【ニュージーランドT】5勝のGⅢ組エコロブルームが上位 逆転候補は同舞台の1勝クラス勝ちスパークリシャール

勝木淳

2024年ニュージーランドトロフィーに関するデータ,ⒸSPAIA

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キャリアを重ねてもチャンスあり

一昨年、ニュージーランドTは日本グレード格付管理委員会から警告を受けた。3歳GⅡに必要な年間レースレーティング110.00を下回ったためだ。だが、昨年のニュージーランドTからNHKマイルC1、2着シャンパンカラー、ウンブライルが出現し、113.00を獲得。降格の危機を脱した。

しかしマイル戦線は翌週にアーリントンCがあり、関西圏のトライアルとして存在感を示しつつある。マイルにこだわる牝馬や中距離からの転戦など大きく変化した。そんななかで存在感を示さねば、ニュージーランドTはまたも警告を受ける事態になりかねない。レースにはそれぞれ歴史があり、トレンドを反映させ柔軟に運用するのも難しい。格付を維持することが大事なのか。それとも時代にあわせ、そのとき有効なレースを用意するのか。番組を組む主催者側も難しい判断だろう。レースは過去10年分を使用する。

ニュージーランドTの人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気は【1-3-0-6】勝率10.0%、複勝率40.0%と頼りない反面、2番人気が【5-0-2-3】勝率50.0%、複勝率70.0%と強い。1、2番人気でこれだけ差が出るレースも珍しい。それだけマイル路線は勢力図が固まらないまま、トライアルを迎えるということか。

3番人気以下も差があるわけでもなく、10番人気以下【1-1-2-57】勝率1.6%、複勝率6.6%など人気薄の激走もある。人気にこだわらず、幅広く候補に入れておきたいところだ。

ニュージーランドTのキャリア別成績,ⒸSPAIA


キャリア別では2戦【1-0-1-3】勝率20.0%、複勝率40.0%と3戦【2-2-1-12】勝率11.8%、複勝率29.4%に好走ゾーンが存在する。マイル路線に特化し、最少キャリアでここに駒を進めてきた素質馬は評価しよう。

一方で、6戦【3-2-3-26】勝率8.8%、複勝率23.5%などキャリア豊富な組にもゾーンが存在する。キャリア6戦の前走距離別成績は1600m【1-1-1-12】勝率6.7%に対し、1600m未満【2-1-2-11】勝率12.5%、複勝率31.3%、1600m超【0-0-0-3】。意外にも中距離からの転戦ではなく、距離を延ばして活路を求める馬に分がある。

前走1勝クラスも注意

キャリアの少ない組ではエコロブルーム、ボンドガール(桜花賞除外なら)に目が行く。キャリア6戦で延長ならエンヤラヴフェイスがいる。好走ゾーンにさらに一致するのはどの馬だろうか。

ニュージーランドTの前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別では前走GⅢ【5-5-6-37】勝率9.4%、複勝率30.2%に注目しよう。エコロブルームのシンザン記念は分母が少なく、【0-1-0-2】。22年マテンロウオリオンがシンザン記念Vから好走した。

同じくマイル戦線上にある前走ファルコンSは【3-1-3-22】勝率10.3%、複勝率24.1%。ここは9着以内【3-1-3-11】、10着以下【0-0-0-11】で、大敗でなければいい。11着サトミノキラリより8着エンヤラヴフェイスが候補だ。

牝馬路線ではルージュスエルテ(桜花賞除外対象)のクイーンCが【0-1-0-2】。23年ウンブライルが6着から2着に巻き返した。今年のクイーンCは前後半800m47.1-46.0とスローペース。クイーンズウォークの瞬発力が目立ったが、ルージュスエルテもさらに後ろから上がり2位を記録して3着に飛び込んだ。リュズキナの産駒にしては切れ味を感じる。中山への対応は未知数だが、2走前のような形や終い勝負に徹するなら、突っ込んできてもいい。

ニュージーランドTの前走1勝クラス、距離別成績,ⒸSPAIA


次に前走1勝クラス【3-3-2-47】勝率5.5%、複勝率14.5%について。距離の傾向をみると、こちらは前走1600m【3-2-2-35】勝率7.1%、複勝率16.7%で距離を変えずに挑む馬がいい。格上のレースに挑戦するにあたり、前走経験を生かすという意味でも距離は変えたくない。スパークリシャール、デビッドテソーロ、ユキノロイヤルなど中山芝1600m組が多い。

ニュージーランドTの前走1勝クラス、コース別成績,ⒸSPAIA


さらにコース別でみると、中山芝1600mは【2-1-0-24】勝率7.4%、複勝率11.1%と頭数も多く、絞りにくい。そこでデータに着順と位置取りを加えてみる。前走1勝クラス、中山芝1600mで1着、かつ先行していた馬は【2-1-0-10】と少しすっきりする。逃げ【0-0-0-3】、中団【0-0-0-4】なので、ほどよいスピードで折り合いつつ、最後に抜け出した経験を上位にとろう。スパークリシャール、ユキノロイヤルの2頭が当てはまる。

2024年ニュージーランドTに関するデータ、インフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬中心の文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。


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