【京王杯SC】過去10年で6勝の「高松宮記念組」ウインマーベル 昨年2着の雪辱を果たす勝算あり
貴シンジ
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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す
今回は5月11日(土)に東京競馬場で行われる京王杯SCについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。
・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走の敗因」
・適性と素質を知るための「血統評価」
特別登録のあった16頭を検討対象とし過去10年のデータを使用する。
重要データ:優勝馬は限られたローテーションから
京王杯SCは東京芝1400mという条件で施行されるためスプリンターとマイラーが混在するレースとなる。そんな京王杯SCでは前走レース別成績に注目したい。
まず全ての成績において優秀なのが高松宮記念組。【6-3-3-19】で単勝回収率207%、複勝回収率113%。同レースで大敗した馬も勝利しているので無条件で買うのが良いだろう。
残る4勝のうち3勝は、GⅢのダービー卿CTと東京新聞杯組。ダービー卿CTが【2-2-2-25】で単勝回収率31%、複勝回収率69%。東京新聞杯が【1-2-1-1】で単勝回収率72%、複勝回収率144%となっている。今年は東京新聞杯からの臨戦はないが、前走ダービー卿CT組はグランデマーレ、ダディーズビビッドの2頭がいる。
ただ、この2レースの好走馬は多くが「前走で着差0.5秒以内の負け」というデータに当てはまり、成績は【3-2-2-18】。勝ち馬は前走負けていたとしても0.5秒以内の惜敗にまとめている。グランデマーレ、ダディーズビビッドはこのデータに該当しないので1着までは難しいかもしれない。
残りの1勝は洛陽S組だが、今年は該当馬なしだ。
以上から今年は高松宮記念組に注目するのが勝ち馬を当てる近道となりそうだ。
【前走高松宮記念の出走予定馬】
・ウインマーベル
・トウシンマカオ
前走の敗因:高松宮記念のウインマーベル
ウインマーベルは前走が高松宮記念で12着。この日の中京競馬場は内の馬場が荒れていて伸びないが、内ラチ一杯だけは伸びるという特殊な馬場状態。そしてレースラップは前半3Fが34.9、後半3Fが34.0で後傾0.9秒。スプリントGⅠとしては極端にスローペースだったと言えるだろう。
レースも伸びる内ラチ沿いを上手く使ってイン差しが決まった2着のナムラクレア以外は前にいた馬たち。ウインマーベルは13番手追走で上がり3F33.0秒を使えばギリギリ勝ち馬に届くかどうかという位置どり。上がり最速がナムラクレアの33.2秒だったが、重馬場で33.0秒はなかなか難しい。
またナムラクレアは伸びる内ラチ沿いを通ったが、ウインマーベルは一番伸びない内ラチから2~3頭分の位置を通っていた。これだと伸びるものも伸びないので物理的に厳しいレースと度外視できる。2走前に阪急杯を勝利。2着だったアサカラキングもその後モルガナイトSを勝利していてレースレベルは水準以上。GⅡのここでも実力を発揮すれば十分通用するだろう。
血統解説:ウインマーベル、トウシンマカオ
・ウインマーベル
日本での牝祖は祖母ロモーラ。3代母Single BladeがガゼルS(GⅠ・ダート9F)勝ち馬、母コスモマーベラスはターコイズS連覇や紫苑S勝ち(当時はどちらもOP競走)、全姉ウインジェルベーラが函館2歳S2着という牝系。ファミリーには重賞級も多く活力は十分だ。
本馬はアイルハヴアナザー×フジキセキという組み合わせでこれはアナザートゥルースと同様。アナザートゥルースがダートで活躍したことを見てもわかるようにパワーが武器となる配合だ。牝系を見ても米国のダート牝系であり本馬も重馬場や坂のあるコースでの良績が目立つ。上がり3Fで32秒台を使えるようなタイプではないのである程度前のポジションを取ってマイペースで走ることが好走のポイントになる。
・トウシンマカオ
日本での牝祖は祖母サスペンスクイーン。ただこの一族は4代母Rose Bowlを牝祖とした別の枝も日本で走っていて、17年小倉記念、新潟記念勝ちのタツゴウゲキなども近親にあたる。母ユキノマーメイドは現役時芝中距離で4勝を挙げた実績馬で、繁殖としても20年マイラーズC2着のベステンダンクを輩出するなど9頭の勝ち上がり馬を出していてアベレージが高く優秀。今回のメンバーでも活力はトップレベルだ。
トウシンマカオ自身はビッグアーサー×スペシャルウィークという組み合わせだが、古馬になるにつれてビッグアーサーらしい硬さとスピードが出てきた印象だ。前からでも後ろからでも自在の競馬ができるのがこの馬の強みで本来のベストは1200m。前後にバラツキがあるラップ構成よりも、ワンペースで走る方がこの馬の好走パターンに当てはまるので東京芝1400mという条件はあまり合わないか。
Cアナライズではウインマーベルを推奨
今回はウインマーベルを推奨する。昨年の京王杯SCでは2着。その時の勝ち馬レッドモンレーヴも出走してくるが、昨年はダービー卿CTからの臨戦で安田記念に向けて確実に賞金を積んでおく必要があったのに対して、今年は中山記念からの臨戦で賞金的には余裕がある身。大目標は安田記念だからメイチではないだろう。
ウインマーベルは高松宮記念から立て直しの一戦。昨年同様にスローペースを先行できれば逆転の可能性は大いにある。トウシンマカオは実力的にはウインマーベルやレッドモンレーヴと比較しても同じかそれ以上のものを持っているが、東京芝1400mという条件においては適性面で割引が必要。ウインマーベルの重賞4勝目に期待したい。
【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか「競馬王」など商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。
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