリーズのPP指数一覧,ⒸSPAIA



【能力値1位 カワキタマナレア】
新馬戦、シンガポールTC賞と1200mを連勝した馬。2走前のシンガポールTC賞は4番枠から出遅れ、最後方から押して挽回する競馬だった。

道中でも促されていたが、3角でもまだ後方2番手。3~4角で馬群の一番外から進出し、4角出口で中団のかなり外から直線へ。直線序盤でしぶとく伸びて3列目付近まで上がり、ラスト1Fで突き抜けて1馬身3/4差で完勝した。

前走ファンタジーSは5着。レースは大外15番枠から出遅れて、中団の外で我慢。3~4角で後方馬群の外を回り、4角出口で押して肩鞭も入れられたがコーナワークで置かれ、直線序盤で位置が下がってしまった。しかし、そこから盛り返してラスト1Fで4馬身あった前との差を半馬身まで詰めてゴールした。

前走は不良馬場のスローペースで前と内が有利な展開。3~4角でペースが上がってこない中で内を狙ってブレーキをかけ、追い出しが遅れたところがあった。加速力がある馬ならまだしも、本馬のように伸び始めが甘い馬にとっては致命的だったとみている。

仕掛けどころが難しい馬ではあるが、スピードに乗ってからの末脚は確か。芝1200mでは追走に忙しいことから、芝1600mへの距離延長も好ましい。前走の敗戦を糧に鞍上が上手く乗れば本命も考えた。しかし、外差し有利の馬場で8番枠と少し内目に入ったことがやや不安。対抗評価に止めたい。

【能力値2位タイ コートアリシアン】
今夏の新潟2歳Sの2着馬。同レースは6番枠から出遅れ最後方から位置を挽回、好位の中目に突っ込んで大ブレーキ。するとかなり掛かり3角でもブレーキをかけながらトータルクラリティの後ろにつけ、中団で直線へ。

ラスト2Fで外に誘導して伸び始めると、トータルクラリティが内にヨレて後退。そこで先頭に立ったが、ラスト1Fで差し返されて半馬身差で敗れた。

前走はそこまで前半のペースが遅くなかったが、出遅れを挽回したのが完全に裏目に出た。位置を取れないばかりか、気性に火を点け消耗させてしまう形だった。ちぐはぐな騎乗で並みの馬なら大敗パターンも、それでも2着に善戦したあたり大物感を感じる。

本馬は6月の東京芝1600m新馬戦でも、同日の東京芝では古馬を含めて最速タイの上がり3Fを使い5馬身差で圧勝。確かな素質の裏付けもある。

今回は前走から休ませ、成長を促しての一戦。出遅れ癖はあるが、外差し有利の馬場で13番枠なら、そこまで大きな減点材料にはならない。むしろレースがしやすいはず。今回の本命候補だ。

【能力値2位タイ ダンツエラン】
前走ファンタジーSでカワキタマナレア、モズナナスターらを撃破した馬。前走は12番枠からまずまずのスタート。じわっと促すと2列目まで上がったが、そこからコントロールして一列下げた。

3~4角でもペースが上がらなかったが、そこでも動かず。4角出口で外に誘導すると仕掛けて3列目付近で直線へ。直線序盤で一気に3番手まで上がり、ラスト1Fで1馬身差あった先頭のモズナナスターと差をしっかり詰めてハナ差で勝利した。

本馬は2走前のりんどう賞(京都芝1400m)ではスローペースで逃げたが、3~4角で早々と仕掛けたことで3着に失速。ヴーレヴー(ファンタジーS4着)に敗れてしまった。前走はそこを意識して道中で位置を下げ、仕掛けを遅らせたのだろう。

前走は内と前が有利な展開に逆らった騎乗ではあったが、本馬の特徴を考えれば完璧な騎乗だった。ゆえに今回は前走からの大幅な前進を期待するのは難しい。

【能力値2位タイ モズナナスター】
前走ファンタジーSの2着馬。前走は4番枠からまずまずのスタートを切り、二の脚で楽にハナを主張して先頭へ。

そこからペースを落とし、3~4角で仕掛けを待って半馬身のリードで直線へ。直線序盤で外からベルビースタローンに並ばれたが、ラスト1Fで踏ん張り同馬を制したが、外から勝ち馬にハナ差交わされ2着に惜敗した。

前走は不良馬場で前後半3F36秒0-34秒7のかなりのスローペース。2走前にコンクリート馬場のカンナSで前半3F32秒6とテンの速いレースをしていたことで、前走は楽に先頭に立ち展開に恵まれ、自己最高指数を記録した。

芝1200mでは追走にやや忙しさを見せており、1F距離が長くなったことも良かったのだろう。ただ前走は3~4角で脚をタメながらも終いに甘さを見せていただけに、さらなる距離延長は不安がある。評価を下げたい。

