【小倉記念】機動力や馬力型のディープインパクト系が狙い目 開幕週・中京芝2000m重賞の傾向を紹介

坂上明大

2024年小倉記念の注目血統,ⒸSPAIA

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傾向解説

小倉競馬場から中京競馬場に舞台を移して開催される2024年小倉記念。距離は同じ芝2000mですが、左回り、直線距離412.5mと、小倉競馬場とは大きく異なるコースであるため、求められる適性にも違いが出てきそうです。本記事では血統面を中心に、中京芝2000mの特徴を整理していきます。

過去10年で開幕週に行われた中京芝2000m重賞は計15回。そこで目立つのは内前有利の傾向です。中京競馬場の開幕週は内有利のトラックバイアスが発生しやすく、また芝2000mコースは初角までの距離が短いためペースが落ち着きやすいのも大きな特徴。そのため、直線距離は長いものの内前の経済コースで運んだ馬は止まりづらく、今年の小倉記念でも注目したいポイントです。

中京芝2000m重賞の枠番別成績,ⒸSPAIA

中京芝2000m重賞の前走初角番手別成績,ⒸSPAIA


<中京芝2000m重賞の枠番別成績(過去10年、開幕週)>
1枠【2-2-2-15】勝率9.5%/連対率19.0%/複勝率28.6%/単回収率54%/複回収率60%
2枠【2-0-2-18】勝率9.1%/連対率9.1%/複勝率18.2%/単回収率116%/複回収率72%
3枠【3-3-1-15】勝率13.6%/連対率27.3%/複勝率31.8%/単回収率50%/複回収率75%
4枠【1-2-4-19】勝率3.8%/連対率11.5%/複勝率26.9%/単回収率10%/複回収率116%
5枠【2-1-4-21】勝率7.1%/連対率10.7%/複勝率25.0%/単回収率853%/複回収率122%
6枠【1-1-1-25】勝率3.6%/連対率7.1%/複勝率10.7%/単回収率17%/複回収率18%
7枠【1-5-1-26】勝率3.0%/連対率18.2%/複勝率21.2%/単回収率27%/複回収率80%
8枠【3-1-1-30】勝率8.6%/連対率11.4%/複勝率14.3%/単回収率40%/複回収率42%

<中京芝2000m重賞の前走初角番手別成績(過去10年、開幕週)>
~5番手【7-8-6-59】勝率8.8%/連対率18.8%/複勝率26.3%/単回収率325%/複回収率101%
6番手~【7-4-9-108】勝率5.5%/連対率8.6%/複勝率15.6%/単回収率43%/複回収率49%

血統面ではディープインパクト系を筆頭に日本の主流系統が中心。直線の長い芝中距離戦という日本の主流条件のため、この血統傾向は特殊な馬場状態にならない限り今後も変わることはないでしょう。

ただし、主流系統の中でも機動力や馬力に寄った配合馬に、より適性が向くという点も抑えておきたいポイントです。その代表がRoberto。Robertoの血を母方に持つ主流系統馬の好走例は非常に多く、今年の金鯱賞でもプログノーシスが連覇を果たしました。他場の直線の長い芝中距離戦よりもこれら適性が求められるのが中京競馬場の特徴でもあるため、Robertoなどの欧州的スパイスが穴馬の隠し味となっています。

中京芝2000m重賞 ディープインパクト系,ⒸSPAIA


<中京芝2000m重賞 ディープインパクト系(過去10年、開幕週)>
ディープインパクト系【7-5-6-34】勝率13.5%/連対率23.1%/複勝率34.6%/単回収率487%/複回収率113%
→Roberto内包馬【4-1-1-6】勝率33.3%/連対率41.7%/複勝率50.0%/単回収率1966%/複回収率237%


有力馬の血統解説

ディープモンスター
母シスタリーラヴはAW8.5F戦の加GⅢなどを制したカナダ古牝馬チャンピオンで、Traffic Judgeの5×5を中心としたパワーやスタミナが持ち味。本馬の全兄ダノンアレーはJRAダート路線で3勝を挙げています。比較的小柄な本馬は父ディープインパクトの良さが前面に出ていますが、父の産駒の中ではスタミナタイプに寄っており、中京芝2000m適性も高そう。ただ、斤量58.5kgのトップハンデを背負う不利を考えると、内前有利のトラックバイアスには乗りたいところです。

シリウスコルト
芝1200mの新馬戦を勝利して、今年の皐月賞でも2番手で運べるほどスピード能力に優れた馬。北米血脈主体の血統構成で、スピードで押し切るワンペースな競馬がベストでしょう。トラックバイアスは向きそうですが、血統面はもっと重厚さがほしいところ。馬場と展開をどれだけ味方につけられるかが鍵となりそうです。

ヴェローナシチー
父エピファネイアはサンデーサイレンス系ではないものの、桜花賞馬ステレンボッシュやダービー馬ダノンデサイルなど上半期にGⅠ馬を4頭出した日本のトップサイアーの一頭。さらに本馬はRobertoの4×7を持ち、中京芝2000mの舞台はピッタリの配合形です。今回は長期休養明けを叩いた復帰2戦目。京都新聞杯2着の重賞実績馬だけに、斤量54kgでの一変も考えられます。

2024年小倉記念の有力馬と評価,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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