【ユニコーンS】地力問われ、差し有利の京都ダ1900mに引っ越し データ合致はアラレタバシル
SPAIA編集部
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新装・ユニコーンS
2024年4月27日(土)に京都競馬場で行われるユニコーンS(GⅢ・ダ1900m)。昨年までは6月に東京ダ1600mで行われるおなじみの3歳重賞だったが、ダートグレード競走の体系整備に伴って大きくリニューアルした。時期が前倒しになり、競馬場も距離も変わり、立ち位置も東京ダービーの優先出走権をかけた前哨戦に生まれ変わる。
1着賞金1億円の東京ダービーはJRA所属馬の出走枠が4つという狭き門で、うち3つは羽田盃の上位馬(5着以内)に割り振られる。JRAの残りひと枠は「ユニコーンS2着以内の最先着馬」に割り振られる。羽田盃の結果次第ではあるが、ほぼ勝たなければダービーに進めないと思っていい。
出走権を文字通り「勝ち取る」のはどの馬か。さすがに舞台が変わる前のユニコーンS、過去10年のデータを見ても仕方がないので、今回はコースデータを中心に展望する。データは過去5年、京都ダ1900mで行われた2勝クラス以上のレース29戦を参照した。
1番人気堅実、「前走逃げ」不利
まずは人気別成績から。なんといっても1番人気【10-5-6-8】勝率34.5%、複勝率72.4%が見逃せない。というのも、今回の抽出期間とクラスにそろえた場合、京都ダ1900mはどのコースよりも1番人気の複勝率が高いのだ。紛れのない地力勝負が演じられ、人気馬が飛びにくい。
10番人気以下の伏兵は【3-4-1-146】勝率1.9%、複勝率5.2%。馬券に絡んだ8例のうち、6例は最初のコーナーを7番手以下で通過していた。一発があるなら前残りではなく、前が崩れた時に現れる無欲の追い込みだ。初角までの距離があるためテンが速くなりやすく、また1800mに慣れている馬はラストでわずかに鈍る。そんな事情から差し馬にチャンスが多いコースである。
差し有利の傾向は他のデータにも表れている。前走で逃げた馬は【2-1-1-29】勝率6.1%、複勝率12.1%と振るわず、単回収率33%、複回収率25%も非常に低い。このコースデータに加え、今回は3歳限定重賞という側面もある。3歳ダートのOPクラスには下級を逃げ先行策で勝ち上がってきた馬が集まりやすく、控える形を学んでいない馬、砂を被れない馬は戦い方が難しい。
話をコースに戻すと、狙い目は「前走上がり3位以内」【19-11-10-80】勝率15.8%、複勝率33.3%。同4位以下【8-16-18-233】勝率2.9%、複勝率15.3%を大きく上回っている。さらに言うと「前走上がり3位以内で4着以下」なら【6-4-3-28】勝率14.6%、複勝率31.7%と悪くなく、回収率の面でも単回157%、複回137%と黒字域。要するに、他コースで差し損ねた馬が舞台替わって今度は届く、というパターンが頻発する。当地で連勝ののち伏竜Sで上がり3位の6着だったハーバーライトが気になる。
ダート戦らしく血統データも特徴的だ。成績がいいのはミスタープロスペクター系【12-6-12-76】勝率11.3%、複勝率28.3%で、回収率が高いのはエーピーインディ系(単回366%、複回93%)。サンデーサイレンス系は【10-10-9-133】勝率6.2%、複勝率17.9%ながら単回収率34%、複回収率49%と微妙な数字だ。旧条件のユニコーンSではゴールドアリュールの子孫が活躍していたが、この条件変更で潮目が変わりそうだ。
枠順についても触れておくと、1枠が【1-1-4-35】勝率2.4%、複勝率14.6%、単回収率6%、複回収率48%ととにかく悪い。じゃあ外がいいのかというと、8枠も【2-3-4-49】勝率3.4%、複勝率15.5%、単回収率12%、複回収率34%とボロボロだ。内外どちらも極端な枠は厳しい。
最後に「3歳春ダート重賞の傾向」という意味で、ユニコーンSの過去10年データも一応見る。今年も応用できそうなのは主に2点。「経験値の重要さ」と「前走の格」についてだ。
まず経験値について。キャリア5戦以下【5-3-4-46】複勝率20.7%に対し、同6戦以上は【5-7-6-79】複勝率18.6%。ぱっと見は互角だ。ただし、キャリアが多い組には「勝ち上がりに時間を要した、能力的に大きく劣る馬」が多く混ざっている。そこで9番人気以内に絞って再集計すると前者が【5-3-3-30】複勝率26.8%、複回収率41%、後者が【5-6-6-32】複勝率34.7%、複回収率159%となる。それなりに実力がある馬どうしの比較ならレース経験は多い方がいい。
続いて前走の格。ユニコーンSでは青竜SなどのOP特別組、あるいは地方や海外の重賞に押される形で、前走1勝クラスの馬が【0-0-5-52】と連対できていなかった。2~3歳ダート路線は新馬、未勝利戦の数に比して1勝クラスやOPの番組が非常に少ないせいで、ひとつクラスが上がるとレースレベルが急激に上がる。芝のようにポンポンとステップアップはできない。今年で言うと、伏竜S組を差し置いて1勝クラス勝ちたての馬が人気になるようなら要注意だ。
経験豊富な追い込み馬・アラレタバシル
「1番人気が強いコース」「差し有利、前走逃げた馬が大苦戦」「父サンデーサイレンス系は低回収率」「実力がある馬ならキャリアは多い方がいい」「前走の格を重視」などのポイントを押さえたところで、登録馬について具体的に考えていこう。
最有力はアラレタバシルだ。前走は伏竜Sで後方から追い込み、タイム差なしの2着に入った。キャリア8戦(ダートに限っても4戦)を消化しており、レース経験という面でも申し分ない。差しが利くコースに替わるのはもちろん大歓迎で、あとは実績通り1番人気になれば全てのデータに合致する。
もう1頭人気を集めそうなのがミッキーファイト。前走の勝ち時計1:52.5は、良馬場の中山ダ1800mとしては2歳戦史上最速のタイムだった。能力は非凡なものを持つ。ダイナカール牝系の超良血馬で半兄にジュンライトボルトという惚れ惚れするプロフィールだが、懸念は5か月の休み明けと実戦を2度しか経験していないこと。盤石とは言えない。
ほか、伏竜S組のラオラシオン、ノットイナフ、ハーバーライトはいずれも傾向におおむね合う。先述した通り、上がり3位で6着のハーバーライトがまず好印象。ノットイナフも向正面からムチを入れて仕掛けた2走前の勝利を見るにスタミナ型で、距離延長での前進を見込める。
ダートの2戦を圧勝したムルソーはどちらも逃げ切りで砂を被った経験なし。データからは手を出せない。だが、前走の勝ち時計は同週の古馬3勝クラスとわずか0.1秒差の好記録ではあった。この相手強化と不利な条件も一蹴して勝つようなら、一気に東京ダービーの最有力候補へと躍り出る。
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