【安田記念】6年連続で前走ヴィクトリアマイル組が連対 フィアスプライドに好機到来

門田光生

安田記念の所属別成績(過去15年),ⒸSPAIA<

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牝馬に注目

2024年6月2日に東京競馬場で行われる第74回安田記念。4月末から続いたGⅠシリーズここで一段落する。

荒れるイメージが強いこのレースだが、過去10年の平均配当は、単勝1648円、3連単は12万円を超えている。特に3連単は万馬券以外出ていない。ここまでのGⅠで収支がマイナスの人は一発逆転を、またプラスの人はさらなる上乗せを狙えるレースといえるだろう。

安田記念にはどんな傾向があるのか。今回も過去15年の傾向をもとにして検証していきたい。

所属
美浦所属馬が9勝(17連対)、栗東所属馬が6勝(13連対)。今年行われてきたGⅠの中で、美浦所属馬が1着数と連対数で上回るのはこの安田記念だけ。勝率、連対率、複勝率も大きく上回っており、ここは文句なしに「美浦所属馬有利だ!」と叫びたい。

6年ぶりに参戦する外国勢だが、近15年の成績は【0-0-0-16】。最後に勝ったのは2006年のブリッシュラックで、連対馬も2008年のアルマダが最後。今年参戦するロマンチックウォリアーはどう考えても通用しそうな成績だが、近15年で連対馬が出ていない海外馬ということで、データ上では軽視したい。

出走馬の所属,ⒸSPAIA


☆性別
性別で見ると牡馬・セン馬が11勝(22連対)、牝馬は4勝(8連対)。馬券に絡んだ頭数こそ牡馬・セン馬が上回っているが、勝率、連対率、複勝率のいずれも牝馬が大きく上回っている。

出走馬の性別,ⒸSPAIA


☆年齢
最も勝ち馬が出ている世代は4歳と5歳の5頭。勝率、連対率では5歳馬より4歳馬の方が上だ。

3歳馬は頭数が少なくて参考程度になるが、勝率などの数字は悪くない。一方で7歳以上から勝ち馬は出ておらず、8歳馬は馬券に絡んでいない。

出走馬の年齢,ⒸSPAIA


☆前走クラス
勝ち馬が出ているのは、前走OP以上と海外組。特に前走GⅠ組が強く、半分近くにあたる7頭の勝ち馬を出している。

前走海外組は平凡な数字だが、これは結果の出ていない海外所属馬が混じっているため。日本馬に限定すると、連対率は27%近くまでハネ上がる。

出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA


☆主な前走
レース別で比べると、勝ち馬と連対馬を最も多く出しているのはヴィクトリアマイル組。1着馬が3頭、2着馬が4頭。牝馬の連対は8頭だから、連対馬のほとんどがこのレースを経由していることになる。

これに続くのは前哨戦の京王杯SCだが、出走頭数が多いこともあって勝率などの数字は目立ったものではない。それよりも数字が低いのはマイラーズC組。60頭が出走して1着、2着ともに1頭ずつしかいない。

出走馬の主な前走,ⒸSPAIA


☆前走着順(牝馬)
牝馬に絞ったデータになるが、前走1着馬(7頭)は4頭が連対し、5頭が馬券に絡んでいる。複勝率は驚異の71.4%だ。

また、前走5着馬はさらに少なく3頭しかいないが、2頭が連対。これも好走する確率がかなり高くなっている。せっかく調べたが、今年はこれに該当する馬はいなかった。がっくし。

出走馬の前走着順,ⒸSPAIA


☆前走着差
牡馬・セン馬も含めると前走1着馬の好走率はそこまで高くないが、着差を調べてみると、前走でより大きな差をつけて勝った馬の好走率が高くなっていた。0.3秒以上の差だとまずまずで、0.6秒以上だと、その数字がハネ上がる。

また、負けた馬でも秒差なしの接戦だった馬の勝率、連対率は悪くない。

出走馬の前走着差,ⒸSPAIA


☆前走人気
勝ち馬15頭中、13頭が前走で4番人気以内だった。前走が5番人気以下だった馬の勝率は1.1%と低くなっている。

出走馬の前走人気,ⒸSPAIA


☆その他
そのほかのデータでは、前走で逃げた馬(16頭)から勝ち馬は出ていない。

その他のデータ,ⒸSPAIA


フィアスプライドがマイル戦線の頂点へ

安田記念のデータをまとめてみよう。

【好走率アップ】
A「美浦所属」
B「牝馬」
C「4歳馬」
D「前走GⅠ、または海外(日本馬)」
E「前走0.3秒以上差で勝利、または秒差なし負け」

【好走率ダウン】
F「前走マイラーズC」
G「前走5番人気以下」※前走海外除く

【勝ち馬なし】
H「7歳馬」
I「前走逃げ」

【連対馬なし】
J「海外所属馬」
K「8歳馬」

今回5つあるプラスデータのうち、最多となる3つを持つのがヴィクトリアマイル2着のフィアスプライド。牝馬で連対した8頭中7頭がヴィクトリアマイル組で、しかも6年連続でここから連対馬が出ている。

ヴィクトリアマイル組は1着馬と比べると2着馬の好走率が悪いのは気になるが、今年はデータ上、牡馬で特に気になる馬も見当たらず、牝馬の快進撃は続くとみたい。

今回は牝馬の登録は2頭だけ。もう1頭のナミュールはプラスデータが2つ、マイナスデータはなし。これも今回のメンバーでは優秀。どちらかが連に絡む確率は高いだろう。

牡馬、セン馬ではエルトンバローズが面白そう。今回のメンバーで海外帰りの日本馬はこの馬だけ。2年連続でヴィクトリアマイル組と海外帰り組のワンツーで決まっており、ヴィクトリアマイル組が本命なら相手として入れておかなくてはならないだろう。プラスデータが2つ、マイナスデータなしと、データ上でも優秀な1頭だ。

レッドモンレーヴもプラスデータが2つ、マイナスデータなし。ヴィクトリアマイルの次に連対馬が多く出ている京王杯SC組なので、これも入れておきたい。

最後にパラレルヴィジョン。騎乗予定のC.ルメール騎手はこのレースの連対率が50%、複勝率は75%。プラスデータはA「美浦所属」だけもマイナスデータを持っていないので、データ的にも悪くない。

◎フィアスプライド
○ナミュール
▲エルトンバローズ
△レッドモンレーヴ
×パラレルヴィジョン

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。

先週の日本ダービーはスト情報があってやきもきさせられましたが、無事開催されて何よりです。専門紙在籍時にも、春闘や馬インフルエンザで出馬表が発表されず、待ちぼうけを食らった苦い記憶があります。帰る時間が12時を過ぎるのもキツかった(朝は5時起き)ですが、それより発表待ちの時間に、何もすることがなかったのがキツかったです。

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