【能力値5位タイ ブラウンラチェット】
フォーエバーヤングの半妹。9月中山芝1800mの新馬戦、アルテミスSと王道路線を連勝。アルテミスSは2番枠から五分のスタートを切り、内から二の脚でハナを主張したミストレスを行かせ2列目の最内を進んだ。

道中は少しコントロールされ、3~4角の一気の減速にはブレーキで対応して直線へ。直線序盤で進路がなく仕掛けを待たされたが、残り300mで追われるとすっと2番手に上がった。そしてラスト1Fでそのままグイグイ伸びて1馬身1/4差で完勝した。

前走はかなりのスローペース。3~4角でミストレスが一気にペースを落としたことで包まれ、並みの馬ならスムーズ差を欠くものだったが、本馬は急な減速にも上手く折り合い、直線ですっと加速した。鞍上のC.ルメール騎手が上手かったこともあるが、とてもキャリア2戦目とは思えない大人びた立ち回りで操縦性が高い。

しかし、センスが良いというのは大きな伸びしろが見込めないということでもある。ただ多頭数の京都芝1600mは3~4角の下り坂でゴチャつくことが多いだけに、重い印は打ちたい。

【能力値5位タイ ショウナンザナドゥ】
前走アルテミスSで3着。レースは8番枠から五分のスタートを切って促されたが、あまり進まず中団の外を追走。道中で内に入れようとするができず、中団の外目で3角へ。

3~4角で一気にペースが落ちるとじわっと仕掛け、4角出口で外へ。序盤で追われても伸びは地味だったが、ラスト2Fで4番手に上がり、ラスト1Fでも伸び続け2着ミストレスに迫ったがアタマ差届かなかった。

アルテミスSは超高速馬場のスローペースで前有利な展開。最後まで伸び続けていたが、仕掛けがやや遅く、逃げた2着ミストレスを捉えることができなかった。

本馬は長くいい脚を使えることが強みで、おそらくベストは中距離。ただ時計の掛かる京都芝で上がりの掛かる展開ならチャンスはある。人気ほどの信頼はできないが、買い目には必ず加えたい一頭だ。

【能力値5位タイ リリーフィールド】
函館ダ1000mの新馬戦を圧勝した馬。レースは7番枠から五分のスタートもダッシュがついて逃げることに成功。3~4角で後続との差を広げ、1馬身差のリードで直線へ。直線序盤では2馬身程度のリードだったが、ラスト1Fでグングン後続を引き離し、2着に6馬身差、3着馬に11馬身差をつけて圧勝した。

新馬戦の走破タイムは59秒0。これは同日の古馬1勝クラスの勝ちタイムと同じ。当然、指数も1クラス上のレベルというかなり優秀なもので高い素質をみせた。

3走前の函館2歳Sは初芝の一戦らしく、3番枠から出遅れ。やや掛かった程度だったが、後方の中目でコントロールに苦労し、3角で挟まれてさらに位置が下がってしまった。

最後の直線で外に進路を取ってからはいい脚で伸びたが、鞍上がコントロールし切れず、レースの流れに乗れなかったのが主な敗因だった。

しかし、前走もみじ賞は巻き返しV。当レースは4番枠から五分のスタートを切り、押して3番手を追走。3~4角の外からすっと進出して先頭に並びかけ、直線序盤で先頭。ラスト1Fで抜け出し3馬身半差で完勝した。

前走はそれまでから一転、ややハイペースを先行策から押し切っての勝利。今回のメンバーで勝ちに行った場合はさすがに苦しそうだが、陣営は「上手くタメを利かせたい」とコメントしている。

新馬戦では後半型の競馬で圧勝しているだけに、外差し有利の馬場で末脚を生かす形なら、一発がある。今回の穴馬候補だ。

【能力値5位タイ テリオスララ】
札幌芝1800mの新馬戦は、かなりのスローペースからキングスコールに伸び負けして3馬身差の2着に敗れた。以降は逃げて持久力を生かすことで札幌芝1800mの未勝利戦、京都の萩Sを連勝した。

前走の萩Sは5番枠から好スタートを決め、二の脚で楽にハナを主張して内に切れ込み主導権を握った。道中もスローで支配して団子気味で3角へ。3~4角で楽な手応えでじわっと加速、4角でも持ったままで3/4差のリードで直線へ。

直線序盤で追われると2番手のディアナザールに対してリードは作れなかったが、3番手以下は突き放した。そしてラスト1Fで同馬を突き放して1馬身3/4差で完勝した。

ディアナザールは次走でベゴニア賞を完勝。そのことからもこのレースはハイレベルで、アルテミスSと同等の指数を記録している。

ただ前走は同型不在の小頭数で楽に逃げられたことが勝因。また今回は距離短縮で逃げるのは難しいだろう。2番枠も減点材料で評価を下げたい。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)カワキタマナレアの前走指数「-10」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.0秒速い
●指数欄の下線、茶色はダート
●能力値 =(前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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