“モーリス産駒の古馬”は単回収率300%超え 東大HCが中山芝2200mをデータで考察
東大ホースメンクラブ
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コース紹介
今週、来週と中山芝2200mを舞台に、GⅡセントライト記念とオールカマーが行われる。セントライト記念では皐月賞2着コスモキュランダ、同4着アーバンシックなど、菊花賞への切符をかけて世代の精鋭たちが集結した。
中山芝2200mが舞台となる重賞はほかに、AJCCがある。今回は同コースの特徴をさまざまなデータで分析していく(使用するデータは2019年9月16日~2024年4月14日の過去5年分)。
最初にコースを紹介する。芝2000mと同様にスタンド正面からのスタートとなる。2コーナーから外回りコースを使用し、200mほどの短い向正面を抜けると緩やかな3コーナーまで下りが続く。4コーナーにかけてはさらに下りが続いてペースアップしやすい。ラストは310mの直線で、ゴール前に待ち受ける急坂での我慢比べとなる。
重賞、非重賞で傾向差あり
<中山芝2200m 過去5年の枠別成績>
1枠【14-13-9-86】勝率11.5%/連対率22.1%/複勝率29.5%/単回収率88%/複回収率75%
2枠【9-9-11-103】勝率6.8%/連対率13.6%/複勝率22.0%/単回収率77%/複回収率61%
3枠【7-7-11-113】勝率5.1%/連対率10.1%/複勝率18.1%/単回収率22%/複回収率46%
4枠【10-14-10-111】勝率6.9%/連対率16.6%/複勝率23.4%/単回収率37%/複回収率45%
5枠【11-5-9-128】勝率7.2%/連対率10.5%/複勝率16.3%/単回収率36%/複回収率52%
6枠【8-11-11-131】勝率5.0%/連対率11.8%/複勝率18.6%/単回収率37%/複回収率45%
7枠【13-12-14-137】勝率7.4%/連対率14.2%/複勝率22.2%/単回収率95%/複回収率81%
8枠【15-16-13-143】勝率8.0%/連対率16.6%/複勝率23.5%/単回収率72%/複回収率86%
枠別成績から見ていく。
1枠は勝率、連対率、複勝率の全てで頭一つ抜けている。詳しく見ると逃げ【2-0-1-8】勝率18.2%、単回収率126%、先行【6-6-3-7】勝率27.3%、単回収率184%で、前目で競馬をする馬たちが好調。予想の際は1枠の先行馬の評価を上げたい。
注意したいのは、次に成績が良いのは外枠の7、8枠であること。馬群に包まれるリスクが小さい分、中枠よりも好走率が高くなるということだろうか。
7、8枠かつ先行馬は【15-14-12-70】勝率13.5%、単回収率111%、マクリも【2-1-2-4】勝率22.2%、単回収率441%とプラス域だ。「小回り=内枠有利」のイメージに引っ張られて、外枠の評価を落としすぎないよう注意したい。
ただし、重賞に限ると少し話が変わってくる。過去10年の枠別成績を見ると1〜4枠【15-14-15-122】勝率9.0%、複勝率26.5%、単回収率91%なのに対して、5〜8枠【13-14-13-183】勝率5.8%、複勝率17.9%、単回収率50%。過去5年の全体成績よりも内枠有利となっている。
条件戦に比べて厳しいラップが刻まれることが多い重賞では、外々を回るロスがラストに響いてくるのだろう。回収率も2枠【4-2-6-29】単回収率182%をはじめ内枠が良好。重賞の場合は内枠重視だ。
<中山芝2200m 過去5年の脚質別成績>
逃げ【15-7-9-66】勝率15.5%/連対率22.7%/複勝率32.0%/単回収率74%/複回収率71%
先行【43-44-34-175】勝率14.5%/連対率29.4%/複勝率40.9%/単回収率103%/複回収率109%
差し【22-32-30-398】勝率4.6%/連対率11.2%/複勝率17.4%/単回収率47%/複回収率58%
追込【4-1-8-304】勝率1.3%/連対率1.6%/複勝率4.1%/単回収率20%/複回収率12%
マクリ【3-3-7-9】勝率13.6%/連対率27.3%/複勝率59.1%/単回収率201%/複回収率213%
脚質別成績では小回りコースらしく、逃げ、先行、マクリが有利。逃げと先行を比較すると、後者が好成績であるのも特徴だ。
