【小倉記念】内前を立ち回れる先行馬が中心 京大競馬研の本命はシリウスコルト
京都大学競馬研究会
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ペースが落ち着きやすいコース形態
8月11日(日)に小倉記念(GⅢ)が行われる。今年は阪神競馬場の改修工事の影響で関西圏が変則開催。小倉記念が中京の開幕週で施行されるという少々ややこしいことになった。施行条件にはくれぐれもご注意いただきたい。メンバー的には例年通りこのレースから始動して秋の大舞台に羽ばたこうとする馬が多く集まり、ハンデ差含めて横の比較がかなり難しい大混戦模様だ。
以下では、本レースが行われる中京芝2000mのコース形態とそれに起因するレース質、そして想定される展開を踏まえ予想する。
まず中京芝2000mのコース形態をみる。スタート地点はスタンド前中央から左側の上り坂途中。初角までの距離は約310m。そこからコースを一周する。1~2コーナーは緩やかな上りで向正面半ばまで坂が続き、その後3~4コーナーから最後の直線途中までは下り坂。4コーナーはスパイラルカーブとなっている。最後の直線は412.5m。ゴール手前340m地点から240m地点にかけては、中山競馬場芝コースに次ぐ傾斜で高低差2.0mの急な上り坂。ラスト240mはほぼ平坦というレイアウトだ。
まず注目すべきは発走地点が上り坂になっている点と、初角までの距離がそこまで長くない点だ。スタート直後から上り坂でテンのダッシュが付きにくいことに加えて、初角までの距離が長くないため、登り切った後の先手争いも長引きにくい。またその後も向正面半ばまで緩やかな上り坂のため前半のペースは落ち着きやすい。
しかし向正面半ばで緩やかな上り坂を登りきるとそこからは最後の直線まで下り坂になり、前半のスローペースで脚を溜めた先行勢が一気に加速していく。直線に入るまでに後方勢が先行勢とのポジション差を埋めにくい。加えて4コーナーはスパイラルカーブとなっていて、スピードをつけて回ると外に振られやすくなっている。膨れた先行勢のさらに外々を回す後方勢はまず1着まで届かない。最後の直線も半ばで急な上り坂があり、それを登り切った後も平坦な直線が続くタフなコース形態で、全馬終盤の脚色は鈍り、上がりに差が生まれにくい。したがって序盤、中盤で前に位置を取り、出来るだけラチ沿いを走ることができる器用な先行馬が恵まれやすい。というのがこのコースが持つレース質だ。
この傾向は数字からも明らかだ。過去10年、中京芝2000m3勝クラス以上のレースにおける4角4番手以内馬の成績は【34-33-27-187】勝率12.1%、連対率23.8%、複勝率33.5%、単勝回収率199%、複勝回収率125%と非常に優秀だ。今回は開幕週でもあり、この傾向を強めることになる。
続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が5頭と、出走馬全12頭に対して多い。しかし徹底して先行する馬はテーオーシリウスのみ。他は熾烈な先手争いをするような馬ではなく、場合によっては控えて中団を追走するタイプである。スタート後からテーオーシリウスに積極的に競っていける馬はいない。そのため序盤、中盤はテーオーシリウスの楽逃げで、その他先行勢はこれよりやや後ろを追走する形になるだろう。楽逃げとはいえテーオーシリウスはそこまでペースを緩めるタイプではなく、馬群はある程度縦長の状態で進行していく可能性が高い。
この場合もコースが持つレース質通り、やはり恵まれるのは序盤、中盤で前に位置を取り、ラチ沿いを走ることができる器用な先行馬だ。出走馬同士の並びと先行力を見極めて印を打っていく。
内前を立ち回れる器用な先行馬
◎シリウスコルト
前走ラジオNIKKEI賞は内差し有利な展開が向いたとはいえ、最内枠から先行してラチ沿いを縫う形で位置を押し上げ、スムーズな追い出しから上がり2位の脚を使ってタイム差なしの2着。内を上手に立ち回れる器用さと安定した先行力という本馬の良さが光る好内容だった。
2走前の皐月賞は超ハイペースを2番手で追走したもので度外視可能。3走前の弥生賞は後の皐月賞2着コスモキュランダ、日本ダービー3着シンエンペラーに次いで僅差の3着に好走。4走前のホープフルSは出走馬が次走以降の世代限定戦で活躍する超ハイレベル戦を僅差の6着。3歳世代の中でもトップクラスの実力を持つことは証明済みだ。鞍上も実績十分な西村淳也騎手、斤量もキャリア最軽量の54kgとまだまだ上積みが期待できる。序盤から積極的に位置を取り、内で器用に立ち回って実力を発揮すれば勝ち負け必至と見る。
◯レッドランメルト
前走七夕賞は前半1000m通過57.3秒という超ハイペースを4番手から積極的に先行し、差し有利な展開の中0.6秒差6着と高く評価できる内容だった。展開有利で後方から差してきた同タイムのリフレーミングが今回上位人気に推されるなら、こちらに高いオッズ妙味を感じる。前走のスタートはそれまでと一変、かつての先行力が戻ったかのような競馬に対する積極性が垣間見えた。この先行力を積極的に押して呼び覚ました吉田豊騎手の継続騎乗も展開が向く今回は最上だ。
▲コスタボニータ
中団好位から安定した末脚を使えるのが強み。マーメイドSは珍しく出遅れてしまい、最後方から本馬の良さを全く生かすことができずの敗戦で度外視可能だ。2走前の福島牝馬Sは前残りの展開を終始内でロスなく立ち回り展開に恵まれたとはいえ、直線は前が壁で追い出しが遅れる場面もあり、着差以上に評価できる内容だった。重賞成績からも今回のメンバーでは実績上位。また先行力があり器用に内を立ち回れる展開も向く。鞍上も先行意識の高い坂井瑠星騎手でピッタリ。持ち味が生かせなかった前走の大敗でオッズ妙味が見込まれるここは3番手評価とする。
△ディープモンスター
前走鳴尾記念は1000m通過58.7秒というハイペースを3番手から積極的に先行し、ヨーホーレイク、ボッケリーニという重賞上位クラスの馬相手に僅差の5着。着順以上に高く評価できる内容だった。先行力と堅実な末脚を使えるのが強みで今回の展開は合う。しかしキャリア最重量の斤量58.5kgを背負うことを加味して4番手評価とする。
×リフレーミング
内前有利の展開が想定され、二桁番手から追走する本馬に展開が向かない可能性は高い。ただ近走の相手関係を考慮すると、新潟大賞典の内容だけ走れば後方からでも馬券内に差し届く可能性はある。
×テーオーシリウス
逃げて刻むペース次第で残る可能性もあり、ヒモで押さえておく。
買い目は◎単勝1点、◎-◯▲△×馬連5点、◎-◯▲△-◯▲△×3連複9点で勝負する。(花田)
▽小倉記念予想▽
◎シリウスコルト
◯レッドランメルト
▲コスタボニータ
△ディープモンスター
×リフレーミング
×テーオーシリウス
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。
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