【マーメイドS】コースデータから逃げ先行馬を重視 京大競馬研の本命はベリーヴィーナス

京都大学競馬研究会

京都芝2000mの3勝クラス以上に関する成績

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コースデータから先行勢が中心に

6月16日(日)にマーメイドS(GⅢ)が行われる。今年は阪神競馬場の改修工事に伴い京都競馬場での異例の開催となった。例年荒れやすい印象のレースだが、今年の出走馬を見ても大きく能力が突出した馬はいない。展開、馬場で着順が大きく入れ替わる、どの馬が勝ってもおかしくない大混戦模様の非常に難解な一戦となりそうだ。

以下、本レースが行われる京都芝2000mのコース形態とそれに起因するレース質、そして想定される展開を踏まえ予想する。

まずは京都芝2000mのコース形態を見る。正面スタンド前の直線からスタートし、初角までの距離は約300m。平坦な1~2コーナーを回り、約400mの向正面には高低差3.1mの上り坂が設けられている。その後は内回りコースを使用し、3コーナーを頂点として一気に下る。最後は主場4場の中で中山競馬場に次いで短い平坦な直線(Dコース使用時323.4m)が待ち構えている。

まず注目すべきは初角までの距離が約300mと短い点で、先手争いは内有利になる。先手争いは長続きしにくく、最も速くなる2F目にはコーナーがあるためペースは上がりにくい。向正面の上り坂で息が入り、3コーナーからの下り坂で先行勢が加速していく。直線に入るまでに後方勢が先行勢とのポジション差を埋めにくいことに加え、小回り、短く平坦な最終直線も相まって、そのまま先行勢が残しやすい。これがこのコースの特徴だ。

京都芝2000m、1~4枠、4角4番手以内馬の成績


この傾向は数字からも明らかだ。過去10年の京都芝2000m、3勝クラス以上のレースにおいて後ろより前、特に内枠が有利の傾向。具体的には「1~4枠かつ4角4番手以内の馬」が【16-8-14-71】勝率14.7%、連対率22.0%、複勝率34.9%、単勝回収率131%、複勝回収率112%となっている。またコースが持つ質として、前目で立ち回った馬でも終盤で脚が溜まっていることが多い。序盤から位置を取れる馬の中でも、より高い瞬発力を発揮できる馬を中心に印を打っていきたい。

続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が3頭。出走馬全16頭に対して少ない。前述のコース形態と相まって序盤のペースはかなり落ち着くことが想定される。展開が逃げ、先行する馬たちに味方する形になるだろう。先週までの京都芝は直線の長い外回りで特に外差しが届いていたが、今週からDコース替わりになる。世間に「外差し有利」のイメージが浸透し始めている今こそ、内前で立ち回れる馬をオッズ妙味の観点から重視する。

斤量差を生かした逃亡劇に期待

◎ベリーヴィーナス
今回ハナを主張できる一頭。前々走2勝クラス四国新聞杯はスタートから出ムチを入れて反応よくハナを切り、マイペースで逃げて上がり最速タイで押し切る競馬。このレースの2、4着が次走2勝クラスを突破し本馬も次走3勝クラスを一発回答するハイレベル戦で、展開に恵まれたとはいえ高い能力を示した。前走3勝クラス下鴨Sは前半1000mで大逃げの形になり、後続の強襲を凌ぎきる強い競馬をした。ラスト4Fも11.9-11.6-11.6-12.1とかなりの持続力を見せていた。

今回は前走と同じコースで、アリスヴェリテとともにかなり楽に先行できることが想定される。3キロの斤量減と藤懸貴志騎手の継続騎乗も良い。

◯アリスヴェリテ
こちらも同様にハナを主張できる一頭。前々走2勝クラス四国新聞杯は勝ち馬ベリーヴィーナスと比べてやや出負けしたものの、内2番手を追走し、上がり最速タイの脚を使って0.3秒差の2着。勝ち馬とは位置の差だけで評価を下げる内容ではなかった。それを示すように、前走2勝クラスでは前半1000m56.8秒という超ハイペースで逃げて、後続の追い上げを凌ぐ強い競馬で勝ち上がった。今回はキャリア最軽量の50キロで前走から3キロの斤量減。四国新聞杯ではベリーヴィーナスと斤量差なしだったことを考えれば逆転可能と言える。

徹底的に先行する馬はこの本命対抗2頭のみ。追走力のない馬が多いメンバー構成のため、前走同コースでハイペース逃げを打った2頭は後続を引き離して楽に先行できる。このコースが持つレース質、馬場、斤量差を最大限に生かせれば簡単には止まらず残し切れる。

▲コスタボニータ
前走福島牝馬Sは1~3着を4角4番手以内の馬が占める前残りの展開。終始内でロスなく立ち回り展開に恵まれた。しかし直線は前が壁となって追い出しが遅れるロスがありながら残り100mで一気に加速しており、着差以上に評価できる内容だった。小回りを上手く立ち回れる器用な馬で、中団好位から堅実な末脚を使えるのが最大の強み。上位人気馬の中では内前でロスなく立ち回れる本馬が最も展開に恵まれると考え3番手評価とする。

△ゴールドエクリプス
3走前エリザベス女王杯での大敗はレースレベルが高すぎたため度外視可能。2走前の小倉大賞典は掲示板に入った5頭のうち4頭が4角4番手以内という前残りの決着を、後方から運んで12着。評価を下げる内容ではない。前走阪神牝馬Sも超差し有利な展開の中2番手で先行して8着。阪神牝馬Sは出走馬の次走を見るにかなりのハイレベル戦だったが、展開向かないながら健闘した本馬は評価できる。前走同様、前目から立ち回れば好走できる。

×エーデルブルーメ
阪神芝2000mにおいて1:59.0以内かつラスト1F11.5以内のレースラップで勝った馬はプログノーシス、オルフェーヴルと本馬の3頭のみ。間違いなく高い能力を持つ。

×ミッキーゴージャス
人気の一角で近走の内容を見ても能力は高い。ただ、内前有利が想定される今回、後方策を得意とする本馬には展開が向かない可能性があると見て相手までとする。

×タガノパッション
ミッキーゴージャス同様、こちらも高い能力を持つが展開が向かない可能性がある。

買い目は◎◯単勝2点、◎◯-◎◯▲△ワイド5点、◎◯-◎◯▲△×馬連11点、◎◯-◎◯▲△×-◎◯▲△×3連複25点で勝負する。(花田)

▽マーメイドS予想印▽
◎ベリーヴィーナス
◯アリスヴェリテ
▲コスタボニータ
△ゴールドエクリプス
×エーデルブルーメ
×ミッキーゴージャス
×タガノパッション

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。



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