【ローズS】レガレイラ、クイーンズウォークは無印 データで浮上したオークス大敗馬を中心視
門田光生
ⒸSPAIA
少数精鋭の美浦所属馬
2024年9月15日、今年は中京競馬場で行われる第42回ローズS(秋華賞トライアル)。2014~23年の秋華賞勝ち馬は、同じトライアルである紫苑S組4頭に対して、ローズS組は1頭だけ。ちなみに、2004~2013年だと、ローズS組8頭、紫苑Sは0頭(出走した34頭がすべて着外!)。ここ10年ですっかり立場が入れ替わってしまった。
しかし、ローズS組が全く結果を出せていないわけでなく、本番に向けて注目のレースであることは変わりない。そんな当レースにはどんな傾向があるのか。今回も過去10年の成績を基にして調べていきたい。
☆所属
ローズSは3歳牝馬限定戦なので性別と年齢のデータは使えない。まずは所属を調べてみる。9勝、2着8回の栗東組が圧倒しているように見えるが、栗東組の連対率12.0%に対して、美浦組は17.6%。関東馬は少数精鋭といえる。
☆キャリア
勝利数や連対数などで「5戦」が断然トップ。6、7戦は勝率が3%台と低く、8戦以上は勝ち馬がいなくなる(9戦以上は2着馬が3頭出ている)。
扱いが難しいのは2戦。2022年のサリエラだけが該当して2着と好走。今年は2戦2勝のオーロラエックスが登録している。
☆前走クラスと主な前走
勝ち馬の半数以上にあたる6頭が、前走でGⅠを走っていた。
前走GⅠ組は11頭が馬券に絡んでいて、すべて優駿牝馬(オークス)組。残る勝ち馬4頭は、前走が1勝クラス(500万下を含む)。極端ではあるが、勝ち馬が出ているのはこの2パターンしかない。
なお、1勝クラスを経てローズSを制した4頭は、いずれも勝っての参戦だった。2着馬4頭も、3頭が1着、残る1頭は2着。連対が最低条件だが、できれば勝っていることが望ましい。
☆美浦所属馬
所属別成績では、美浦所属馬の方が好走率は高い。では、具体的にどのようなデータを満たしている美浦所属馬が活躍しているのかを調べた。
条件は「前走1着」と「前走1、2番人気」。美浦所属馬で連対した3頭は、いずれも「前走1着かつ前走2番人気以内」だった。
☆前走人気
前走が10番人気以下だった馬は【0-0-0-20】ですべて連対どころか馬券内にも入っていない。
続いて前走馬体重。大型馬は苦戦の傾向で、前走馬体重が480kg以上だった馬は【0-0-1-20】で1頭も連対馬が出ていない。
カギは前走馬体重
ローズSのデータをまとめてみよう。
【好走率アップ】
A「美浦所属馬で、前走1着かつ前走2番人気以内」
B「キャリア5戦」
C「前走が1勝クラス勝ちかオークス出走馬」
【勝率ダウン】
D「キャリア6、7戦」
【連対馬なし】
E「キャリア8戦」
F「前走10番人気以下」
G「前走馬体重が480kg以上」
今回、3つのプラスデータすべてを満たしているのはカニキュルだけ。特に「美浦所属馬で、前走1着かつ前走2番人気以内」という難しい条件を満たしており、重視したいところだ。
問題は、1頭も連対馬が出ていないG「前走馬体重が480kg以上」にも該当すること。サンプル数が20頭以上とそれなりに信頼できるデータであることから、ノーマークにせざるを得ない。
ちなみに、この「G」はプラスデータを2つもつクイーンズウォーク、フレミングフープ、そしてキャリア2戦のオーロラエックスも該当する。
また、美浦所属馬のレガレイラ(前走5着)は、A「美浦所属馬で、前走1着かつ前走2番人気以内」を満たしていない。このパターン以外の美浦所属馬が連対した例はないので、これも消えてしまう。
有力馬がごそっといなくなってしまった。残った馬でプラスデータを2つ持っているのは、タガノエルピーダだけだ。
オークスで大敗しているのは気になるが、2018年1着カンタービレ(オークス13着)や、2019年2着ビーチサンバ(同15着)など大敗から巻き返した例はある。そこまで気にしなくていいだろう。
また、タガノエルピーダは2走前に忘れな草賞を走っているが、ローズSは2走前に忘れな草賞を走っている馬が連勝(アートハウス、マスクトディーヴァ)、かつ3年連続で連対中。2年前の勝ち馬アートハウスは、忘れな草賞1着→オークス7着というローテーションで、タガノエルピーダはそのパターンに似ているのも心強い。
プラスデータが1つのパレハは前走1勝クラスで4着。前走着順の観点からノーマークとする。
これに続くのは、プラスデータもマイナスデータも持たない馬となる。ザブライドとレディーヴァリューがそれで、ともに未勝利勝ちからの参戦だ。
未勝利組は5頭とサンプルが少なく参考程度になるが、【0-1-0-4】と、一応連対馬を出している(2014年2着馬タガノエトワール)。
ザブライドとレディーヴァリューの違いは、前走で走った場所と距離。場所(新潟と中京)はどちらが有利といいづらいが、距離は前走1800m【1-2-3-39】連対率6.7%より、前走2000m【2-5-2-28】同18.9%の方がいい。
よって、レディーヴァリューを対抗、ザブライドを3番手とする。押さえはハワイアンティアレとラビットアイ。この2頭は勝率が低い「キャリア6戦」だが、連対率は10%ほどあるので押さえなら問題ないだろう。C「前走が1勝クラス勝ち」のプラスデータを持つハワイアンティアレが4番手、ラビットアイが5番手とする。
◎タガノエルピーダ
◯レディーヴァリュー
▲ザブライド
△ハワイアンティアレ
×ラビットアイ
《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
夏競馬が終わって3歳のトライアルが始まり、月末にはGⅠスプリンターズSが行われます。こうなると年末まであっという間。中央、地方とイベントも盛りだくさんですが、乗り遅れないように、食らいついていきたいですね。
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