勝率こそ逃げ馬がわずかに上回っているが、先行馬の複勝率は40%オーバー。回収率も単複ともにプラス域となっている。
ペースアップしやすい3~4角から直線の急坂という、タフかつ後ろが届きにくいコース形態が数字に表れている。
過去10年の重賞成績でも見てみる。逃げ【3-2-1-24】は複勝率20.0%まで成績を落としているが、先行は複勝率35.7%と重賞でも好成績だ。
その他、差しが【7-11-16-118】複勝率22.4%と良好で、マクリが【1-1-2-1】複勝率80.0%と抜群である点も覚えておきたい。
モーリス産駒は古馬になってからが狙い目
<中山芝2200m 過去5年の種牡馬別成績>
ルーラーシップ【6-8-4-46】勝率9.4%/連対率21.9%/複勝率28.1%/単回収率70%/複回収率69%
モーリス【6-3-4-30】勝率14.0%/連対率20.9%/複勝率30.2%/単回収率132%/複回収率89%
ゴールドシップ【4-15-6-65】勝率4.4%/連対率21.1%/複勝率27.8%/単回収率69%/複回収率111%
次に種牡馬別成績について見ていく。
まずはルーラーシップ。産駒ではリオンリオンが2019年セントライト記念を勝利している。性別成績では牡馬【3-5-2-27】勝率8.1%、単回収率28%に対して、牝馬【3-2-2-12】勝率15.8%、単回収率180%と、牝馬の方が好成績。また、1勝クラスに強く、【3-3-1-8】勝率20.0%、単回収率は228%と妙味も十分だ。
続いてはモーリス。ジェラルディーナ(2022年オールカマー)やノースブリッジ(2023年AJCC)で重賞2勝を挙げている。単回収率は132%と、ベタ買いするだけでプラスだ。
晩成傾向が特徴で、3歳【1-3-3-19】でわずか1勝、単回収率6%に対して、4歳以上【5-0-1-11】勝率29.4%、単回収率326%。父と同様、古馬になって真価を発揮する産駒が多い。
ゴールドシップは1着4回に対して2着15回と、勝ちきれないが連対圏は確保する。複回収率は111%とプラス域で、2、3着付けの馬券で面白い。
前走6〜9着の馬でも【1-7-1-22】複勝率は27.8%もあり、複回収率220%と妙味もある。該当馬がいれば紐に入れておいて損はない。
ほかでは、スワーヴリチャード産駒は【1-0-0-1】、キズナ産駒は【1-2-3-25】、ブリックスアンドモルタル産駒は【1-0-2-6】となっている。
<中山芝2200m 過去5年の騎手別成績>
横山武史【9-7-4-33】勝率17.0%/連対率30.2%/複勝率37.7%/単回収率88%/複回収率73%
田辺裕信【7-6-4-28】勝率15.6%/連対率28.9%/複勝率37.8%/単回収率268%/複回収率104%
戸崎圭太【6-8-5-24】勝率14.0%/連対率32.6%/複勝率44.2%/単回収率94%/複回収率86%
最後に騎手別成績についてだ。
横山武史騎手は期間内最多の9勝を挙げている。重賞では【2-1-1-4】と半数が馬券圏内で単回収率302%、複回収率156%と素晴らしい成績。得意コースと言っていい。
狙い目は内枠に入った時で、1〜2枠では【6-3-0-5】勝率42.9%、単回収率279%と抜群だ。
続くのが田辺裕信騎手。このコースで7勝を挙げて単勝回収率は200%を超えている。基本的に前有利のコースだが、差しでも【2-3-1-9】複勝率40.0%、複回収率102%と結果を残しているのが特徴だ。
末脚を伸ばすことに長けているからか、前走で上がり3F1位の馬では【2-1-0-3】単回収率160%となっている点も覚えておきたい。
6勝を挙げる戸崎圭太騎手は重賞で【1-2-2-6】と勝ちきれないが、複回収率は115%と高水準。2、3着付けで狙うのが良さそうだ。
また、前走2着の馬では【3-1-1-1】で単回収率は218%。実力馬を順当に勝ち上がらせている。
ほか、M.デムーロ騎手は【4-4-7-20】単回収率167%、C.ルメール騎手は【6-5-5-19】同71%となっている。前者は6〜8枠で【3-3-2-4】同375%。外枠で注目だ。
《ライタープロフィール》
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約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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