【マイラーズC】高速馬場への対応力がカギ 実績上位のセリフォス、ソウルラッシュが中心
勝木淳
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穴なら先行勢
今年は阪神競馬場の改修による代替開催が行われるため、春の京都開催が10週間と長い。宝塚記念の京都代替は2006年にディープインパクトが勝って以来、18年ぶり。あの日は雨の稍重で2:13.0もかかった。
ロングラン開催の開幕週はマイラーズC。今年の安田記念には香港のロマンチックウォリアーが遠征を予定している。その挑戦権を賭けた戦いは、例年通りなら高速馬場を舞台に行われる。この冬、状態が悪かった京都の芝はどれほど回復しただろうか。土曜日は時計の出方をしっかり確認しよう。データは京都で行われた14~20年、23年の計8回分を使用する。
1番人気は【3-2-2-1】勝率37.5%、複勝率87.5%と目立つ。高速馬場、速い上がりが出やすい状況とあって、やはり実績馬が一枚上だ。1番人気で馬券圏内に入らなかったのは16年7歳時のフィエロ(4着)だけ。そのフィエロは5、6歳時、1番人気で2、3着。人気を裏切ってはいるが、大きくは負けなかった。
上位は5番人気【0-3-0-5】複勝率37.5%までが率を残しており、基本線は5番人気以内の争いになる。伏兵台頭の機もあるが、6番人気以下は逃げ【0-0-0-5】、先行【1-1-2-12】、中団~後方【0-0-0-49】。末脚比べは分が悪く、なにか起こせるなら先行馬と覚えておこう。
年齢の中心は5歳【4-1-4-16】勝率16.0%、複勝率36.0%と4歳【3-3-2-27】勝率8.6%、複勝率22.9%だろう。スピード勝負となれば6歳以上は通常厳しいものの、7歳以上【0-3-1-24】複勝率14.3%などベテランも馬券圏内なら可能性がある。特に、若いころ高速決着に対応してきた馬は見限れない。
実績馬に4歳馬が挑む
今年は5歳セリフォス、6歳ソウルラッシュの実績馬に京都金杯Vコレペティトールらが挑む。高速決着への対応力はどこまであるのか。試金石になる一戦だ。
まずはセリフォス、ソウルラッシュの前走香港マイルは【0-0-1-2】。15年フィエロが香港マイル6着から好走した。4、7着ソウルラッシュ、セリフォスはどちらも高速決着に対応できる。ソウルラッシュは昨秋京成杯AH1:31.6、昨年のマイラーズC1:31.6(3着)をどう読むかだろう。セリフォスは昨年の安田記念1:31.6で2着。初GⅠタイトルとなった22年阪神のマイルCSは1:32.5。平坦コースでの軽さにどこまで対応できるだろうか。
主要となるのは前走GⅡ【5-2-0-6】勝率38.5%、複勝率53.8%。中山記念は【2-0-0-0】とパーフェクトで、12着ソーヴァリアントに注目したくなるが、前走GⅡは5着以内【5-2-0-2】、6着以下【0-0-0-4】。ソーヴァリアントはデータから漏れる。ただ、富士Sで走破時計1:32.0の3着があり、2年前のチャレンジCでは1:57.5を記録している。高速決着でも侮れない。
コレペティトールの前走京都金杯は【0-0-1-3】で直行は少ない。1月の重賞好走後は東京新聞杯やダービー卿CTなど重賞を転戦する馬が多いからでもある。それでも同舞台の重賞のわりにつながりは薄く、やはり格の違いを感じる。京都金杯は1:33.8。自身の時計を更新できるだろうか。
前走オープン・リステッドは【2-3-0-35】勝率5.0%、複勝率12.5%。距離別では前走1600m超からの短縮が【1-1-0-4】勝率16.7%、複勝率33.3%と数は少ないが好相性で、14年ワールドエースが白富士S5着からマイルにかわって一変した。スパイダーゴールドは白富士S4着で走破タイムは1:57.8。時計勝負に対応可能できるかがポイントだ。
前走同距離は【1-2-0-26】勝率3.4%、複勝率10.3%。ここは1着【1-2-0-8】、2着以下【0-0-0-18】で勝利が条件。マイルのオープン特別を勝てないようでは、GⅡは厳しい。
今年もやはり上位人気同士による争いに絞れそうだ。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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